福岡県内にはいわゆる本格的な登山をするような『名山』は少ないものの、一方で登山の技術のない方でも山登り、山歩きを楽しめる『名低山』は色々あります。
そんな『名低山』が中心都市の”福岡市内”にもいくつかあって、過去このコラムでもご紹介しているところですが、今回ご紹介するのは、その中でも「一番!」と言ってもよい、便利で、気軽で、しかも山登り気分が十分味わえる、福岡市東部にある『三日月山』と『立花山』です!!
では、山登りにGO!!!
『三日月山』『立花山』に登るには、新宮町の立花の方からの登り口、福岡市東区の下原から、久山町の『長谷ダム公園』から、などなど、いくつかの登り口がありますが、今回は『長谷(ながたに)ダム』の福岡市側、『長谷ダム記念公園』から登ってみたいと思います。
『長谷ダム記念公園』から…と言っても、駐車するのは『三日月山霊園』の駐車場。
記念公園にも駐車場はあるのですが、台数が限られていてこちらの方が広めなのでお花見などの超人気季節やお盆・お彼岸などでなければ比較的駐車はしやすい。
市内中心地からでも車で2,30分の場所。すぐ周辺は住宅地で、福岡市内・近郊の東側に住んでいる人にとってはまさに”おひざ元”
『三日月山霊園』の駐車場のすぐ脇に登山道の入り口があります。
『長谷ダム』周辺にはいくつか登山道があるのですが、便利で比較的整備が行き届いているのはこちら…かな?
入口に設置してある『立花山 三日月山 登山マップ』
身近なだけに結構登山ルートがあちこちあって、その点は実は”要注意”
登山の前に、このようなマップでルートを確認して登りはじめましょう!
このマップを写メっておくと、すごく役立つ!!
では、出発!!
実は、今回の写真を撮ったのは新緑の季節(2023年5月)なので、緑が輝いて見えるようです。
西側の『長谷ダム記念公園』の方から登り始めたので、まずは西側の『三日月山』の山頂を目指します。
三日月山、立花山の登山道は、このように歩きやすく整備されたところも多く、平日でも多くの人が散歩やトレッキング、中にはジョギング(トレイルラン)で行き来しています。
安心して歩けるところもここの魅力です。でも、イノシシやシカ、ヘビ、虫などの動物被害は想定されるので、その点は気をつけましょう。
チリンチリン…鈴などをもって歩いている人も多いです。
しばらく緩やかな遊歩道を歩いていくと、早速分岐点に。
色々なルートがあって便利な『立花山 三日月山』登山ですが、反面、”迷いやすい”という問題もあって注意が必要です。
低山の気軽な山歩き…と油断せず、分岐点に十分注意してその都度ルートを確認しましょう。
今回は、登りは『急坂コース』を使って、一気に頂上を目指したいと思います!!
今回は『急坂コース』を使って登りますが、急斜面の上り下りに自信がない方はこちらの『遊歩道コース』で。
歩く距離は長くなりますが、道はおおむね整備されていて歩きやすいです。
では、今回は『急坂コース』で行きましょう!!
写真ではちょっとわかりにくいですが、『急坂コース』は名前のとおり傾斜はキツイ!
『遊歩道コース』ほど道も整備されていないので、油断をしているとコースを見失って森林の中に入って行ってしまいそうになります。
けもの道などに惑わされないよう、ルートを見極めて、木々に記された赤いテープを確認しながら進みましょう。
一気に登って行きます。
再び分岐点に来ました。
グルっと回ってきた『遊歩道コース』と『急坂コース』が交差した場所です。
このまま『急坂コース』のまま山頂を目指してもよいかと思いますが、山頂に近づくにつれて『急坂コース』の足元が良くない感じだったので、ここからは『遊歩道コース』に切り替えます。
なお、『急坂コース』は登りにはまだよいですが、降りにはちょっとキツイかな…。より注意して歩いてください。
『遊歩道コース』はこんな感じで、結構歩きやすい。
もうすぐ山頂です。
三日月山山頂の入り口に着きました。
ここは、今まで歩いてきた、長谷ダムからの登山ルート、下原からの登山ルート、立花山・立花口などへと尾根伝いに渡るルートが錯綜する場所です。
落ち着いて、自分が行く方向を確かめて…では、三日月山の山頂を目指しましょう!!もう、すぐそこです。
同じ場所を山側に振り返ったところです。
左に行くと『立花山』(この後こちらを通って『立花山』まで行ってみます)。
右に行くと『三日月山』の頂上です。まずは、右へ!!
登っていきましょう~!
『三日月山』の頂上までは、あとわずか。登りが急になりますが、数十メートルです。
視界が開けてきました!
写真登ったところが頂上です。
到着!!!
300m弱の低い山ですが、この見晴らし!!南東の篠栗の方を見ています。連なる山と森が美しい!
ガンガン登ってきたら、駐車場からここまでは40分前後。
そして、博多湾の方角!
福岡市街、アイランドシティ、志賀島、能古島、糸島半島…すべて見える!!
防人の時代(7世紀頃?)には、この辺に西方、北方(朝鮮半島の方)を監視する防人の陣が置かれ、烽火(のろし)をあげて太宰府の方向へと知らせる場所となっていた…そうですが、なるほど、ここからならバッチリ見渡せる。
さて、三日月山の頂上の景色を堪能したら、今回はもう少し足を伸ばして『立花山』まで歩きましょう。
立花山の頂上は…こっちです。
一旦、先ほどの、下原方面、長谷ダム方面、立花山方面への道が交差する場所まで降りて、尾根伝いに『立花山』へと行くコースを辿ります。
しばらくは写真のようになだらかに上り下りする道が続きます。
尾根伝いの道はほとんど木々に囲まれています(夏は日よけになって涼しい!)が、景色が見渡せる場所ではこんな感じ。
地域の方が置いておられるのでしょうか?途中にこのような掲示板みたいなものがあって、三日月山、立花山の今の自然の様子なども知ることができます。内容も更新されているようで、ここで一休み。
立花山の頂上まではあともう少しです。
分岐点にやってきました。このまままっすぐ進む道は急な上り坂となって一気に『立花山』の頂上を目指します。
また、写真左に進めば福岡市東区下原の方に降りていく道、そして、右は立花山の頂上周辺をグルっと回り込んで、新宮町立花、立花登山口の方へ向かう道になります。
今回は直線的に山頂めざして登って行きましょう!!
同じ場所にある四方向を示した道しるべ。
まっすぐ「立花山」の方に登って行きます!
ここから先のところが、今回の山登り(低山散策)の中で一番”山登り”っぽいところです。
足場の悪いところもあるので、しっかり登って行きます。
ゴツゴツした岩も多い。
この辺は戦国時代には有名な武将『立花宗成』が居たこともある『立花城』のあった場所ですから、昔のお侍さんなどはホントウにご苦労なことだったでしょう。
さあ、残りもう少し!
最後の急な坂を登り切れば頂上です!!
到着!!
『立花山』の頂上です!!!
前述のとおりお城の跡なので、頂上もちょっとした広場みたいになっています。
この景色!!!
福岡市の未来都市『アイランドシティ』が目下に見えます。
その先には海の中道、志賀島、能古島と博多湾。
美しい海の風景と都会とが混ざり合ったFUKUOKAらしい風景が一望できます!!
南西の福岡都市圏の市街地を観たところ。
都心部のビル群や福岡空港…都市が山の緑と海の青に囲まれている様子が手に取るように見えます!
では、この景色を十分堪能したら、山を下りて行きましょう。
…と、その前に!!
すでに申し上げたとおり、『立花山』は戦国時代に『立花山城』というお城があった地です。
『立花山城』に居た立花宗成から領主の座を引き継いだ小早川隆景が『立花山城』の支城(出先の役割)であった『名島城』を居城とし、小早川家から引き継いだ黒田長政が『名島城』から『福岡城』へと移った、ということで、もとをただせば?FUKUOKAの街のルーツ??
『立花山』周辺には原生林など見どころは色々あるのですが、今回はお城の跡を見てから帰ろうと思います。
立花山頂上から、来た道(三日月山方向)を降りずに、『立花口』に向かう道を少し下って行きます。
まず、少し行ったところに『石垣跡』のしるしが。
登山道から見たら…ありました。
ちょっとわかりにくいので、林の中を回り込んでみましたら、こんな感じに残っています。
さらに少し下ったところには、参道の基盤のように残っている場所も見ることができます。こちらは参道沿いにあって、残っている石垣の規模も大きい。
このような石垣の跡が、ところどころに残っています。
こんな山の中にお城があったのですね~。
遺跡などはまだ他にもありますが、では、そろそろ戻ってみましょう。
ルートは来た道をそのままたどって、三日月山まで。
三日月山からは、今度は『遊歩道コース』を登ったときよりもゆっくり下りていきます。
多少距離が長くなって時間もかかりますが、このような歩きやすい、山道です。
道は基本的にこのように整備されているので、雨の後のぬかるみなどはありますが、高齢者や子どもにもそれほど厳しい道ではありません。
駐車場ではなく、ちょっと近道をして『三日月山霊園』の方に出てきました。
『三日月山霊園』から駐車場を抜けて『長谷ダム記念公園』へ。
広くてノビノビと遊べる公園です。
なお、トイレは、霊園の端、駐車場、記念公園とそれぞれ設置されています。登山道に入るとないので、気になる方はその前に済ませておきましょう。
広い原っぱと遊具もある『長谷ダム記念公園』は、子どもたちにも人気のスポットです。
登山の後は広場でゆっくりのんびりするのもイイかも。
気軽に登って、登山気分はしっかり満喫できる『三日月山、立花山登山』
周辺の色々なところから登って行けるのでその都度、新鮮な気持ちになれるところも楽しみの1つ。ただし、繰り返しになりますが、山道が結構錯綜しているので、あらかじめルートの確認だけは十分に。
低山だからと言って、あまり見くびっては怪我のもとになりますので、登山はあくまでもきちんと準備を整えて。