ほゴーストバスターズ/アフターライフ
GHOSTBUSTERS:AFTERLIFE (PG12)
〔勝手に評価 = ★★★★ = あっぱれ!続編〕
2020年/アメリカ映画/124分/監督:ジェイソン・ライトマン/製作:アイヴァン・ライトマン/脚本:グリ・キーナン、ジェイソン・ライトマン/撮影:エリック・スティールバーグ/出演:キャリー・クーン、フィン・ウォルフハード、マッケナ・グレイス、アニー・ポッツ、ポール・ラッド、ローガン・キム、セレステ・オコナー ほか
【気ままに感想】
オリジナルのおっちゃんメンバーに代って、元気なおばちゃん…もとい!お姉さまたちが活躍するリブート作品の『ゴーストバスターズ(2016)』も、女性の社会進出がどんどん進んでいる現代性も反映した楽しい作品ではありました。
ですが!!
やっぱり、ゴーストバスターズと言えば、学者のくせに胡散臭い…でもその胡散臭ささえもが“世の学者先生方”のカリカチュアライズになってる…あの!!ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、そしてハロルド・ライミスの3人組(とアーニー・ハドソン)でなくっちゃ!!
と、思ってしまったオリジナル・ファンも多いのではないでしょうか。
というものの、イゴン博士ことハロルド・ライミスは2014年に死亡していて、その影響でもともと続編として企画されていた2016年作品が女性版のリブート作品に変更になったというのですから、“ちゃんとした”続編はもうないのかな…。
ところが!!!
『アフターライフ』の副題がついて、ついに正当な『ゴーストバスターズ』の続編が作られました~!!
もう、そのことでファンとしてはお腹いっぱい、胸いっぱい。
ハロルド・ライミスが文字通り“死亡した”ところからお話を始めて、主人公は、その孫娘のマッケナ・グレイスちゃんとそのお兄さん(=孫息子)のフィン・ウォルフハードくんたちにバトンタッチすることで、世代を超えて受け継がれる『ゴーストバスターズ』という位置づけを与えて物語を連続させました。
もちろん!ただ単にお話を続けてみた、お子ちゃまが活躍する甘ったるい砂糖菓子のようなだけの作品…にとどまらず!ちゃ~んとファンにも楽しい、納得のサプライズ!!が用意されている、ウレシイ作品となりました。
昔の名作、みんなに愛されている作品について、設定を借りてきただけの安易な続編や違和感だらけのリブート作品が多数作られている今日この頃、“ちゃんとした続編”にしてくれた本作に関しては、素直にあっぱれ!!と言いたい!
そんな作品になりました。
とは言うものの…。
本作にも物足りなさは結構ある。
特に、設定の甘さ…にはちょっとモノ申したい。大人げないけど。
まず、物語全体の対象年齢の低さ…。もともと、第1作目の『ゴーストバスターズ(1984)』はすでに40年近くも前の作品です。リアルタイムで観ている人も、後からTV放送やビデオで観た人も、シリーズのファンは結構年季が入っています。少なくとも、ティーンエイジャーのファンはほぼ想定外。
にもかかわらず、辛辣さに乏しいギャグの数々はズバリ物足りない。
おちこぼれのためのサマースクールで『クジョー(1983)』や『チャイルド・プレイ(1988)』などの(残酷ホラー)ビデオを流して授業時間をつぶす場面はさすがにちょっと笑いましたが、ギャグのどぎつさはこれがマックス。本当のマシュマロサイズのマシュマロマンも可愛らしさが勝ってしまって、ビッグサイズのマシュマロマンの“恐可愛いさ”には及ばない。
ゴーストたちも迫力に欠けていて、ビックリ感が足りません。
やむを得ず街中を破壊してしまうマッケナちゃんたちも、豪勢なパーティ会場を好き勝手にめちゃくちゃにして、それでもちゃっかりギャラを巻き上げるオリジナル・ゴーストバスターズたちの悪徳さには遠く及びません。
まるで、今の新型コロナ対策の騒ぎを見ているかのような、ドタバタして的外れな環境行政に対する皮肉が利いていたオリジナルに比べて、社会風刺もほとんどありません。
ホラービデオを垂れ流しするくらいではなくて、学生を電気ショックでビリビリさせる、パワハラ先生くらいのパワーが、本作の登場人物たちにもほしかった。
そして、特に気になる欠点のもう1点は、舞台を田舎町にしてしまったこと。
邪悪なゴーストが巣くうのは、やはり邪悪な都会がピッタリで説得力がある。
何より、ゴーストバスターズも、NYという都会で活動したからこそ目立って認められた。
ところが、本作のゴーストバスターズ3世たちの活躍は、田舎過ぎて目立たない。おそらく、町の人々の大半は幽霊のことすら知りません。
これでは、せっかく活躍したのにマッケナちゃんたちも浮かばれない?
邪悪な破壊神『ゴーザ』の復活!!なのに、誰も知らずにいつの間にか復活していつの間にか退治された…では、『ゴーザ』の威厳も台無しです。
誰も気づかないところでがんばったマッケナちゃんたちには、残念ながら世間の人々からの十分な感謝は得られそうにありません。
どうして、田舎町にしちゃったの???
すごくもったいない気がして仕方ありません。
真っ暗な闇の中を、古ぼけた車を走らせる老人が1人。
その後を何者かが追いかける…でも!その何者かは姿が見えません。
激しい力を受けて車はゴロゴロと横転し、老人は車をはい出て畑の中を一目散に走って行きます。
目指すは、廃屋のような一軒家。後から追いかけてくる何者かを電流バチバチ流したトラップで待ち構えるのですが…残念!過電圧でショートした装置は作動せず。
屋内に逃げ込んだ老人は、床下に何かを隠した後、疲れたように一人掛けのソファに身をゆだねますが、邪悪な何かが襲ってきて…。
一方、都会に住んでるシングルマザーのキャリー・クーンは家賃滞納で家を追い出されることに。疎遠になっていた父が一週間前に死亡した、という知らせを受けて、息子のフィンくんと娘のマッケナちゃんに「夏休みの旅行」と告げて、仕方なく田舎町にある父の家に向かいます。住むところもなくなっちゃったし、処分できる父の遺産はないか?探しに行くのが目的です。
町の人たちからも変人扱いされていた父が住んでいたのは、郊外の荒れた畑の中にあるすっかり古ぼけて崩壊寸前の一軒家。
色々探してみたものの、全てが古ぼけた物ばかり。丁度そのとき訪れてきた、父の昔からの知人で財産管理も担っていたというアニー・ポッツに尋ねたところ、残っているのは借金だけ、という返事をもらってガッカリ。
一方、勉強大好きで好奇心旺盛なマッケナちゃんは、おじいさんの家で、何やら怪しい探知機や捕獲装置、そして地下室で古ぼけているけど沢山の実験道具や標本、文献資料、コンピュータなどがある秘密の実験室を発見します。そして、フィンくんは、ボロボロの納屋の中に、やっぱり恐ろしく古い、「おばけ禁止」のマークが描かれたキャデラックを発見。車の修理を始めます。
その頃、田舎町では原因が分からない地震が頻発。そして、マッケナちゃんの周りでは、チェスの駒が勝手に動いたりする心霊現象が…。
本作を観る際の注意事項。
最近のアメリカ映画ではお馴染みですが、エンディングのタイトルロール(エンドロール)が始まっても席を立つのはちょっと我慢を。
シリーズのファンには「ニヤリ」とさせる“おまけ”映像があって、サプライズゲストの出演もあります。
その上さらに、最後の最後には、ゴーストバスターズ発祥の地、旧消防署の建物のシーンが…。これって、本作がヒットしたらさらに続編も考えてますよ~という、製作者たちのメッセージでしょうか???
だとしたら、今度はもう少し辛辣なギャグも散りばめた、パンチの利いた『ゴーストバスターズ』でよろしく!!
最後にキャストについてひとこと。
『gifted/ギフテッド(2017)』で可愛らしい天才少女(幼女)を演じたマッケナ・グレイス。最近では『キャプテン・マーベル(2019)』や『マグリナント 狂暴な悪夢(2021)』などで主人公の若年時代を演じて元気なところを見せていましたが、本作では、きっちり主役を演じてしっかり成長しているところを見せてくれました。
天才子役がそのままスターに成長できるか…はなかなか難しい試練ですが、本作では“正統派美少女”というより、演技で魅せる難しいお年頃のオタク少女というキャラを演じることで、単に可愛らしいだけで勝負はしませんよ!というメッセージにもなっているような気がします。
賢い少女役が板について来たマッケナ・グレイス、賢く世間を渡っていければイイですね!
それから、頼れるお姉さん役のセレステ・オコナー。かっこイイ感じでちょっと気づきませんでしたが、お下品スプラッタ映画『ザ・スイッチ(2020)』で根暗な主人公のお友達を演じていた女の子です。
よくよく見るとなかなか美人(笑)。演技の幅も広そうで、本作を機にぜひ活躍してもらいたい若手女優さんです。
それから、ちょっと頼りないお兄さんのフィン・ウォルフハードやマッケナの口数が多いクラスメイト役のローガン・キムの男の子2人もなかなか可愛らしい。
キャラクタに関しても気持ちの良い作品になりました。
★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★ 傑作!こいつは凄い
★★★ まあ楽しめました
★★ ヒマだけは潰せたネ
★ 失敗した…時間を無駄にした
☆は0.5