ジュラシック・ワールド/炎の王国

JURASSIC WORLD:FALLEN KINGDOM

 

〔勝手に評価 = ★★★★ = 恐竜さんにも五分の魂〕

 

2018年/アメリカ映画/128分/監督:J・A・バヨナ/製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、コリン・トレヴォロウ/脚本:デレク・コノリー、コリン・トレヴォロウ/撮影:オスカル・ファウラ/出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ジャスティス・スミス、ダニエラ・ピネダ、ジェフ・ゴードンブラム、B・D・ウォン、ジェームズ・クロムウェル、テッド・レヴィン、イザベラ・サーモン ほか

 

【気ままに感想】

 

「映像」に関する“ワンダー”を与えてくれる作品…そんな期待を観客に抱かせる映画シリーズの1つがこの『ジュラシック・パーク』シリーズです。

本作はシリーズ全体の5作目、『ジュラシック・ワールド』と看板の一部を変更してからは2作目となるわけですが…今回も期待に見事応えてくれました。

う~ん、あっぱれ!

第1作目(1993)で、恐竜さんたちが水辺に佇む風景を観たとき、「CGっちゃすごか~。こんな映像が観られるなんて思わんかった~!」と観るものに著しい感動を与えたわけですが、それからあっという間に映像技術は進化&容易になって、しかも使い方も巧妙になって、もう、どんな映像も大抵は見尽くした感がなくもない。

そんな現在において、ビックリ…とはいかないまでも、「ほ~っ」と感心させる映像を見せてくれる作品というのはなかなかない。「よくできているな~」とか「がんばっているな~」とかいう感想の作品はそこそこあるけれど、こんな映像は初めて…というような感想はそうそうない。

それでも、そんな感想をちゃんと与えてくれる作品になっているところが、このシリーズのすごいところで、それは感心してしまいます。

 

今回、本作で新しい感動を与えてくれたのは、CGやロボットの恐竜さんたちに、観客がちゃんと感情移入できる!ということ。

本作に出てくる恐竜さんたちは、まるでホンモノみたい…というレベルにとどまらず、ちゃんと“生きもの”になっている。

明らかな“つくりもの”である恐竜をみて「かわいそう」とマジで観客に思わせる作品ははじめてではないか??

なかなか面白い作品です。

 

マンネリ化してきたテーマパークで一発逆転!最新アトラクションを導入することでテコ入れを図ろうとした『ジュラシック・ワールド』。そのアトラクションこそ新型恐竜『インドミナス・レックス』。DNA操作でできた過激な最新作は何しろ乱暴で何でも喰う!そのためかえって『ジュラシック・ワールド』は廃園に追い込まれてしまいました。

それから3年。すっかり恐竜さんたちの野放し島になっていた『ジュラシック・ワールド』にさらなる危機が迫ります。

なんと、島の休火山が急に活動開始!島全体が大噴火をはじめ、そのために恐竜さんがまさかの2度目の絶滅の危機に。恐竜を救出すべきかそのまま何もしないのか、社会の議論は真っ二つに分かれます。『ジュラシック・ワールド』の元経営責任者で廃園の原因を作った張本人の1人、ブライス・ダラス・ハワードはすっかり気持ちを入れ替えて、絶滅危惧生物の保護団体のスタッフの1人として恐竜救出について政財界に働きかけている。しかしながら、政府は救出せず、を決定。最後の望みをかけて『ジュラシック・ワールド』の前身『ジュラシック・パーク』計画を推進していた大富豪の1人ジェームズ・クロムウェルを訪れます。余命いくばくもない高齢者のジェームズ・クロムウェルは孫娘のイザベラ・サーモンちゃんと寂しい生活を送っていますが、恐竜さん保護に対する意欲は何故か異様に高く、自分の財団の力で恐竜さんを別の島に移住させる計画を進めようとしています。

ブライス嬢はこれと協働するため、保護団体のメンバー2名と、役柄を選ばない売れっ子ヒーロー、クリス・プラットとともに恐竜救出に向かいます。今回のクリス・プラットは前作に引き続き世界で唯一の恐竜調教師という役柄。怪物系には強い!クリス・プラットです。

で、火山の噴火によって島中(文字通り)火だるまになっていく『ジュラシック・ワールド』から辛くも脱出し、何匹かの恐竜さんを助け出したものの、ところがどっこい!恐竜さんを別の安全な島に移住させる、なんて話は真っ赤なウソで…。

 

イマドキ、ヴァーチャル・アイドルなどは珍しくないし、リアルなアイドルとかと同じようにそれなりに“ファン”になって熱中できる…というのはアリでしょう。でも、お気に入りにはなっても感情移入できる、とまではなかなかいかないのが現実ではないか。

でも、本作の恐竜さんたちは、前述のとおり、CGとロボットを巧みに使い分けちゃんと“生きもの”になっているところが演出も含めて巧妙です。

今までの映像の中の恐竜さんは、“リアル”といっても「見た目がリアル」とか「動きがリアル」とかそんなレベルだった。けど、本作はもうすっかり「動物さん」です。もうペットと変わらない?動物さんに感情が宿っている。「イタイ」とか「怖い」とか「悲しい」とか、そんな“雰囲気”がちゃんと伝わってくる。

この差はかなり微妙なのですが、結構大きな差ではないか?どうぞご自分の目でお確かめください。

 

『ジュラシック・パーク』シリーズは、本作を含めて5作ですが、前期3作は滅んだ種の復活という人間の行為がどのように世界に影響を与えるのか…という、どちらかというとフワッとしたテーマでした。それが、前作、本作の後期2作になってくるとよりテーマの明確化が図られました。

 

それは「遺伝子操作」。

前期3作でも遺伝子の組み合わせ、には触れられていますが、それは長い時間を経て損なわれてしまった遺伝子情報をどのように修復するか…という技術の1つとして、あくまでも恐竜復活のテクニックとして語られていました。

が、後期2作では新種のハイブリッド恐竜を創り上げるため…といった、より積極的な意味で用いられます。本作でも、全く新しい『インドミナス・ラプトル』という遺伝子操作で出来上がった凶悪な“恐竜”が登場するのですが、これは過去に存在した種ではない。すでに“恐竜”と言ってよいのかも疑問があります。

本作はさらにそのテーマを前面に押し出して、人類が生命を創造することの可否というか問題について掘り下げた作品となっています。

う~ん、あくまでも娯楽作品ではあるものの、映像にしても内容にしてもチャレンジングなこのシリーズは、意外にあなどれない作品ではないか…そんな気もしてきました。

 

魅力的な恐竜さんたちに比べて、人間さんたちのキャラクターは紋切型(わかりやすさが身上の娯楽作品の宿命ですが)なのがちょっと残念。

その中でもちょっと注目なのが2人の女性。一人は後期2作の主人公ともいえるブライス・ダラス・ハワード。もともとキレイ系の女優さんですが、年齢には勝てない…そんな逆境?を苦ともせず(笑)コメディエンヌっぽい演技でむしろ若い時のイメージよりも愛らしい感じです。こらかも可愛らしいおばさま、というかお姉さまとして頑張ってほしい。

そして、大富豪の孫娘役のイザベラ・サーモンちゃん。こまっしゃくれた子役でない感じが好感です。意外に透明感のある女の子俳優が少ないような気がするハリウッド映画の中では貴重なキャラになる…かもしれない、という点でイイかも。

 

★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品

★★★★  傑作!こいつは凄い

★★★   まあ楽しめました

★★    ヒマだけは潰せたネ

    失敗した…時間を無駄にした

 

☆は0.5