今、世界は狩猟により生活を養うものが多くなっていた。
狩猟を本業とするハンターは、世界各地に点在する、ギルドというところに所属し、そこでクエストを貰い、達成することで収入を得ていた。
夏綺は大都市ロックラックシティのすべてのギルドの総本部ギルドの特殊狩猟部隊から、ユクモ村という小さな村のギルドに派遣されることになった。
今ユクモ村では、多くの強力なモンスターの目撃の情報が大量に寄せられているからである。
ユクモ村のような小さな村のギルドでは、とても手に負えないほどにまでなっているのだ。
そして、村に到着した夏綺は村長の元に訪れていた。
「はじめまして、ユクモ村、ユクモギルドに派遣されることになった、夏綺と申します」
「あなたが例の・・・。よろしくおねがいいたします、今ユクモ村はモンスターの被害が多発しています。此処のハンターだけでは手に負えなくなっていて・・・。早速ですが、今丁度モンスターが目撃されたところで、そちらに向かってもらいたいのですが・・・」
「ほんと早速ですね。わかりました、任せてください!」
「では、道案内は、あなたのオトモを努めてもらうアイルーの、ハルとアキにさせますので。ハル!アキ!」
「「ニャァ!!」」
村長が名前を呼ぶと、勢いよく二匹のアイル―が駆け寄ってきた。
ハルと呼ばれた方は、桜色の毛並み、秋と呼ばれた方は、ブラウンの毛並みをしていた。
「こちらが、夏綺様です。しっかりとオトモを努めてくださいね」
「「ニャァ!!」」
「では、よろしくお願いします」
「あぁ、わかりました。じゃぁ、道案内頼んだぞ、ハル、アキ!」
「「ニャァ!」」
そう言って、一人と二匹は狩りに向かった。
~今回の狩猟内容~
危険度 ☆
アオアシラ 一頭
報酬 1000z
~夏綺、ハル、アキの現在の装備~
武器 ユクモノノダチ
防具 ユクモシリーズ
武器 ネコボーンピック
防具 なし
武器 ネコボーンピック
防具 なし
「ここだニャ!」
ハルがいう。
夏綺たちの目の前には、広大な大自然が広がっていた。
「俺たちが、エモノの匂いを探るから、ついてきてニャ」
「おう、任せたぞ」
そう言って夏綺たちは、大自然の中に足を踏み入れた。
森の中には、虫が飛び交い、モンスターがいろんなところから森の侵入者を観察していた。
「すごい見張られてるな」
笑い混じりに夏綺がつぶやいた。
「ここは、多くの種類のモンスターや生物が生息してるからニャ。村人が一人で入ることはまずないからニャ」
アキが説明する。
「シッ!静かにするニャ。エモノの匂いが近づいてくるニャ」
ハルが注意したその時。
ガサガサッ
夏綺たちから、数十m離れたところの茂みが動いた。
そして・・・
グルルルッ
ガサガサッガサガサッ
グルルル グルル
「なっ!?」
夏綺は茂みから出てきたモンスターを見て驚嘆した。
それもそのはずだ。
今回のターゲットは、アオアシラ一頭と聞いていた。
しかし、今夏綺たちの目の前に現れたのは、一頭ではなく、六頭のアオアシラであった。
「おい、群れだなんて聞いてないぞ!?」
「たぶん、見かけた者は、あの中の一頭を見てすぐ逃げてきたんだろうニャ。だから、一頭という報告になったんだニャ」
アキが静かに答える。
「夏綺様、大丈夫かニャ?ここは一旦退いて、体制を整えた方が・・・」
ハルが心配そうにいう。
「大丈夫だ。報告と違うから驚いたが、アオアシラ程度が何頭いようが、俺は問題ない。お前ら、ビビったならここに隠れてまっててもいいぜ?」
余裕の笑みを浮かべながら夏綺がいう。
「「大丈夫だニャ!」」
ハルとアキは、見くびられて少し腹を立てながら答えた。
「よし、じゃぁ、俺の援護任せたぞ」
そう言うと、夏綺は勢いよく、アオアシラの群れの前に飛び出していった。
「おい!かかってこい、アオアシラ!」
アオアシラは急に現れた敵に一瞬遅れて反応した。
グオォォォォォォォォ!!!!
雄たけびを上げ、六頭の内の五頭が一度に夏綺に襲いかかる。
普通なら危機的状況であるこの状況でも、夏綺は全く動じていなかった。
普通は、背中にかける太刀を、夏綺は腰に刺していた。
これが夏綺の第一の特徴である。
重く、長い太刀は背中にかける事で何かに引っ掛かる危険性を抑え機動力を上げているが、夏綺はそれをわざと腰に刺すことによって、機動力が落ちるのと引き換えに、他のハンターに真似できない技を持っていた。
アオアシラが、夏綺の半径二mつまり、夏綺の間合いに入った瞬間―
「威合 壱ノ型 ”絶域”!!」
目にもとまらぬ速さで、夏綺が太刀を振りぬいた。
ドサドサッ
五頭のアオアシラは首から血を流し倒れていた。
―な、五頭を一瞬で一度に狩ったのかニャ!?―
それを見ていた、ハルとアキはあっ気に取られた。
そして、一匹のこった、ボスらしきアオアシラは、怒り、夏綺に突進してきた。
グオアァァァァァ!!!!!
夏綺の目の前で急ブレーキをかけ、鋭い爪を夏綺めがけ振りおろした。
ブウォン
アオアシラの爪が空を切る。
ズガァァ!
振り下ろした爪の軌道に夏綺の姿はなかった。
「スマートじゃ、ないなぁ」
夏綺はアオアシラの背後に立っていた。
グオォ!?
驚いたような声をあげ、アオアシラが後ろを向く。
そして、夏綺はもう一つ、”特別”を持っていた。