訳の分からぬまま、退色は加速する。
あれ程鮮やかだった景色は殆どモノクロームとなり、
じわり、じわりと暗がりに呑まれてゆく。
だのに、陽の高さは変わらない。
その奇異な光景は俺の心に恐怖の穴を穿ち、
外向きへ削り削ぐように広がり、侵食してゆく。
『俺は何処に居る。
何をしている。
これからどうなる・・・・・・?』
(誰か)
(助けて)
・・・・・・知らぬ間に、音も絶たれたのであろうか。
先刻までの風のざわめきも、
まさに発した筈の俺の叫びも、
何も聞こえない。
静まり返ったモノクロームの世界は更に暗さを増してゆく。
外から内へ、視界の渕から中心へと向かって、
闇のヴェールに巻かれる様に、
景色の中の有象無象は輪郭を失う。
俺の恐怖は絶望へと変わりゆく。
『何も判らぬまま、俺も巻かれて消えるのか?』
その刹那。
先刻の俺の叫びが通じたのか、
目前に人影を認める。
見覚えの有る、シルエット。
貴女はいつからそこに居たのか。