梅雨の雨を遮り 手繰り寄せる 小鳥の声
目下を流れる沢山の物語
眺めて 扇ぐ
どこから来て どこへゆくのか
雨の日に雨宿りする彼女
悲しげな目を 今日も拭う
ほんの僅かな嘘 それっきりでもいい
僕が彼の言葉になって
紅葉の樹の下で泣いている彼女に
優しげな愛文を贈る
どうか彼女の心に深い傷が
残りません様に…
開く携帯電話 着信は相変わらずで
水溜まりがヒールを奪い
冷たく浸す
帰りを急ぐ革靴の音
雨足も速まるばかりで
一向に陽射しを許さない
鞄にぶらさがるクマの縫いぐるみ
大切そうに匿って
濡れてゆく体と 冷えてゆく愛の
声を塞ぎ 待つ瞳
どうか彼女の心を切ってあげて
それだけでいいから…
もうじき秋が来て 僕は色を変える
燃える様に鮮やかに
ひとりきりで越える 君の冬は永い
どうか春まで繋いでて
ほんの僅かな嘘 それっきりでもいい
僕が彼の言葉になって
紅葉の樹の下で泣いている彼女に
優しげな愛文を贈る
どうか彼女の心に深い傷が
残りません様に…
春まで待ってて…
