もう寝る時間。
だけどふと思い立ってオフスプリングのCDをかけてみた。
ミュージシャンに憧れた十代。
譜面を見ながらギターでなぞった曲の数々。
カートコバーンと今井寿に憧れて、右利きなのに左利き用のギターを買ったせいでちっとも上手くならなかったけど、
夢中で掻き弾いた。
ギターソロを弾けるようになったら嬉しくて友達にも披露してた。
今思うとみんなよく付き合ってくれてたなぁ。
お腹のなかがむずむずするような青春の黒い歴史。
でも愛しい。
あのときと変わらず、うすぐらい部屋で、タバコを燻らせながら聞く。
私の音楽スタイル。
素敵な県道に、近頃よく出会う。
上米内を通る36号線も今日お気に入り登録。

風に乗って時おり運ばれる香りにめまいを覚える。
盛岡への裏道を辿る道程に出会う里山。
山を奥に、緩やかな斜面に段々続く田んぼには均等に電柱が並ぶ。
泥と草の薫風。
その様は、何故か懐かしさと共に強烈に胸を焦がす切なさがある。
叫びたい訳じゃない
辛い訳じゃない
悲しくもない
だけど微笑みではない
頬を歪ませながらもなるべく表情を変えないままに、今は泣きたい。
今ただ泣きたい。
バイクで走るその瞬間にしか味わえない刹那の景色は、時おりどんな感情なのか分からないほどたくさんの波紋を広げる。
今日は少し敏感だ。
道を渡る蛇や毛虫を間一髪で避けて走り、狸の横断を見守りながら、街へと戻る。
暑い。
ああ、旅に出たい。
うんとうんと長い、旅に出たい。






