賢人特質の検証の派生記事

どうせ死ぬなら、美人に魂を奪われたい

 

人間もシムも、不埒ふらちな老人の考えることは所詮こんなものだ。

賢人特質の検証の記事中でカスタム死神について少し触れたが、その作り方をご紹介する。

 

なお、死神はシムが死なないと出現しないため、この検証のために何度も犠牲となってくれたボブ・パンケーキに感謝する。『五万回斬られた男』と称された映画俳優、故福本清三さんには遠く及ばないが、少なくとも10回は魂を刈り取られたはずだ。

 

 

 

  1. 死神になれるシムの条件

 

世代: 若者、大人、シニア(ティーンは死神になれない)

オカルト: エイリアン、人魚、魔法使いは死神になれる(他は未確認)

職業: 無職であること

特質: 隠し特質trait_isGrimReaperが付いていること(3, 4で説明)

性別: 制限なし

世帯: シングル世帯であること

居住: ホームレス世帯であること

衣装: 制限なし。区画に登場する際は普段着[0]が適用される模様

 

無職、シングル世帯、ホームレスは絶対条件だが、拡張パックIsLand LivingのプリメイドSIM ナラニ・マヒアイはこの3条件を満たしているので、MCCCで隠し特質trait_isGrimReaperを付けただけで死神になった。

 

ゲームパックRealm of Magicのモーギン・エンバーも同様に特質の追加だけでOK。モーギンが死神になれるのだから性別による制限はないと言える。

 

 

  2. いずれかのシムが死んで死神が区画に現れる際の行動

 

以下は、表面的に見える行動から推定したもので、正確なものではない。

  • 現在プレイ中の区画でいずれかのシムが死ぬと、区画に死神が現れる
  • 通常のNPCアサインと同様の手順で、特質trait_isGrimReaperを持つシムを探し、キャリアcareer_Adult_NPC_GrimReaperを割り当てる。特質trait_isGrimReaperを持つシムが複数いる場合は、最初に見つかったシムにcareer_Adult_NPC_GrimReaperを割り当てている模様
  • 区画に出現するためには、通常のNPCのようにrollの割り当てが必要なはずだが、死神出現のrollは見付けられなかった(仕事を終えた後、rollstate_soon_exitは付いていた)
  • 死神は、(1) 区画に出現してから検屍を開始するまでの間、(2)魂を刈り取る動作が完全に終了するまでの間、他の行動が割り込めないようロックされ、死神をクリックしてもパイメニューは表示されない。命乞いができるのは(1)と(2)の間だけ
  • 仕事を終えてから区画を立ち去るまでの間は、通常のNPCと同じ状態。この間は、死神をクリックすればパイメニューも表示される。
  • 仕事を終えてから区画を立ち去るまでの時間はまちまち。ゲーム内時間で4時間ほどPCでチャットしていたケースがあった。どういうロジックで滞在時間を決めているかは不明。

 死神が区画に出現中、なんらかの理由でアクションキューがリセットされた(その場にいるシムが棒立ちになって固まる等)場合、死神は何もせず、死亡したシムが直ちに骨壷または墓石になることがある。

 

 死神の足元から出る黒い煙、空中浮遊して移動するのは、死神の特質trait_isGrimReaperに紐ついたアニメーション。自シムにこの特質をつけても声が変わり、足元から黒い煙が出て、空中浮遊で移動するようになる。

 

 

  3. 隠し特質trait_isGrimReaperについて

 

はじめに、当該特質は隠し特質であり、2024年6月時点の情報であることをご理解いただきたい。今後、予告や説明なく変更されることもあり得るということをご承知おき頂きたい。

 

1)不老不死になる。死神を強制死させた場合、死神は出現しない

  • 通常のプレイでは不老不死になる(MCCCコマンド等の特権命令を指示した場合を除く)
  • この特質を持つシムに対してMCCCメニューの「シムコマンド>シムのメンテナンス>シムを殺す」を指示すると、死神は登場せず、墓石/骨壷も出現しない。

2)区画にNPCとして登場することが殆どなくなる

 

 毎朝ジョギングで区画に現れるナンシー・ランドグラーブやエリザ・パンケーキにこの特質を付けると、ランナー(役割名はjoggerだったかもしれない)のrollを割り当てる際のチェックによるものなのかどうかは分からないが、それ以降まったく現れなくなった。まあ、空中浮遊でジョギングするのは明らかに変だから当然といえば当然だ。同様に歩行者(walker)、釣り人(fisher)として出現したことも、今までの所ない。

 一方、trait_isGrimReaper特質を付けたティーンは午前10時過ぎ、16時前後のティーンの出現しやすい時間帯に区画に現れる。NPCティーン出現頻度の高いSan Myshunoは確認していないが、同様の傾向だと思われる。これはティーンの死神はいないという前提でNPC出現時のチェックが行われているからだと推察される。

  • 死神の区画への出現の設定は、PCに表示されるMCCCの設定メニューに2箇所ある。
  • 一つは「MCCCの設定>死神は区画内のみ」で、これをtrueにすると、道路上など区画の敷地外でシムが死んだ場合に死神が登場せずに直ちに墓石/骨壷になる、という設定だが、副作用として死神特質を持っているシムが区画にNPCとして出現しなくなる。
  • もう一つの「MC-Population>死神のランダム出現」をtrueにすると上記が回避され、死神特質を持ったシムが区画に出現することがあるが、出現するのは新しいセーブデータでプレイ開始直後などNPCが極端に少ない場合に限られるようだ。
  • 今回の検証では「死神は区画内のみ」の設定を止め、「死神のランダム出現」は許可しない設定にして行った。

3)独自のアニメーションを持ち、他のシムとは一線を画す行動になる

  • 足元から出る黒い煙、空中浮遊して移動する、エコーとフランジャーのかかった低音ボイスになる、など。
  • 死神の仕事以外で区画に登場する時/区画から立ち去る時も、死神専用のアニメーションが効果音付きで使われる。

4)この特質は自シムにも付与でき、ティーンにも付与できる

 

 試しにゴス家の家族全員にこの特質を付けてプレイしてみた。

 ティーンのカサンドラ・ゴスも声が変わり、空中浮遊で移動するようになった。区画に登場する際に鎌を突き立てて現れるのは面白い。(但し1.でも記載した通り、死神の仕事/役割がアサインされることはない)

 子供のアレクサンダー・ゴスは特質を付けても変化がなかった。特質の適用はティーン以上という設定になっているか、またはアニメーション実行時のチェックでNGだったと推察される。そもそも子供だとアニメーションと身長が合っていないだろう。

 

5)デフォルトの死神は更に特殊

 

 システムが標準的に生成する死神は、家族に加えた後でもMCCCの制御範囲外で、一部のMCCCメニューは表示されるが、何もできない。これがMCCC作者の配慮によるものか、それともMCCCでは制御できない何かが実装されているのかは不明。捕獲したデフォルト死神はCAS画面から削除する(か世帯ごと削除する)以外に削除する方法はない。

 

 

  4. カスタム死神の作り方、入れ替え方

 

作業に必要なMODはMCCC(MC Command Center)

 

手順1. 通常のCAS作成手順でカスタム死神を作成する

 

留意点は、ホームレス、シングル世帯、無職であること。あとはよしなに作って頂ければ良いが、着ぐるみを着用した場合、一部のアニメーションで鎌の柄が服にめり込んで不自然に見える。(気にしなければ問題ない)

これまで、死神の仕事を終えてから区画を立ち去るまでの間に何をさせるか?という観点で複数バージョンを制作した(当記事のおまけを参照)

  • 特質「村の子」を持ち、死神の仕事を終えた後、天灯を飛ばす
  • 特質「鬱陶しい」を持ち、死神の仕事を終えた後、ブリックブロックダンスを踊る

など

 

自己完結型のアクションは、MCCCのセルフコマンド機能を使って指示できる。上記2つの特質を付けた死神は、この方法で指示している。

 

特質以外でも、例えばギターのスキルをMAXにし、好き嫌いの設定で、ギターの演奏を「好き」にして、音楽好きの特質を持たせるなど、取って欲しい行動(この場合はギターを弾く)に誘導できるような設定をしている。

 

 アントニオ・バンデラスの出世作となったロベルト・ロドリゲス監督の映画『デスペラード』の、主人公が仇敵をマシンガンで皆殺しにした後ギターをつま弾くシーンのようにしたいのだが、現状それには遠く及ばない。

 

 

手順2. 作成したカスタム死神に隠し特質trait_isGrimReaperを付ける

 

 チートコンソールを開いて、traits.equip_traitコマンドで付けるのが一般的だと思うが、シムのオブジェクトIDを調べて・・・などの手順が面倒だ。一旦自シムにして、いずれかの区画に入居させ、MCCCの「MC-CAS>特質の管理>特質の追加」を使って、付与している。

 

特質を付けた直後から声が変わり、足元から黒い煙が立ち上り、移動させると空中浮遊するようになればOK

 

なお、死神にはシムの所持品として必ず「死神の不吉なギター」を持たせている。死神の仕事を終えた後、何かの拍子にギターを取り出して弾くこともあるので、念のため、だ。必須ではない。

 

手順3. 放流する

 

死神の世帯を「その他世帯」にする。区画に入居している場合は退去させホームレス世帯にする。

 

 このままでも動作するが、通常のその他世帯だと、後々ご近所の物語、自律行動、cleanup処理などで引越し、世帯の統合、養子の引き受けなどの変化にさらされる。そうなると死神として呼び出されなくなり、別の死神が生成されてしまう。

 

手順4. 隠し世帯にする

 

 そこで、郵便ポストからMCCCメニューの「世帯のチート>隠し世帯にする」で、死神を隠し世帯にする。

 

手順5. デフォルトの死神が出現する場合は捕獲し、無効化する

 

もし、デフォルトの死神が出現した場合は、死神が仕事を終えてから消えるまでの間にSHIFT+クリックで表示されるチートメニューの「世帯に加える」で捕獲し、死神をプレイ済みのシムにする。

 死神が魂を刈り取る前のタブレットとシムを交互に見ている時もチートメニューは使えるが、ここで「世帯に加える」を実行すると、LastExceptionエラーが発生する。

  • チートメニューを表示するためには、予めチートコンソールでtestingcheats trueを実行する必要がある。
  • 通常メニューの「世帯に加わるように言う」だと殆どの場合死神との関係性が足りずに失敗する。

 プレイ済みにすると死神キャリアcareer_Adult_NPC_GrimReaperが解除されるようだが、このデフォルト死神を放流すると、再び死神のキャリアが割り当てられる模様。

 

 デフォルトの死神は、郵便ポストのMCCCメニューにある「シムの呼び出し」や「隠し世帯の表示」では出てこないため、犠牲者が一人必要になる。また、死神が出現してから区画を立ち去るまでの時間はそれほど長くないため、チートメニューを表示するためのチートtestingcheats trueにするのを忘れた、など操作にもたつくと捕獲に失敗することもある。予め犠牲者も複数名用意しておくことをおすすめする。

 

今回は、ボブ・パンケーキを使って「8人兄弟同じ顔のパンケーキ兄弟」世帯を作成した。

 

 なお、赤塚不二夫先生の往年の名作『おそ松君』は「6人兄弟同じ顔」でも、名前と性格は異なり、各々際立った個性が描かれていた。

 パンケーキ兄弟は名前は変えたものの、特質を変更するのは面倒だったので、全員「一匹狼、不精者、陰気」のままで、名前も「ボブ、ボク、ボス、ボツ、バツ、ボン、パン、パー」と、ギャラリーで公開すればアカウント停止になりかねない命名だった。ここで名作を引用したのは恐縮の極みだ。

 

なおデフォルトの死神は、さまざまな制限がかかっているようで、世帯に加えた後も簡単には消したり、動かしたりできない。いつもCAS編集画面から消している。

 

手順6. 死神から通常シムに戻したい時は、特質trait_isGrimReaperを削除する

 

通常シムに戻したい死神シムをクリックして、MCCCメニューの、MC-CAS>特質の管理>特質の削除で、trait_isGrimReaperを削除する。次回から死神として呼び出されることはなくなる。

 

 

 

  番外:死神だって恋をする(が悲恋の結末しか用意されない)

 

2.死神出現時の行動の項で、死神が「ゲーム内時間で4時間ほどPCでチャットしていたケースがあった」と記したが、その時の背景と状況は次の通り。

  • 死神は、若者・女性のカスタムメイド
  • 死神が魂を刈り取ったのは、メインでプレイしていた一人世帯・男性・シニアの自シム。プレイ中のとあるストーリーのエンディング場面だった。
  • シムの名前は「トナリノ・トランプ」で、オリジナル願望「5つ星の悪徳不動産屋」を達成するところだったが、本稿には関係しないので詳細は割愛する
  • 自シムをプレイしている際、実績「死神とウフフなことをする」の獲得を狙って、死神が出現した際には必ず友好的なアクション、誘惑的なアクションを繰り返し行ない、実績も獲得した。
  • 死神には他に関係性を持ったシムがおらず、先ほど魂を刈り取ったシムが唯一の友人であり恋人であった
  • 死神はデートや呼び出しの対象にはなれず、自律で区画にも出現できない。即ち「誰かが死なないと会うことが出来ない悲恋の運命」であった。

チャットは通常、関係性のあるシム同士で行われ、チャットしているシムの頭上に時々+1などの社交値がフロート表示される。これは自シム、NPCを問わず見られる光景だ。同一区画内にいるシム同士でチャットしている場合、同じタイミングで社交値が双方の頭上にフロート表示される。

 

が、この時は、4時間もチャットしているのに一度もフロート表示がなかった。

 

もし死神のチャットの相手が、先ほど自分が魂を刈り取ったシムだったとすると、以下が考えられる。

  • シムが死んだ時、他のシムとの関係は生前同様に維持されるが、死神との関係だけは削除される。この処理はシムが消えて墓石/骨壷が表示されるタイミングで実施されるゴースト化処理の中で行われる模様。
  • 一方、死神はチャットを開始した時点では相手との関係が残っていた(死神は仕事を終えて区画から立ち去る前なので、自分自身を更新する処理はロックをかけている。これは死神イベント中に区画からワールド管理画面に遷移しようとすると「本当に良いですか? これまでの処理は保存されません」という趣旨のメッセージが表示されることから判る。従って関係の更新はロックの開放を待っていたと考えられる)
  • 関係は双方同時に更新されるべきものだから、バグといえばバグだが、双方同時にロックをかけて更新しようものなら一瞬画面が止まる。これを嫌ったというのも良くわかる。(恐らく最近のグラフィクス改善もこういう事の積み重ねなのだろう。ロックを減らすと、処理が劇的に早くなるのはビジネスアプリケーションの世界でも良くあることだ。が、業務システムでこんな処理を書いたら「お前はACID特性も知らんのか」と恫喝まがいの叱責を受けても仕方がない)

上記の実装により、一瞬の更新時間差を突いてチャットを開始することができた死神は、永遠にリプライの来ない相手に対して「誰かが死んで、やっと貴方に会えると思って来たのに、貴方の魂を刈り取ることになった」という切ない思いを一方的にチャットしていたのかと思うと、メインストーリーの結末も雲散霧消、悲恋の物語だけが残る。

 

こういう想定外のドラマツルギーをプレイヤーに感じさせるシムの行動(と一見するとバグと思えるような実装)こそが、このゲームの魅(魔)力だ、と痛感した。実に奥が深い。

 

 

  おまけ:仕事を終えた死神にブリックブロックダンスを踊らせると

 

MCCCメニューにあるセルフコマンド機能を使って、特質「鬱陶しい」を持つ、仕事を終えたばかりの死神に、ブリックブロックダンスを踊ってもらった。

 

その場に居た「8人兄弟同じ顔」のパンケーキ兄弟は、悲嘆に暮れる中でも一斉に笑ってくれたが、NPCの警察官だけパニックを起こして怒り全開になっていた。

 

特質「村の子」も付けていたので、天灯を飛ばしてもらった。誰にも見向きもされなかったのは、社交アクションではなく自己完結アクションだから当然だが、少々寂しい。

 

 そう考えると、自己完結型のアクションなのに他シムに強烈な影響を与えるブリックブロックダンスの破壊力は凄まじい。きっと踊り手から半径nn以内に居るシムはその特質や関係性に応じて笑い・恥ずかしい・怒りなどのバフが付くロジックになっているのだろう。

 

 これからも仕事を終えた死神にこのダンスを踊ってもらい、場の雰囲気をぶち壊してもらうことにする。

 

 

 そういえば、「SIMS4の八百比丘尼」ことアレックス・モイヤーも不老不死だった。彼女も何か隠し特質を持っていそうなので、調べてみるか。

 

(了)