名演は静寂を生む | 閑中閑有り

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コロナ明け、数年ぶりのサントリーホールのコンサート。カーチュン・ウォン指揮日本フィル定期。

マーラーの交響曲第9番。半世紀以上前、社会人になって初任給で買ったレコードがこの曲。LP2枚組の長い曲、独身寮でこの曲をかけると必ず眠ってしまい(特に導入部は眠気をさそう)、フォルテッシモの金管で目がさめた思い出がある。

早めに入場して、曲目解説のプレトークを聞き、90分休憩なしの演奏という長丁場を乗り切るために、開演ベル直前にトイレを済ませた。風邪は治ったが、まだ時々、咳が出たり、痰が絡んだりするので、龍角散で完全武装してコンサートに臨んだ。

この曲は、ピアニッシモとフォルテッシモが頻繁に入れ替わる。幸いピアニッシモの場面では無事で、咳はフォルテッシモのところで出てくれたので、事なきを得た。

日本フィルの演奏は素晴らしく、臨終を迎えるように曲が消え入り、静かに終わっても、オケは弓を止めたまま、指揮者も動かない、聴衆も拍手をしない、、、、1分以上時計が止まったような静寂、緊張感がホールを包んだ。まさに名演が静寂を生んだ。そしてその後の大拍手、至福の時であった。

 

当日配られたチラシでは日本フィルは2023年度ミュージック・ペンクラブ音楽賞を受賞したとのこと。その理由は、カーチュン・ウォンを指揮者に選定し、マーラーのような西欧古典と伊福部・武満などを取り上げレベルの高い演奏をしたこと。

確かにN響などは財力にものを言わせて、名だたる指揮者を招聘しているが、日フィルは若手の指揮者を育てる伝統がある。小澤もそうだし、今度ベルリン・フィルの定期を振る山田和樹も日フィルが育てた。

 

話は変わるが、コンサートでは入口で、チラシというかフライヤというか、、束でたくさん配られるが、今回もらったフライヤに目立ったのがあった。

頭に 「1000」の文字が乗っている。ひと手間かけたフライヤ(コストもかかっている)。

チェロを軽々と持っているチェリスト、、、、、。