福島県いわき市 中釜戸のシダレモミジを訪ねるー “枝垂れ”たモミジはレアなんだそうで | 名宝を訪ねる~日本の宝『文化財』~

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令和7年も間もなく終わります。今年はいつまでも暑い日が続きました。関東では11月下旬でも日中の気温が20℃前後の暖かい日が続き、秋が来ないで紅葉が見られないのではないかと心配しておりました。

 

しかし、ちゃんと秋が来ました。

 

心配したことはなかった。ちゃんと紅葉も見られました。

 

 

というわけで今年は、この季節にどうしても見てみたかった樹があったので、訪ねました。

 

なんでもその樹はイロハモミジなのですが、モミジでは珍しい歪(いびつ)な樹形をしているというのです。といわれると、見てみたくなりませんか?「歪」って、どのくらい歪なの?って。

 

 

というわけで、訪ねた場所は福島県いわき市「中釜戸のシダレモミジ」

 

早速訪ねてみましょう。

 

 

  福島県いわき市中釜戸地区

 

いわき市はかつて、日本一の広さを誇った市です。今でこそ岐阜県高山市の方が広いですが、それでもJR常磐線の駅が14もあります。

 

東日本大震災では津波の被害を受けたことでも知られ、かの福島第一原発も比較的近いです。もちろん、今では放射線被ばくの心配は全くありません。

 

映画にもなった「スパリゾートハワイアンズ」もここ、いわき市にあります。

 

 

 

中釜戸地区はそんないわき市の中でも、山地に寄ったところにあるのどかな田園風景が広がる地区です。

 

 

市内には要所にちゃんと「中釜戸のシダレモミジ」の道順を示す標識があり、迷うことはありませんでした。ただ、着いてみれば何の変哲もない普通の集落だったので、本当にシダレモミジがあるのか心配になりました。

 

しかし何の心配もいりませんでした。有名な樹のようで、ちゃんと専用の駐車場もありました。

 

山村の田園風景が広がる、中釜戸地区の周辺風景

 

中釜戸地区

 

駐車場はやや離れていて、シダレモミジまでは数分歩きます。

 

 

やがて山際に寄ったところに、小さなお堂が見えてきました。標識通りに歩くとそのお堂にたどり着きます。

 

それが、シダレモミジがある中釜戸地区の観音堂でした。

 

中釜戸の観音堂

 

シダレモミジはお堂に向かって右手にある、2本の樹でした。

 

中釜戸のシダレモミジ

 

いい時期に来ました。いい感じに色づいています。

 

呼び方の都合上、斜面下側に近い方の木を「東側の木」、観音堂寄りの木を「西側の樹」と呼ぶことにします。

 

まずは東側の樹から。

 

シダレモミジというだけあって、枝が傘のように広がって見事な樹観を見せていました。

 

東側の樹 東側から

 

 

シダレモミジといいますが、枝垂れているというより、枝が複雑に曲がって伸びているという感じです。

 

枝が曲がっているところは丸く膨らんで瘤になり、節くれだったようになっていて、木全体の奇抜さを演出しています。

 

東側の樹 北側から

 

東側の樹 南側から

 

 

西側の樹は、さらにそれがよくわかります。

 

西側の樹 東側から

 

西側の樹 観音堂の参道から(南東側)

 

ここで一旦、通常のイロハモミジの木を見てみましょう。

 

近くにありましたので、撮影してきました。

 

通常のイロハモミジ

 

主幹が上に伸びて、そこから四方に枝が伸びる感じですね。だから樹が全体に丸く見えます。

 

ところがシダレモミジは、上に向かう主幹がありません。

 

 

この樹はイロハモミジの奇形とされていて、突然変異なのだとか。だから奇妙な樹観をしていたのです。

 

ただ、その解説にも疑問があります。

 

突然変異なのに2株もあるものなのでしょうか?あるいは一方の木の枝が地面に届いて根づき、挿し木のように増えたのでしょうか。

 

西側の樹 西側の斜面上から

 

その疑問はさておき、赤く色づいた枝が四方八方へ伸びるさまは、歌舞伎の「連獅子」の毛振りを思わせます。

 

豪快です。カッコいい。

 

西側の樹 観音堂の縁側から

 

西側の樹 観音堂参道から(南側)

 

西側の樹 複雑に枝が伸びる様子

 

朝一番に訪ねたため、周囲には人もおらず、ゆっくりと奇抜な樹幹と見事な紅葉を堪能できました。

 

ただ、来た時には私の車1台が止まっていただけの駐車場が、平日にもかかわらず(私の仕事は平日が休み)帰りがけには満杯となっていてシダレモミジ見学の人々が列をなして向かってきてました。

 

人気の場所のようです。ここを訪ねるなら朝早くをお勧めします。