栃木県壬生町・愛宕塚古墳、吾妻古墳を訪ねるー   古代しもつけ国の巨大古墳(2) | 名宝を訪ねる~日本の宝『文化財』~

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琵琶塚古墳、摩利支天塚古墳に続いて、栃木県壬生町内にある「下野型」古墳、愛宕塚古墳吾妻古墳を訪ねました。

 

ただ、この「下野型」という語、今のところ明確に定義できているわけではないようです。

類型は多いが、きちんとした体系化ができていない、というところでしょうか。

 

 

この町には古墳時代後期に築かれたいくつもの古墳があるのです。

国指定史跡となっている古墳だけでも5件もあります。

その他にも日光西街道(壬生通り)が通っていた関係で壬生一里塚なども残っていて、見どころの多い町です。

それらについては別の機会に紹介します。

 

 

 

まず訪ねたのは愛宕塚古墳です。

 

壬生町市街地の北東、黒川の左岸台地上にあります。

街道から一歩奥へ入ると大きな森が見えてきました。入口には鳥居があります。

愛宕塚古墳の上に祀られている愛宕神社の鳥居でした。

 

愛宕塚古墳

 

神社の参道は古墳の堀をまたいでいるので、一旦下がっています。

堀は意外と深く感じます。

 

愛宕神社参道と愛宕塚古墳前方部

 

そして、下の写真が愛宕塚古墳の周溝です。古墳の巨大さが伝わるでしょうか。

 

愛宕塚古墳の周溝(南東から)

 

愛宕神社は前方部墳頂に祀られています。

 

愛宕神社

 

ここから後円部を望むことができました。

雑木が少なくて墳形をよく見渡せます。

 

前方部から後円部を見る

 

そして、後円部側へ回ってみました。

第1段テラスが広いので二段築造の様子がハッキリしています。

 

ただ、この後訪ねた吾妻古墳を見るまでは、“広い”といっても段がハッキリわかるくらい、に思ってました。

充分広いですけどね。

 

周溝の対岸から見た後円部

 

 

 

 

愛宕塚古墳を後にして、続いて吾妻古墳を訪ねました。

 

この古墳、周辺は産廃業の工場が多く、こんなところに古墳が残ってるのか?と思うような場所です。

大きな雑木林が見えてくると、そこに『国指定史跡 吾妻古墳』の看板がありました。

 

駐車場はないので、空き地を見つけて車を止め、歩きました。

 

巨大な濠が見えてくると、本当に古墳があるんだと、安堵しました。

堀の畔に解説板があります。

 

そして下の写真、吾妻古墳の標柱があるのですが、ここは古墳の墳丘下、ではありません。

左に写っているのは間違いなく墳丘なのですが、さて、どこでしょう?

 

吾妻古墳 標柱

 

実は、ここが第1段目テラスの上なのです。

テラス、広すぎませんか?

 

時期が下って「下野型」古墳が大成してきたのが、吾妻古墳という感じです。

第一段目テラスが広くなってくる、といいますが、古墳を造るための台部が設けられて、その上に前方後円墳が乗っている、といった方がピッタリです。

 

吾妻古墳の後円部を堀底から見たのが下の写真です。

 

後円部

 

墳頂にも登ってみました。

テラスが広すぎて、裾部がはるか遠くに見えます。

 

後円部墳頂から前方部を見る

 

主体部は前方部前面にあった横穴式石室でした。

この石室、江戸時代に壬生城主が庭石用に掘り去ってしまい、今は見られません。

 

前方部の石室跡

 

ただ、近年発掘調査が行われ、石室の基底部が残っていることがわかりました。

 

そして下の写真が、堀底から第2段目を見上げたところです。

第1段目が、まるで古墳が築かれた地面のように見えませんか。

 

吾妻古墳第2段目

 

そして、その周溝です。ここを掘った土を古墳に盛り上げたのだろう、と思うのですが、土の量が多過ぎじゃない?

余ったんじゃないの?という大きさではありませんか。

 

吾妻古墳周溝

 

壬生町の市街地に残る壬生城址には、吾妻古墳の石室石材が残っています。

城内に残されているのが玄門石でした。

凝灰岩製です。見事な切り石です。

 

吾妻古墳石室部材 玄門石

 

城址入口には天井石も残されています。

 

吾妻古墳石室石材 天井石

 

この石材、玄門石だけ凝灰岩製で、天井石が硬質の火成岩なので、吾妻古墳から持ち出された石室石材なのか疑わしいとされていました。

しかし、発掘調査で石室基底部が発見され、同じ石材だったため吾妻古墳から持ち出されたものと確認されたのでした。

 

 

 

 

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愛宕塚古墳大正15年2月・国指定史跡 栃木県下都賀郡壬生町壬生甲)

吾妻古墳昭和45年7月・国指定史跡 栃木県下都賀郡壬生町藤井・栃木市大光寺町、石室部材は栃木県指定文化財

愛宕塚古墳は栃木県下都賀郡壬生町のほぼ中央、黒川左岸の台地上にある前方後円墳です。墳長が約82m、後円部は高さ約5.5m、前方部は高さ約6.5mあります。表面には葺石が確認されています。栃木県央部で多く見られる第1段テラスが広く造られる特徴が見られます。墳丘には円筒埴輪列が、周溝外側の周堤帯上、第1段テラス面、墳頂部の3列見つかっています。これらの円筒埴輪は墳丘上と周堤で規格が違うのが特徴です。

吾妻古墳は愛宕塚古墳の南方にある、栃木県下最大の前方後円墳です。墳丘長は約127m。前方部前面に横穴式石室があったことがわかっており、そこから運び出された石材が壬生城址公園内に残されています。

 

 

 

 

 

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