静岡県伊豆の国市・北江間横穴群を訪ねるー   北伊豆の横穴墓群は、地域色が強い!(2) | 名宝を訪ねる~日本の宝『文化財』~

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前回に引き続いて北江間横穴群の紹介です。

 

続いて向かったのは大師山支群です。

 

こちらに駐車場はないので、そこそこ距離はありますが大北支群から歩いて大師山へ向かいました。

 

 

伊豆中央道の高架をくぐり、住宅が並んだ山すそ沿いの道を進んでいくと、「北江間横穴群(大師山)入口」の標識がありました。

 

 

大師山支群遠景

 

 

上の写真で中央右寄りにある山の頂上よりやや下のところに、ほぼ横一列で横穴が並んでいます。

 

 

標識に従って曲がり、住宅の間を進めば山道に入ります。

 

 

人通りがなくちょっと不安になりますが、ぐっと堪えて進んでいけば、やがて大師山支群に到着します。

 

 

大師山支群(1号・2号横穴)

 

 

1号横穴と2号横穴には石棺が残っていました。

 

1号には刳抜型の独立家形石棺があります。

 

 

1号横穴

 

 

 

穴もずいぶん大きいです。

 

 

人が立って入れるくらいの高さがあります。

 

 

 

1号横穴の内部

 

 

1号横穴の石棺は、盗掘穴が開けられているのが残念です。

 

 

 

反対側には盗掘穴と同じ位置に丸い削り込みがあります。

 

 

石棺に残る円形の削り込み(奥側)

 

 

石棺蓋は、切妻屋根のようです。

 

ノミ跡が残る石室の壁面と違って、ずいぶん丁寧な加工です。

 

 

1号横穴の石棺の蓋

 

 

なお、石棺の内部はこのようになってました。

 

 

 

蓋裏の加工がやはり丁寧ですね。

 

 

 

1号横穴の石棺内部

 

 

そして、1号横穴で特筆すべきは、この奥壁近くの床に残る小さな窪みでしょう。

 

 

奥に残る小さな穴

 

 

何とこれ、大北支群で見た火葬骨を埋葬したミニ横穴と同様のものだそうです。

 

 

家形石棺が置かれてから、だいぶ経って作られたのではないでしょうか。

 

 

 

「だいぶ経ってからとはいえ、腐った死体がある横穴をもう一度開くって…」

 

 

 

…ちょっと想像して気分悪くなりました。

 

 

 

次へ行きましょう。

 

 

 

 

隣にあるのが2号横穴です。

 

 

2号横穴

 

 

やっぱり大きいですね。

 

 

 

ここでは、古い横穴ほど大きいようです。

 

 

 

 

2号横穴には造り付けの家形石棺がありました。

 

 

 

 

造り付けの石棺というのが、おもしろいです。

 

 

 

 

 

横穴を掘りながら、石棺を想定して削り出しているのですから。

 

 

 

 

石棺の蓋に何やら銘がありますが、江戸時代のものであり、近隣の新田開発に関する経緯が記されているそうです。

 

なんでこんなところに彫ったのでしょうね?

 

 

2号横穴の家形石棺

 

 

 

 

残念ながらやはり盗掘されていたようです。

 

 

 

2号横穴の石棺蓋

 

 

 

 

 

石棺内部はこのようになっています。

 

 

2号横穴の石棺内部

 

 

 

 

 

大師山支群にはもう一つ、石棺が造りつけられていた横穴がありました。

 

8号横穴と呼ばれています。

 

 

 

 

この横穴には玄室の両脇に2つの造り付け石棺がありました。

 

 

8号横穴

 

 

 

 

 

8号横穴の内部

 

 

 

 

 

向かって左側の棺

 

 

 

蓋合わせの削り込みまで残っていて、「仕事が丁寧だな。」と思いました。

 

 

 

 

 

向かって右側の棺

 

 

こちらは状態が悪いのが残念です。

 

 

 

 

この横穴には、閉塞板を入れるために、入り口側の天井や壁に溝状の削りこみ跡がありました。

 

 

 

 

今日までちゃんと残っているのに驚かされました。

 

 

閉塞のための削り込み跡(赤い矢印のところ)

 

 

 

 

 

閉塞のための削り込み

 

 

細い丸タガネのようなもので細かく整形した様子までわかります。

 

遺跡好きは、こういうのが残っているのを見つけると嬉しくなってしまいます。

 

 

 

 

 

 

別の横穴には排水のための溝跡がある墓前域も残っていました。

 

ホントちょっと感動…

 

 

溝跡が残る墓前域

 

 

 

 

 

こんな小規模な横穴群でも、石室の形状までいろいろあるのもおもしろいです。

 

 

 

 

様々な石室の形  方形(上)と蒲鉾型(下)

 

 

 

 

 

北江間横穴群、いかがでしたか?

 

観光地ではないので整備やアプローチ等にかなり難がありますが、興味ある方はぜひ一度、足を運んでみてください。

 

 

 

 

 

 

次は、柏谷横穴群に向かいます。

 

 

 

 

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北江間横穴群(昭和51年12月・国指定史跡 静岡県伊豆の国市北江間)

大師山支群は10基の横穴から成り、近くの大北支群とほぼ同時期の横穴群です。盗掘はすでに江戸時代に行われていたため、発掘調査では副葬品は何も出なかったようですが、いくつかの横穴からは墓前から土師器、須恵器などが見つかっています。閉塞石も一部見つかっていて埋葬時の様子が復元できたようです。小規模ですがバラエティにあふれた横穴墓が見られます。

 

 

参考文献:

静岡県教育委員会 『大師山横穴群』 伊豆長岡町教育委員会(1981)

 

 

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