室内飼育の成猫にワクチン接種。その是非を吟味する。 | 渋沢どうぶつ愛護病院のブログ

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日々感じたことを、ときどき綴ります。

 

先日、ワクチン接種に来た11歳の猫は、

飼い主によれば、連れてくるのにとても苦労するのだという。

隠れる、逃げる、抵抗する。

 

この猫は、完全室内飼育だ。

そこまでして病院に行って、感染のリスクも低いのに、

ワクチンを接種する意味合いはあるのだろうか、

飼い主は、切実な想いを吐露した。

 

子猫の時期は、ワクチン接種の必要性は高い。

しかし、成猫になったら、より大事にするべきことが出てくる。

ワクチンを接種しなくていいということではなく、

優先順位が変わるということだ。

 

この11歳の猫については、

飼い主と相談して、血液検査をすることにした。

連れて来る・来ないとは関係ないのだが、

今回については、高齢であることから、健康状態の把握を優先した。

 

幸い、検査結果は、すべておおむね参考基準値の範囲内で、

現時点で異常は認められなかった。

 

ワクチン接種をするよりも、検査で異常がないとわかって、

飼い主は安心できたのではないだろうか。

 

当院では、ワクチン接種をする意味を、飼い主とともに、毎回吟味する。

年齢や生活環境を確認し、本当に前年と同じワクチン接種が必要なのか。

 

相変わらず、ダイレクトメールを送るわけなのだが、

その都度、接種するべきか、せざるべきか、念入りに確認するようにしている。

 

 

 

院長 渡部伸一