「鞘師里保」と、モーニング娘。

寝転べば果てしなく天高かりき　　青島玄武

2015年10月28日。

モーニング娘。'15の9期メンバー、鞘師里保が、2015年12月31日をもって卒業することが発表された。

このたびの一連のこの卒業にまつわる報道などを細かく拾って読み、鞘師へのインタビュー記事が載った雑誌などを買って読み漁ってみて、思ったことがある。

鞘師里保は、あまりにも過小評価されすぎているし、
モーニング娘。は、あまりにも過大評価されすぎている。

ということだ。

B.L.T. 2016年 01 月号 [雑誌]/著者不明

￥590

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ENTAME(エンタメ) 2016年 01 月号/徳間書店

￥630

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鞘師里保の凱旋公演となる、モーニング娘。秋ツアー広島公演を見に行って、上掲の雑誌を読んだ方ならば、わたくしとほぼ同じ意見となるはずだ。

世間では、モーニング娘。のエースを背負いきれなかったストレスからの卒業だ、だの、エースとしての器にあらず、それを演じようとしてその比重に耐えられなかったからだとするなど、ネガティブな解釈が蔓延していたが、この二誌のインタビューと、広島公演での鬼気迫るパフォーマンスを見れば、もうすでに鞘師自身が、モーニング娘。に存するには肩身が狭いほどまでに成長したということが容易に見て取れた。

あの眼は、まさに十二天曼荼羅の不動明王のそれであった。

※十二天曼荼羅。中央の不動明王は四臂である。

そもそも、モーニング娘。（ハロプロ）とは、アイドル活動を行う場所でなく、メンバーそれぞれのための人生創造の場である。

国民的アイドルとして立脚し、不動の地位を得たのはもう昔のこと。

現状ではモーニング娘。は国民的アイドルの地位を追われ、失墜し、すでに彼岸のものとなった感がある。
モーヲタは一発逆転を期待しているが、その可能性は今のところまったくない。これが現実で、そこをちゃんと見ているモーヲタは本当に少ない。

圧倒的マジョリティーがほかのアイドルにあって、覆しようのない中、鞘師里保はまさに一騎当千の活躍をしたといえる。
ハロプロにあらざるほかのアイドルの中に、鞘師ファンは多いし、その影響で女性ファンも徐々に増えてきた。

それは思うに、元５期メンバー・高橋愛の在籍した10年間にも匹敵する偉業だ。

エースとしての器にあらざるというのは、いつまでも子ども扱いをする親のような目線での見方であって、それは正鵠を射た答えだとは思わない。

たしかに、鞘師は子供だった。

声も薄く、ハリがなく、頼りなさもあった。

じっさいに遅刻が多く、それは最近まであった。

彼女は自ら声に発して自分のことを語ることがなかったため、ずっとそういう目線で見てきた感はある。

世間的な「鞘師里保」のイメージと、鞘師自身が思う自分のイメージとの乖離に彼女は思い悩んだと思う。

それこそ、エースの証のように感じる。

安倍なつみは重圧の中で、夜は夢遊病状態になったし、後藤真希は世間から「ゴマキ」と呼ばれることを極力嫌った。高橋愛がリーダーでありながら、従来の先輩・後輩の関係の体制を撤廃しようとした理由もそこにあるのかもしれない。
鞘師が感じた重圧は、宿命的ともいえた。

だが、休みなく彼女は自分の中で自分を成長させ、ついにはモーニング娘。に在籍する中で、着実に歩を進めて山を登れば次の峠が見えるように、自分のやるべき道を見出したのである。

彼女が見晴るかしたのは、「菅原小春」という峻峰。

モーニング娘。に憧れ、10歳からダンスの道に入り、数々の賞を総なめ。

7期メンバーオーディションに挑むも失敗。

高校卒業後、英語がむしろ苦手という中で、単身アメリカへダンス留学し、努力実って成功し、いまでは「KOKO」という名で、韓国のアーティストの振り付けを担当するなど、活躍は多岐にわたる。

現在、23歳。

奇しくも、この二人の間には、モーニング娘。という縁がある。

これはわたくしの憶測ではあるが、アップフロントはこの人と何らかのコネクションがあるのではないか?

卒業を急いだ理由にはそのかかわりがあるような気もする。

～～～～～

ここで、わたくしが選ぶ、「わたくしの好きな鞘師里保」を、いくつか。

キマグレ絶望アリガトウ

舞台「ステーシーズ」 [DVD]/モーニング娘。

￥4,104

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ミュージカル『ステーシーズ　少女再殺歌劇』のなかから。

ハロー!プロジェクトの全曲から集めちゃいました! Vol.2 吉田豪編/モーニング娘。

￥価格不明

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↑こちらのCDのなかに音源として収録されています。

鞘師里保のすごさを多角的に意識し始めたのは、この『ステージーズ』以降ですね。

ようやく鞘師自身の評価が定まってきたというか、鞘師自身もようやくスタート地点に立ったような感慨を感じたのではないでしょうか。

大好きだから絶対に許さない

Help me!!(A)/ZETIMA

￥1,080

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52枚目のシングル『Hrip me!』のカップリング曲。小田桜とのデュエット曲。
きちんと三度でハモらないといけない、しかも、ころころ上下が入れ替わる。モーニング娘。がただのアイドルではないことを証明して見せる曲。

行くZYX! FLY HIGH

Hello!Project 2013 SUMMER COOL HELLO! ~ソレゾーレ/マゼ.../VARIOUS ARTISTS: ￥8,640; Amazon.co.jp

上掲の2013年、夏のハロープロジェクトのコンサートでのパフォーマンス。

鞘師が、Berrryz工房の夏や君や美と競演したもの。双方互角のパフォーマンスである。

ハローSATOYAMAライフでの鞘師
ハロー!SATOYAMAライフ Vol.16 [DVD]/アップフロントインディーズ: ￥3,292; Amazon.co.jp

「アイドルが畑仕事やってるのをみてるのって楽しいか？」

とばかりいわれていたテレビ東京の番組でしたが、これがなかなか面白いところもあったのです。

畑仕事のシーンを乗り越えた人だけが見られた貴重なシーン。(^_^;)

カルバートン・スミスの告白

ふたつ、不埒な悪行三昧……。

「鞘師里保」と、モーニング娘。