2009年9月13日
最近の韓国・中国・台湾経済情勢について
お知らせ
皆様、いつもお世話になっております。
さて、今般も、私がいつもご指導を戴いているNHKの方から以下のようなご連絡がありました。
新政権に対する期待と一種の不安、皆様方、様々なご意見があるかと思います。
是非、NHKさまのこうした企画を通して、政治の議論にご参加ください。
宜しく御願い申し上げます。
ご意見・ご質問 大募集!
双方向解説・そこが知りたい!『新政権:どうなる内政 どうする外交』
[総合] 9月21日(月・祝) 前10:05~11:54
藤澤秀敏解説委員長・影山日出夫解説委員・城本勝解説委員 ・板垣信幸解説委員・後藤千恵解説委員・
下境博解説委員・大島春行解説委員・島田敏男解説委員・岡部徹解説委員・林純一解説委員・
秋元千明解説委員・出石直解説委員・嶋津八生解説委員・秋野由美子キャスター
日本に「政権交代が当たり前」の時代がやってきたようです。アメリカなどの2大政党政治を見てきた私にとっては「遅まきながら日本でも」という感じで、驚きも危ぐも感じません。政治には安定が必要ですが、許容範囲の中で振り子が振れる政治、つまり国民の意見が敏感に反映される政治は民主主義のあるべき正常な姿です。新政権は早速、有権者が選挙で求めた「閉塞感からの脱却」という課題への取り組みを求められます。日本列島を覆う閉塞感の背景や原因は明らかです。それは金融、経済危機であらわになった日本経済の構造的なぜい弱さ、少子高齢化の速度に後れを取る社会保障や雇用の仕組み作り、国際政治の枠組みが変わる中での日本の立ち位置の不確かさなどです。
解説委員室では新政権誕生の機会をとらえ、9月21日放送の「双方向解説・そこが知りたい!」でこれらの課題にどう対処すべきか、第1部「どうなる内政」、第2部「どうする外交」というテーマでそれぞれ6人の解説委員が議論します。ご意見やご質問、アンケートへの回答を積極的にお寄せください。よろしくお願いします。
※ご意見・ご質問はNHK解説委員室ホームページ・携帯サイトから投稿してください。
☆ホームページ http://www.nhk.or.jp/kaisetsu
☆携帯サイト メニュー→T V→N H K→50音順→双方向解説
来週は中国本土のロシア国境近くである牡丹江に入ります。
また、その後の予定から、場合によっては次回号が9/25、その次は9/27となるかもしれません。
内容が薄くなり、また発行日程が変動することをご了承ください。
先週はインドに入りましたが、その発展の潜在性とは裏腹に現実の困難さも感じます。
こうして考えると、やはり先行している中国本土のほうが総合点では優位になるのではないかと私は見ていますが、最近はインドの評点も高まっていると聞きます。
こうした中、市場では、金融危機を背景として、
(1)中国本土の国内需要は引き続き増加していく傾向にある。この傾向はまだ十数年は続く見込みで、都市化や工業化、消費の影響を受けることになる。都市化は、大規模なインフラ投資と農民の都市流入を意味しており、投資と消費を引っ張り、農村にも利益を与えることになる。
(2)中国本土では総貯蓄率が40%に達しており、投資成長の潜在力となっている。
(3)労働力のレベルが徐々に高まっている。
(4)製造業の応用技術は不足しているが、技術を現実の生産力に反映させる商業化と産業化が始まっている。
(5)インフラ体系が整い、産業の総合的な条件と結びついて大きな強みとなる。
(6)不断に整備されつつある市場経済体制がある。
(7)中西部の発展が加速しており、それぞれの地域に多くの成長分野がある。
(8)地域間の格差が縮小し、公共サービス能力が均等化されつつある。
といったプラスの傾向が見られ、これらを背景として、中央政府による補助がなされ、中西部の後れが取り戻され、財政・税収の体系を適切に改革し、地域差はさらに少なくなっていけば、民意も向上し、更なる発展の可能性を助長するのではないかと見られています。
私もこうした見方に同意であり、やはり、インドよりは中国本土のほうが、外資系企業にとって、ビジネスチャンスの大きい国と見ておきたいと考えています。
皆様方は如何、ご覧になられますか?
[今週のチェック・ワード]
[世界景気に対する国際金融筋の見方について]
皆様方、ご高承の通り、主要国中央銀行総裁は、国際金融の中心地のひとつであるスイス・バーゼルの国際決済銀行(BIS)本部で総裁会議を開催しました。
この会議に於いて、中央銀行総裁団は、
「世界経済が底入れした。」
との認識で一致したことを世界に示しています。
即ち、議長役のトリシエ欧州中央銀行(ECB)総裁は、景気判断を上方修正したことを明言、こうした背景に、
「4~6月期には日本やドイツ、フランスがプラス成長に転じた。
いい指標が確認されている。
安定化の兆しが増えた。」
と説明したのであります。
しかし、一方でまた、
「まだまだ不確実性は高い。
金融市場の機能はまだ正常化していない。」
との懸念も表明、私の見るところでは、特に欧州市場での金融機関の経営状態が依然として悪く、欧州地域全体での資金循環に本格化が見られていないことをトリシエ総裁は懸念していると見ています。
更にまた、
「国によって危機の深刻さや状況が異なる。
当面は危機対応の出口を各国が独自に探るべきである。」
と表明した点も注目すべきでありましょう。
そして、肝心の、
「米ドル基軸」
については、先進国での合意は一応見られたと私は考えており、また、今回の総裁会議の前に開催されたBRICSの会議に、今回は米国のガイトナー財務長官が出席するなど、新興国も、少なくとも一旦は「米ドル基軸」への回帰を許容する姿勢を示しており、こうした動きからすると、
「米ドル基軸の安定と、これに伴う世界経済に於ける信用創造の復活、そして消費の改善が見られ、景気は回復基調に入る。」
と私は見ています。
いずれにしても、早期に景気が本格回復に入ることを期待したいと思います。
[台湾・中国・その他]
―今週の台湾・中国―
[台湾]
台湾政府・財政部は、本年8月の輸出額が約190億米ドル、前月対比10%増となったと発表している。
本年1月対比では53.7%増、前年同月対比では24.6%減となっているが、財政部は、
「年末にかけて輸出回復が続き、11月には前年同月対比でもプラスになる。」
との見方を示唆、台湾経済の回復も本格化していくとの見方を強めている。
今後の動向を注視したい。
一方、政治に目を向けると、劉兆玄・行政院長は、台風8号の死者が600人を超えた責任を取り、自らは辞任し、内閣が総辞職すると表明している。
台風の災害対応が政治的問題にまで発展した形で、馬英九総統はこれを承認せざるを得ない状況となった、
尚、馬総統は、与党・国民党の呉敦義・副主席を後任行政院長に充てる方針を示唆している。
今後の動向をフォローしていく必要があろう。
[中国]
中国本土政府・税関総署は、8月の輸出が前年同月対比23.4%減の1,037億700万米ドルとなり、10カ月連続のマイナス成長となり、また8月の輸入は同17.0%減の879億9,500万米ドルとなったと発表している。
一方、中国本土政府・国家統計局は、8月の工業生産が前年同月対比で12.3%増となり、2008年8月の12.8%以来の高い伸び率となったと発表している。
こうしたことから、中国本土経済は、内需は比較的堅調に推移しているものの、外需部門は依然として不透明であると見ておきたい。
中国本土の企業連合会と中国企業家協会は、昨年の売上高を基準にして本年の中国本土企業上位500社を発表した。
これによると、国有企業で石油大手の中国石油化工集団が5年連続の首位となり、2位には中国石油天然気集団、3位は国有送電会社の国家電網となっている。
尚、500社全体の合計売上高は前年対比19.7%増の約26兆人民元となっており、中国本土経済の堅調さと拡大トレンドを反映した結果となっている。
一方、中国本土政府・国家発展改革委員会は、
「2011年には、1人当たりの国内総生産(GDP)を3,800米ドルに引き上げる。」
との目標を明示した点、注目しておきたい。
また、国家統計局は「建国60周年統計報告」を発表したが、建国以来の中国本土の国内総生産(GDP)の年間平均伸び率は、8.1%、改革開放が始まった1979年以降では9.8%に加速していると報告している。
北朝鮮問題に目を向けると、中国本土政府は、北朝鮮政府が国連安全保障理事会に送った書簡でウラン濃縮実験の成功などを表明したことに関連、
「関係国が大局に立ち、朝鮮半島の非核化プロセスを引き続き推進するよう希望する。」
とコメント、北朝鮮に自制を求めると共に、早期に六カ国協議に復帰することを求めている点、注視したい。
―今週のニュース項目(見出し)―
1. ベトナム、金融センター開発計画について
2. 中国本土、自動車販売見込みについて
本年は1,000万台を突破か?!
3. インド、新車販売について
8月は152,100台。
4. 中国本土、新車販売について
8月は1,138.500台。
5. 中国本土、人民元建て融資について
6. 中国本土、香港での人民元建て国債発行について
7. ベトナム、最低賃金について
8. 台湾、新政策方向について
9. 中国本土、経済政策姿勢について
10. 中国本土、税収動向について
11. インド、鉱工業生産について
6.8%増加。
―今週のニュース―
1. ベトナム、金融センター開発計画について
ベトナム政府はベトナム北部・トンキン湾の沿岸部に「ミニ国際金融センター」を創設する計画を示唆している。
筆者の認識では、ベトナムは工業化を目指すと共に、米国金融機関の後方活動も受けつつ、金融大国化も目指しており、その一環としての動きと見られる。
開設は2020年を目指しており、外資系金融機関などの誘致で金融取引を活性化し、雇用や税収を増やすのが狙いと言われている。
金融や貿易の機能を強化する金融開発特区となり、その開発面積は2,171平方キロメートル、周辺には海洋リゾート関連の施設や居住区を建設し、また空港を新設するほか、港湾や鉄道も整備するとの計画案が示されている。
今後の動向を注目したい。
2. 中国本土、自動車販売見込みについて
中国本土の主要マスコミ紙である新華社通信は、
「8月の中国本土の自動車販売台数は、政府の支援策を背景に、6カ月連続で100万台を超えた。」
と報道している。
これは、中国汽車工業協会(CAAM)の見方を引用したもので、新華社通信は、また、
「本年1~7月の自動車販売台数が既に合計718万台となっていることから、本年の販売台数は史上初めて1,000万台を超えることは間違いないであろう。」
との見方も示唆している。
今後の動向をフォローしたい。
3. インド、新車販売について
インド自動車工業会(SIAM)は、8月の新車販売台数(乗用車、メーカー出荷基準)が、前年同月対比22.4%増の15万2,100台となったと発表している。
前年対比で増加しているのは3カ月連続となっており、また市場の6割強を占める小型車の増加が顕著となっているとコメントされている。
インド経済は内需部門の強さを背景に成長トレンドを維持していると見ておきたい。
4. 中国本土、新車販売について
中国本土・自動車工業協会は、8月の新車販売台数が、前年同月対比81.68%増の113万8,500台となり、6カ月連続で100万台を突破したと発表している。
また、このうち乗用車は90.18%増の85万8,300台となっている。
小型車に対する自動車購入税の引き下げや農村への自動車普及策、旧型車の買い替え促進策などが増加の背景と見られている。
5. 中国本土、人民元建て融資について
中国本土政府は、中国本土の銀行が8月に実施した人民元建て新規融資額は約3,700億人民元となり、7月の3,559億人民元からやや増加したと発表している。
但し、1~6月平均である1兆2,300億人民元は下回っている。
中国本土では、バブル再燃が危惧されており、こんごもこうした人民元建て融資の動向については、高い関心が払われることになろう。
6. 中国本土、香港での人民元建て国債発行について
中国本土政府は、財政出動を伴う景気対策を拡大しているが、この結果として、国債の発行を増加する姿勢を示している。
こうした状況下、中央政府は香港で今月、総額60億人民元の人民元建て国債を発行すると発表している。
中央政府が中国本土と香港の財政金融協力を緊密にすると共に、香港の債券市場を活性化し、香港の国際金融センターとしての地位を固めつつ、資金調達を実施することは不可欠と判断したこと、人民元の段階的国際化を進めていくことの必要性を意識しているため、こうした動きを示しているものと見られている。
今後の動向を注視したい。
7. ベトナム、最低賃金について
ベトナム政府は2010年5月に全国で最も所得水準が低い地方労働者の法定最低賃金を引き上げるとの方針を示唆している。
これにより、現在の月額65万ドンの裁定賃金を約12%引き上げ73万ドンに改定するものと見られている。
ベトナムは毎年、最低賃金を見直しており、賃金の引き上げによって物価上昇の影響を緩和したいとしている。
今後の動向とその影響を注視したい。
8. 台湾、新政策方向について
台湾の馬英九総統は新内閣発足に合わせて、
「台風の被災地復興に力を入れると共に、中国本土との間で経済協力枠組み協議(ECFA)などの経済協議を推進する。」
との政策姿勢を強調している。
馬総統は中国本土との経済協議について、台風被災後約1カ月が過ぎ、協定締結に向けた動きを再開できるようになったとの認識を示し、交渉進展を期待すると共に、中国本土側も台湾との交流を継続する姿勢を見せており、今後の進展を注目したい。
9. 中国本土、経済政策姿勢について
中国本土政府・温家宝首相は、
「世界経済には現在、一定の明るい変化が起きており、緩やかではあるが、回復が始まった。
こうした中、中国本土国内の経済政策については、比較的緩和的な金融政策と積極的な財政政策を継続する。」
とコメントしている。
更に、
「こうした経済政策を着実に実行し、インフレを含むあらゆる種類の経済的リスクを管理するべきである。」
と提言している。
今年は世界経済を検印する原動力となっている中国本土首脳のこうした発言にも注意を払いたい。
10. 中国本土、税収動向について
中国本土政府・財政部は、8月の国と地方を合わせた全国財政収入は前年同月対比36.1%増の5,237億4,700万人民元となったと発表している。
これにより、年初からの累計も前年同期対比2.6%増なり、中国本土経済が緩やかな回復基調を強め、税収も増加傾向に転じたとの強気の見方が強まっている。
今後の動向を注視したい。
11. インド、鉱工業生産について
インド政府は、7月の鉱工業生産指数(速報値、1993年度=100)が289.7となり、前年同月対比6.8%上昇したと発表している。
上昇幅は外需の落ち込みが続き、6月の8.2%(改定値)から縮小したが、内需が堅調となり、インドの景気は全体的に見ると、緩やかな回復基調を保っていると言えよう。
また、主要3分野のうち、製造業は同6.8%上昇、また乗用車の新車販売台数が8月には22%増となり、鉄鋼生産も増加傾向が続くなど、内需は堅調となっている。
[韓国]
―今週の韓国―
韓国政府は、290兆ウォン台の来年度予算案を検討している。
景気不振に伴う税収の落ち込みや財政の健全性を考慮し、来年度予算は本年予算全体(補正も含め総額301兆8,000億ウォン)より少なくなる見込みである。
具体的な予算配分を注目したい。
一方、政治に目を向けると、韓国の与党・ハンナラ党の朴ヒテ代表は、10月の国会議員補選出馬を理由に代表職を辞任し、後任に同党国会議員の鄭夢準氏が就任している。
今後の政治手腕が注目されている。
また、エネルギー政策では、韓国政府はアフリカ・ニジェールよりウラン435トンを年間購入することを決定、これにより、韓国全体の原子力発電の燃料を安定確保する方針を固めている点も、注視しておきたい。
―今週のニュース項目(見出し)―
1. IT輸出景気について
2. 造船・海運景気について
本格回復はこれからか?!
3. ハイニックス半導体問題について
韓国企業への売却を計画。
4. 経常収支動向について
黒字幅縮小。
5. 経済成長率見通しについて
マイナス0.7%達成か?!
6. 斗山重工業、サウジアラビア・ビジネスについて
7. 政策金利動向について
2%で据え置き。
8. STX重工業、サウジアラビア・ビジネスについて
9. 大宇インターナショナル、売却問題について
―今週のニュース―
1. IT輸出景気について
韓国政府・知識経済部は、情報技術(IT)関連分野の輸出額が8月106億米ドルを記録、前年同期対比7.6%減となったと報告している。
知識経済部はまた、IT分野の輸入額は前年同期対比12.9%減の54億8,000万米ドルとなり、IT分野全体の貿易収支は51億2,000万米ドルの黒字を記録したと発表している。
輸出景気の本格回復が年後半の韓国経済を支えるキーポイントの一つであるだけに注目したい。
2. 造船・海運景気について
韓国有数企業グループの一つであるSTXグループのカン・ドクス会長は、造船・海運業の景気見通しについて、
「造船・海運業の景気回復の兆しが一部で見えてきたが、もう少し見守る必要がある。」
との慎重な見方を示している。
そして、更に、
「現在、原油価格が1バーレル=70米ドル水準に留まっており、世界的なエネルギー企業や資源保有国が原油価格の推移を見守っているようである。
このため、海洋プラントの発注が予定より遅くなる可能性も考慮に入れている。」
との詳細なる見方を示している。
そして、この発言を更に読み込むと、
「原油価格が現在より上昇すれば、開発企業などが収益を求めて事業を本格化する可能性が高まる。」
との見方をしているとも言えよう。
今後の原油価格動向と韓国の海運・造船業界の動向を注視したい。
3. ハイニックス半導体問題について
1997年のアジア通貨危機を契機に韓国全体の産業構造調整が政府主導で行われ、その結果としてスタートした企業のひとつであるハイニックス半導体はその後も経営の本格回復が見られぬ中、同社の株式管理協議会(株主団)の代表を務める韓国外換銀行は、
「協議会は今週中にハイニックス売却についての案内を発送し、投資家の募集を行うことで合意した。
今年中に優先交渉対象を選定したい。」
と発表した。
韓国外換銀行、ウリ銀行、新韓銀行、韓国産業銀行などからなるハイニックスの株主団は、ハイニックスの売却制限株となる28.07%を保有、今回売却対象となるのは、株主団が保有する株式全てとなっている。
株主団は今回、ハイニックスの売却先を韓国企業に制限した上で、買収意向書(LOI)の契約を交わしたいとしている。
また、売却先となる企業は、公正取引委員会が指定する企業グループの中で、昨年の資産総額が5兆ウォン以上の29グループと、2007年と2008年の両年に相互出資制限を受けた企業グループの中で、資産総額が2兆ウォン以上の14グループの計43グループとなる。
尚、これに該当するのは三星電子、現代自動車、SK、LG、POSCO、ロッテショッピング、現代重工業、(株)GS、韓進、KT、(株)斗山、ハンファ、STXなどであるが、韓国企業の多くはハイニックスの買収にそれほど関心を示していないとの見方もあり、注視したい。
4. 経常収支動向について
韓国政府・企画財政部は、8月の貿易収支が17億米ドルの黒字を示したことから、経常収支は15億米ドル前後の黒字になるとの見通しを示唆している。
但し、この8月の経常収支は前月の44億米ドルの約3分の1水準であり、今年に入り、経常収支は黒字基調にあるものの、減少している。
8月の経常収支の黒字幅が大きく減少した理由について、企画財政部は、
「船舶輸出の減少、ストライキによる自動車輸出の滞りで、8月の輸出が20.6%減少したためである。」
とコメントしている。
5. 経済成長率見通しについて
韓国政府系Think-Tankである韓国開発研究院(KDI)は、経済見通しの見直しを発表した。
これによると、本年通年の国内総生産(GDP)成長率は当初予想を上回るマイナス0.7%に達すると予測している。
KDIは、
「4-6月期以降、予想を上回るペースで回復基調を示している韓国経済は、下期にも回復が持続する。」
との見通しを示している。
こうした見方も参考に今後の韓国経済の動向をフォローしたい。
6. 斗山重工業、サウジアラビア・ビジネスについて
韓国有数企業の一つである斗山重工業は、サウジアラビアで3,000億ウォン規模の発電設備を受注したと発表している。
斗山重工業は、サウジアラビアのマラフィック火力発電所5・6号機に供給するボイラー(250メガワット級2基)と蒸気タービン2基など、主要機材の供給契約をハンファ建設と締結したものである。
ハンファ建設はマラフィック火力発電所のボイラーおよび蒸気タービンを一括救急するプロジェクトの主契約者となっており、同社からの発注を受ける形でサウジアラビア・ビジネスを展開するものである。
サイトはサウジアラビアのジェッダ地域から北に300キロ離れた紅海沿岸のヤンブ産業団地、36カ月間の工事を経て、2012年に完成する予定となっていると発表されている。
7. 政策金利動向について
韓国の中央銀行である韓国銀行は定例の金融通貨委員会に於いて、
「政策金利を現行の年2%に据え置くことを決めた。」
と発表している。
これにより、政策金利の据え置きは7カ月連続となっており、韓国の景気は主要国に先んじて回復の基調が強まっているものの、企業の設備投資が低迷するなど不透明感も強いことから、低金利を維持、金融緩和政策姿勢を継続するとしている。
今後の動向を注視したい。
一方、韓国銀行は、預け払いが自由な貯蓄型預金に資金が集中し、本年8月の銀行の預金残高が史上初めて1,000兆ウォンの大台を超え、1,004兆6,000億ウォンを記録したと発表している。
8. STX重工業、サウジアラビア・ビジネスについて
韓国や薄浮き業の一つであるSTX重工業は、サウジアラビアから2億米ドル規模の鉄筋生産プラント工事を受注したと発表している。
同プラントはサウジアラビアの経済都市ジザンに建設され、2011年に完成する予定となっている。
9. 大宇インターナショナル、売却問題について
韓国資産管理公社(KAMCO)は、同公社と債権団の管理下にある総合商社・大宇インターナショナルを来月にも売却するとの方針を示唆している。
KAMCOは、内外の経済状況からみて、現在が大宇インターナショナルを売却する適期であると判断し、来月にも売却に向けた主幹事を決めたいとしている。
今後の具体的な動向を見守りたい。
[トピックス]
ちょっと古い話になりますが、2009年2月25日に米国のシンクタンクである情報技術イノベーション財団(ITIF)は世界各国の技術革新と競争力に関する評価報告を発表しました。
これによると、シンガポールが1位であり、我が国・日本は9位となっていました。
そして、その成長率を見る過去10年間の成長度合いでは、なんと中国本土が1位にランクインしています。
ITIFはベンチャーキャピタルの投資状況、科学研究、研究開発費、教育などの各分野について、世界40の国と地域の技術革新と競争力を評価し、こうしたデータを示したものでありますが、首位はシンガポール、以下、スウェーデン、ルクセンブルク、デンマーク、韓国、米国、フィンランド、英国、日本及び北米自由貿易協定(NAFTA)地域と続いています。
前述しましたように、成長性では第一位の中国本土は33位に留まっていますが、1999年から10年間の成長度合いではトップにあり、以下、成長性でも高い可能性を持つシンガポール、これに続いて更に、リトアニア、エストニア、デンマーク、ルクセンブルク、スロヴェニア、ロシア、キプロスと続き、その次に日本が入っているようであります。
一方、注目の米国は、過去10年間で最も成長度合いが少ない国家と評価されている点は注目されます。
さて、こうしたデータを見るにつけ、私が感じることは、
「天然資源に乏しく、それを人財でカバーし、国家の発展を推進しなくてはならない日本は、シンガポールのように技術革新に向けて不断の努力をしなければならない。」
ということであります。
「世界が生きていくために必要とする、水、食糧、原材料、エネルギーなどの分野で、人々が必要とするものやサービスを安価で安定的に提供できる国家となり、正当な対価を得て、日本国民全体が生きていけるような静かで徳のある国家」
を目指し、そのために技術革新にまい進しないと、日本は、
「世界が必要とする国、世界が尊敬する国」
にはなれない、そうなれないと、今後、日本の経済力を中心とする国力が低下すれば、日本は世界から軽視される存在になってしまうと私は危惧しています。
だからこそ、国力のある今のうちに、日本に余裕のあるうちに、日本は技術革新にまい進しなくてはならないと思います。
そして、その際にまた、大切なことは、
「技術革新は単なる理科系的な技術だけでなく、如何にして、安定的な原材料を確保するか?どのような製品であれば世界のニーズは高いか?どうしたら物流コストは安くなるか?といった文科系の力も加味した、総合的なものづくり大国」
となって、
「世界が必要とするものを、安価・安定的に供給する、世界に貢献するものづくり大国・日本」
を目指していくべきであると考えています。
従って、こうした日本の根幹を支えていく上からも、
「真のものづくりの意味を分かる理科系、文科系の逸材」
を養成していくことが大切であり、
「一騎当千」
の人材を育成していくための、ある意味、
「エリート養成」
も一方で進めつつ、低年齢層から、
「ものづくりの楽しさ、即ち、図画工作や理科を軸にこれを体系化していく文科系的なスキルやノウハウを同時に教育していく、新型ゆとり授業を構築する。」
といった教育システムの改善も必要になっていくと私は感じています。
皆様方は如何、お考えになられますか?
[今週の“街角のお話”シリーズ]
今週は東京・蒲田の皆様方とお話しする機会がありましたが、日蓮聖人が亡くなられた池上本門寺のお近くということもあり、本門寺の霊験あらたかなお話やお墓のお話などにも話題が上り、日蓮宗の辻説法にも改めて関心を持ちました。
その帰り、ちょっと遅い時間でしたが、上品な母子と見られる女性たちが電車にいたのですが、お母さんと見られる女性が頭陀袋から毛糸を取り出して編み物を始めました。
何も無いただの糸から見る見る間に洋服の一部を作り上げる姿は素晴らしいものでありましたが、その途中でお母さんが娘さんに対して、
「ねえ、OOちゃん、その頭陀袋(ずだぶくろ)からめがねを取って。
目が疲れたから。」
と話すと、娘さん、めがねを取り出しながら、
「お母さん、頭陀袋なんて言い方、古いわよ。
トートバックって言ってよ。」
と応えました。
すると、お母さん、優しい口調で頭陀袋の何たるかを話し始めたのであります。
聞いていたお話を、帰宅して辞書などを調べた上で、私なりに纏めてみると、
「頭陀(ずだ)とは、梵語のDhūta(ドゥータ=棄捨)の漢訳音写の言葉で、仏僧が行う修行(=乞食の行)のこと、そして頭陀袋とは、本来この乞食の行を行う僧侶が、携行用に用いた袋のこと。
頭陀袋は、もと比丘が山野を行脚する時に、僧伽梨(そうぎゃり)・鬱多羅僧(うったらそう)・安陀会(あんだえ)という三衣が塵や埃、土で汚れないように入れたもの。
時代を経ると、これらの衣だけでなく行乞で供養してもらった物などや仏具なども入れるようになったものである。
今日、運搬用で雑多な物を入れる袋を“ズタ袋”とも言う。
尚、後世になって、仏式葬儀の際、死者の首から提げる袋も“頭陀袋”というようになった。
そして、これは、これから仏教修行の旅に出るという意味合いであり、白い布製の頭陀袋の中には、紙に描いた六文選を入れる。」
というものでありました。
乞食の修行で行脚する際に使う袋が頭陀袋、後世には私の家の家紋である六文銭も入れたという頭陀袋、何かのご縁を感じました。
そして、私はこの夏、飛騨・高山にて、正にこの頭陀袋を一つ求め、全国行脚に雑多の荷物や、暑くて手に抱える上着などを押し込んで、私が目指す辻説法師になる為の旅に出ておりました。
お母さん、楽しいお話を有難う御座いました。
私も、もっともっと街中に出て、乞食修行を続けます。
[主要経済指標]
1. 対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/1,221.80(前週対比+19.70)
台湾:1米ドル/32.53台湾ドル(前週対比+NT$0.33)
日本:1米ドル/90.63円(前週対比+2.40)
中国本土:1米ドル/6.830人民元(前週対比+-RMB0.000)
2. 市場金利動向(%)
短期市場金利(市場金利に変更しました。)
韓国: 2.41
台湾: 0.20
日本: 0.87077
香港: 0.76
注:上記金利は「香港金融市場」における市場金利
3. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):1,651.70(前週対比+42.80)
台湾(台北加権指数):7,337.14(前週対比+184.01)
日本(日経平均指数):10,444.33(前週対比+257.22)
中国本土(上海B):203.112(前週対比+7.255)
以上