2かい連続で消されたのでもう続きからでいいや
②対抗措置:他国の違法行為への復仇(相手国が違法行為を行い、それに対して被害国が停止や賠償を求めている場合に認められる:
ガブチコボ・ナジュマロス事件 )。相手の違法行為と比例する規模・性質・効果のものでなくてはならない(ex.
ナウリラ事件 )。
※武力による対抗措置は禁止(友好関係原則宣言)。
条約の終了や非軍事的な国連の措置などもあり、またILC条文案では、対世的義務への違反校に対しては、全国家がその停止や被害国への賠償を要求できる。
★武力不行使、基本的人権保護、復仇の禁止、強行規範の各義務違反は対抗措置でも阻却されない。
③不可抗力:国家の規制の及ばない、または予見し得ない外的状況によって、国際義務の履行が不可能となる場合。意図的でない義務違反。ex.自然現象による港湾の破壊で、外国船舶の入港を認めた義務を履行し得ない、など。
④遭難:国家行為を行う個人が、自身あるいは他者の生命の保護のために国際法違反義務行動をとるしかない場合。不可抗力と異なり、行為の選択の余地がある。
レインボー・ウォーリヤ号事件 では、生命だけでなく人間の本質的な諸権利の保護のためにも援用できるとされた。
⑤緊急状態:国家が自国の存在その他の重大な利益の保護のためあえて国際義務に違反する場合。代替方法がなく、相手国を著しく害するものであない限り有効。ex.
トリー・キャニオン号事件 ☆
主観的な要件 (故意・過失)
→主観的要件の要素は必要とされるか否か、という問題。一般には客観責任主義が妥当する。
○
国家機関による侵害行為 →立法機関による国際法違反の立法は、国民に選出された(平均人の感覚による)議員の慎重な意思決定手続を経る以上、過失主義は妥当せず、客観責任による。
ただし、権限内の公務中にある公務員個人の行動に関しては過失が問題となり得る。権限外のものは客観主義(権限外行動の国家行動への帰属)。
○
私人による侵害行為 →領域主権のなかには外国人の生命・財産を保護する
相当の注意義務 があり、その侵害を防止しなかったときに国家責任が生じる。
直接救済を担当する司法・行政機関の過失が問題となるか否か。
→司法救済の違法:裁判拒否(受理しない、手続の不正、判決の不正)はいずれも客観的事実であり、仮に主観的責任があるとすればそれは法を制定する立法側に求められるはずである。
→行政機関も同様に、公務員個人の心理は問題とされず、行政機関の行為の客観性が問題(
ノイズ事件 )。
近年では、基本的には国際義務違反の成立には客観主義で十分であり、特に例外的に公務員の公務中の行為に関して過失が問われる場合がある、という考え。
※
国内救済措置 に関して
→必要とされるレベルは、一定の国際的基準を満たすものか、あるいは自国民と同程度であればよいのかという問題 :
国際標準主義 vs
国内標準主義 学説では、居住地域を自ら選択できる以上、その地で与えられる当該住民への保護と同程度の保護が与えられればよいとされる。
☆国際請求 :違反国に対して被害国が請求を行い、加害国は国家責任の解除義務を負う。
△国家責任の発生において、必ずしも実害を伴わない侵害行為があることを鑑み、実質的な損害の発生は要件とされない。ただし、分野によっては実害の発生を要件とする場合もある(環境汚染など)。
また、外国人財産の接収法などは、公布のみでは侵害とはならず、実際に法が適用され(実害が発生し)て初めて国家責任となる。
☆
国際請求の要件 :自国の国際法上の権益・利益が侵害された事実が立証されれば提起可能。
ここで保護されるのは
保護法益 であり、単なる利益とは異なる。被害国は、法益に対する被害と新外国の行為の相当因果関係も立証しなければならない。
ex.
バルセロナ・トラクション事件 等
△国際社会一般の利益の侵害→実害発生を伴うような法益侵害があって初めて、請求を提起できる(
核実験事件 )。
自国の法益侵害を立証できてはじめて、侵害国を提訴できる(
法益侵害の個別化 )。
※
外交的保護 :外国にいる自国民が被った損害について、本国は加害国に適当な救済を与えるよう国際請求を提出できる。
→ただし、ここで保持されるのは国家の権利であって、個人の権利ではない(個人の請求の国家請求への埋没:
パレスタイン特許事件 )。
この発動には、
1)国籍継続(私人が権利侵害から救済措置の実施まで継続してその本国の国籍を保有していること:真正な結合関係があり、中断があってはならない。大国への国籍変更による過度な請求を防ぐため・
ノッテボーム事件 )の原則と、
2)国内救済完了(私人が侵害国の領域内で利用可能なあらゆる救済手段を尽くしてなお、救済が得られない場合でなければならない:
インターハンデル事件 )。請求国は一応の完了を論ずればよい。その反証は違反国の義務である。
この原則は、公務中の個人または自発的でない理由により当該国に入った者には適用されない。また、違反国内で司法制度上私人に適当な救済が与えられないことが明白である場合にも適用されない。
※カルボー条項:ラテンアメリカ諸国の主張した契約中の条項で、私人の救済措置は国内手段のみに限り、本国の外交的保護を認めないというもの。
外交的保護は国家の権利であり、契約において放棄することはできないため、支持されない説である。ただし、その効力を認めた例もある(
北米xx会社事件 )が、その中でも国際法違反に対する本国の外交的保護権は認められていた。
→契約事項についてはカルボー条項の有効性を認める学説もある。
☆
国家責任の解除義務 :加害国の負う義務
→違法行為にはその損害の賠償義務が伴う(
ホルジョウ事件 )。
方法①
原状回復 :違法行為がなければ存在したであろう状態を回復させること。
その違法行為の前後に存在するあらゆる相違を除去する(
プレア・ビヘア事件 、
在テヘラン米国大使館員等人質事件 )。
なお、損害の種類によっては原状回復が困難である場合があり、条約により手段として除外されることがある。
※原状回復が不可能な場合:人命の喪失や義務履行のための立法の不採用など。また、原状回復が無意味な場合や被害国が望まない場合もあり、いずれにせよ、合理的になされる限り、責任解除の方法の選択権は被害国にある。
方法②
金銭賠償 :損害を金銭額に換算し、その金額を支払う賠償方法(狭義の賠償)。他の賠償手段を補充することも多い。対象物の価値は賠償を命じる判決の時点のもの(
ホルジョウ事件 )。
→対象には間接損害も含まれる。
△請求国の国家機関が被った損害は、その実際の損失に関連づけられるものが対象となり(
コルフ海峡事件 )、自国民の損害に関しては算定の基礎は確立されていない(
ホルジョウ事件 )。
※
懲罰的損害賠償 は、重大な過失による場合に導入されるべきとの主張があるが、国際法上は認められない(損害賠償は
損失補填 の方法であり、懲罰的損害賠償は刑罰である)。
方法③
サティスファクション :原状回復、金銭賠償以外の責任解除措置。陳謝や責任者の処罰、再発防止措置など。ILC条文案では違法行為の認容、遺憾の意の表明、正式の謝罪などとされる。
レインボー・ウォーリヤ号事件 :ニュージーランドがフランスに陳謝を要求した(その際、精神的被害に対しサティスファクションだけでなく金銭賠償も要求)。
アイム・アローン号事件 :精神的被害について金銭賠償を勧告。
また、裁判所による違法認定の判決もそれ自体でサティスファクションとなる(
コルフ海峡事件 )。
方法④
違法行為の停止 :従来は原状回復の一部とされていたが、近年は停止を賠償と切り離し、賠償に先立って行われるべき義務(違反そのものの停止)。ただし、違法行為の停止が意味をなさない場合(人命喪失、条約の終了など)には請求の対象にならない。