戯言徒然

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ひびのおもいつきをおもいついたままに。

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国際法各論のじかんだお^^だい27かい!
ひっさしぶりだなー笑
以前やり残した国家責任の前半です。

【凡例】--------------------------------------------------------
赤文字:条約 橙文字:判例 青文字:学説、理論 紫文字:国内法 緑文字:国際会議等
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国家責任:違法行為を行った国際法主体(伝統的には国家、近年は個人または国際機関も含まれる)に対して発生する責任(International Responsibility)。
 ※「いかなる約定違反にも賠償の義務が伴うことは国際法の原則である(ホルジョウ工場事件)」

■契約的義務(条約等)への違反/非契約的義務への違反 に分けられる。
国際法によってのみ違法性の認定がなされる(各国国内法は無関係)
→国内法の民事責任に対応した考え方。直接に被害を被った国の法益を回復することが目的。
 ※民衆訴訟(Actio Popularis)は認められておらず、一般に訴訟を提起できるのは直接の被害国のみ(cf.対世的義務)。

 ※国際社会の一般法益への侵害(対世的義務への違反)はあらゆる国家の関心事項である(バルセロナ・トラクション事件)が、訴訟の提起のためには、原告国がその主張する権利を有形的にかつ明白に保有していなければならない(南西アフリカ事件)(条約により非当事国に当事者適格が認められている場合を除く)。

★責任の発生要件
 ①国家の作為・不作為が国際義務に違反すること(客観的要件)
 ②問題の作為・不作為が国際法上国家に帰属すること(主体的要件)
 →国家は法人である(具体的な作為は個人を通して行われる)→どこまでが「国家」か、の範囲が重要!
  ・・・基本:国内法に基づいて国家機関が行った行為は国家の行為(機関の種類・階級を問わない:マッセイ事件)。州・地方公共団体の行為であっても、その区別は対外的には国家の内部構造の問題に過ぎず、国家の行為とされる(ベラ事件)。
  ・・・権限外の行為は・・・?
   国際法上は国家の行為と見なされる。(例:ユーマンズ事件ケール事件
  ・・・他国に供された国家機関の行為
   例)軍隊。他国の統治権の一部を担う限り、他国の行為となる。
  ・・・私人の行為:国家の要請でない限り、国家の行為とみなされない在テヘラン米国大使館員等人質事件)。ただし、外国人の権利侵害の防止に対する相当の注意を怠った場合、事後救済措置を怠った場合には国家責任が生じ得る。

■違法行為の分類
1)手段・方法の義務:国際法の求める手段・方法が採られたか否かの判断。
2)結果の義務:
 a)特定の結果の達成を要求する義務:方法は自由だが、要求された結果を達成する義務。
 b)特定の結果を達成するか、事後の手段で達成する義務:ex.国際犯罪人に関して、国家は自国での処罰か他国への引き渡しかを選択できるが、そのいずれも行わない場合に国際義務違反となる。
 c)外国人に対する義務:外国人が加害国の国内的救済手段によっても十分な救済を得られない場合の国際義務違反。

※国家の国際犯罪
 →国家の刑事責任であり、従来否定されていた概念。国家の違法行為の唯一の帰結は賠償(アンツィロッティの説
 →第二次大戦後、個人の国際犯罪は追求された(ニュルンベルク、極東軍事裁判)が、国家の刑事責任は認識されていない。
 @ILC条文案:たとえ強行規範に違反する場合であっても、違反国の刑事責任を追及するほど国際法は発展していない。


☆違法性阻却事由
→国家の行為の違法性が例外的に阻却される場合:援用する国家が自ら立証する
 ①:被害国の同意:被害国が事前に有効かつ明示的に違法行為を認めた場合(ex.ロシア賠償金事件)。推定的な同意は除外。




つづきは遙か昔9月1日に書いた http://ameblo.jp/si1206/entry-10636416755.html こちらへ!笑
国際法各論のじかんだお^^だい26かい!
長いんで適宜切り分けることにしました^^

【凡例】--------------------------------------------------------
赤文字:条約 橙文字:判例 青文字:学説、理論 紫文字:国内法 緑文字:国際会議等
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☆人権保障の実施
まず第一次的に、人権保障は国内で行われる。各国はその実施に当たり裁量権を持つ。
条約の直接適用が可能な場合もある(日本は憲法上可能:A規約の直接適用は塩見訴訟で否定、B規約は指紋押捺拒否訴訟で肯定)。

+国際手続(国家による履行を確保するための国際的手続)・・・主に以下の3つがある。

1)国家報告
 →実施機関に各国が条約の履行状況を報告し、これを実施機関が審査する(A規約(経社理が実施機関)など)。

2)国家通報
 →他国の条約義務違反を実施機関に通報し、これを実施機関が審査・調停・仲裁する(B規約規約人権委員会が実施機関)など)。

3)個人通報
 →被害者たる個人が直接実施機関に通報し、これを実施機関が処理する(B規約選択議定書)。
 ・・・国内救済終了の原則が適用される。B規約選択議定書のほかに、人種差別撤廃条約や拷問禁止条約なども定める。
 ※国連の個人通報手続
   →1503手続。個人や民間団体の通報のうち、重大かつ信頼できる一貫した証拠のある形態の侵害を示す通報に対し、人権委員会が検討し、勧告を行う制度。
    認定基準は厳しいが、直接の被害者でなくとも通報可能。


☆個人による国際犯罪
①渉外性をもつ犯罪:国内法上の犯罪であるが、犯罪行為が国際的に広がり、国際協力を要するもの。
②国際法上の犯罪:国際法によって犯罪とされるもの。
 a)国内法を介して対処するもの(国際的規制犯罪:諸国の共通利益を害する犯罪)
 b)国際法が直接準拠され、国際機関が処罰するもの(国際社会全体の名において処罰される犯罪)

ex.①:犯人の国外逃亡など
  ②:海賊、奴隷取引、武力紛争法違反など
   ※近年のハイジャック・テロ関連の条約では、さらに各国に処罰の義務を課すものも現れている(ハーグ条約モントリオール条約など)。ときに引渡しか訴追かで国家間に対立が生じ得る(ミュンヘン・オリンピック事件アキレ・ラウロ号事件など)。
  ・国際法違反の犯罪:第二次大戦後の軍事裁判(ニュルンベルク・極東)において、平和・人道に対する罪が個人に問われた。
   →ジェノサイド条約、アパルトヘイト条約で、これらの行為を国際法違反と位置づけ、国内裁判所だけでなく国際裁判所での訴追を予定している。

  ※アドホックな国際刑事裁判所:旧ユーゴ・ルワンダなどで、重大な人道上の違反を訴追するため個別的国際刑事裁判所が設立された。国内裁判所に優越する管轄権を持つ。
  ※常設の国際刑事裁判所:前述の通り、ローマ規程によって設置。規程締約国は自動的にICCの補完的管轄権を受諾したものとされる → 犯罪行為地または被疑者国籍国が締約国であれば、管轄権がある。
   →管轄権トリガー・メカニズム:締約国による付託、安保理による付託、検察の職権捜査の3種。


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☆犯罪者の引渡し
→他国で犯罪(重罪)を犯した者を他国の要請により引渡すこと。当事国同士の引き渡し条約、相互主義、または国際礼譲によって行われる。
 →双方可罰性の原則・・・自国と他国双方で刑法に定められる犯罪であることが通常要求される。
 自国民の引き渡しは可否両論ある。

 ※事実上の引渡し
  →当該国を送還先として退去強制措置を取ること。上記の条件がないため、犯罪人の権利保護が蔑ろにされる危険性がある。特に政治犯については事実上であっても不引渡しの原則(後述)が適用されるべきであり、近年では死刑存続国への引き渡しの可否も問題となっている(ゾェーリング事件)。

 △政治犯不引渡し原則
 政治犯の思想背景とその政策的要因より、不引渡し原則が確立。ただし慣習法化しているかどうかは争いがある(尹秀吉事件第一審:肯定、上級審:否定。学説は肯定派が多い)。
  →純粋政治犯(特定国の政治的秩序を害する行為)と相対的政治犯(普通犯罪の要素を併せ持つ)があり、前者の不引渡しは確立されているが、後者は一定しない。
   ※ベルギー条項:外国元首・その家族への加害行為は通常犯罪になる、という条項。
   このほか、条約中に政治犯としない旨の規定が置かれることも多い(ex.アパルトヘイト条約)。

△庇護権:自国に避難してきた他国民を領域内で庇護する権利。従来、国家から個人への権利であり、個人の持つ権利ではないとされてきた。
 →世界人権宣言、領域内庇護に関する宣言において、個人の庇護要請権と国家の庇護義務としての再構成がはかられている(ただし、現行法上は一般的な規定はなっておらず、各国の憲法上の規定にとどまる)。
 ※外交的庇護:大使館や領事館・軍艦等領域外で庇護を与えること。一般国際法上認められていない。

 ☆難民・・・難民条約で規定(従来国内管轄事項である庇護権に、国際的性格が与えられた。
  @連盟:難民へのナンセン旅券の公布が定められた。
  @国連:UNHCRの下で保護・救済に従事している。

 難民条約の対象とする難民は、特定の社会的集団への帰属または政治的意見によって恐怖を有し、国外にいる者(国籍国の保護を受けられないか受けたくない者:政治難民)であり、戦争や経済要因での流民は含まない。
 →UNHCRは、かつては政治難民(条約難民)を対象としたが、今日では国内避難民やその他の難民も対象に加えている。

 ※アフリカ難民条約:公の秩序を著しく乱す出来事のために乗居所を去ることを余儀なくされた者=難民とした。

 →各国は難民受け入れ義務は無く、手続きも各国の独自政策に任されるが、条約難民に関してはその処遇が詳細に定められ、追放が禁じられている(不法入国であっても難民の立証ができればOK)。
 また、生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある本国へ送還してはならない(ノン・ルフールマンの原則)。
 慣習法化の見方がある(領域内庇護宣言にも規定)が、尹秀吉事件では否定された。


☆国際人権保障
→従来の外交的保護で保証される権利は、個人の権利ではなく国家の権利。現在の国際人権保障は個人の人権を保障する。
 →国家は領域内の全ての人の人権の保護義務を持つ。第二次大戦後~
 @連盟規約:特定の人権に関する国際協力を規定。
 @国連憲章:すべての者のために人権及び基本的自由を尊重し、そのための国際協力を達成すべきことを規定(一般的・抽象的規定であるために義務を設定するものでは無いと主張された:藤井事件においてカリフォルニア州最高裁)。
  →重大な人権侵害は国際関心事項として国連の干渉の対象となってきた(アパルトヘイトへの経済制裁など):加盟国に対して何ら法的義務を課すものではないという見解は不適切。

現在では、一定の人権は慣習法の地位を得ていると考えられるが、なお具体的な人権保障は各個の条約によるところが大きい。

1)世界人権宣言
 →人権の促進、確保のために各国が達成すべき共通の基準を定めるもので、法的拘束力はない。しかし、その後の人権保護の柱となり、慣習法化も指摘される。経社理の人権委員会が草案を作成。

2)国際人権規約
 →国際人権保障の基本法として制定(1966)。経済的・社会的及び文化的権利(A)と市民的及び政治的権利(B)の2種類、およびB規約の選択議定書(3種類)から成る。
 A)社会権的基本権:労働・社会保障・教育権・生存権など。国家の積極的な行動を要求し、漸進的な実現のために最大限の努力を求めている。
 B)生命・身体・居住・信条・表現等の自由、裁判権、奴隷の禁止など国家らの個人の自由を規定し、各国のすみやかな実施の義務を定める。

 この区別はヨーロッパの人権条約バンジュール憲章にも引き継がれているが、明確に2種類に分けられる性質ではない権利も数多く、両者は不可分の関係にある(バンジュール憲章)。

 →国家の緊急事態の際に、国連事務総長に理由をつけて通告することにより、一定の人権の侵害措置を取り得る(デロゲーション条項:適用例・・・ローレス事件)。ただし、拷問・奴隷の禁止、生命権、刑罰不遡及、思想良心の自由などはいかなる逸脱も許されない権利である(=強行規範である)ため、この対象外。

 ☆無差別原則:すべての人に平等に権利を保障する。さらにB規約では、法の前の平等を規定した。
  →具体化するものとして、人種差別撤廃条約女子差別撤廃条約など
 @人種差別撤廃条約:各国の立法その他により差別を撤廃する義務、差別的行動を防止する義務、私人による差別をも積極的に排除するべき義務など、広範な義務を定めている。
  ・・・バルセロナ・トラクション会社事件:ジェノサイドの禁止や人種差別撤廃は国家が国際社会全体に対して負う義務である。
 @女子差別撤廃条約:あらゆる分野における男女同権を規定、私人による差別の撤廃義務も負う。
 @児童の権利条約:児童の被保護権、意見表明権などを定め、成人同様の人権主体として児童を扱うもの。

 ☆自決権
  →基本的人権は、他の集団に従属する社会では実現されにくいとの考えから、人民の、その政治的地位を自由に決定経済的・社会的・文化的発展の自由な追求を行う権利をAB両規約で規定。
 植民地のほぼ存在しない現代では、代表政府の存在を問題対象としている。
 ※発展の権利:途上国の主張する権利。経済だけでなく、社会文化政治的な人間の発展を志す。今後の検討が待たれるが、人民の発展への参加、その享受の不可譲の権利であるとされる(バンジュール憲章)。


 その他、平和に対する権利、環境権など新しい第三世代の人権が出現してきている。



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☆国籍
→国家と個人を結びつける法的な絆。原則として、国家は領域内の属地的管轄権を持つが、在外自国民に対して一定の属人的管轄権も保有する。
国籍付与は国内管轄事項である(チュニスとモロッコの国籍法令事件ノッテボーム事件など)。

△国籍の取得、喪失
1)先天的取得:出生時に国籍を取得すること。出生地主義(アメリカなど)と血統主義(日本など)がある。通例は一方を主流としつつ双方を併用する。
2)後天的取得:本人の意思に基づく国籍取得。帰化。かつては国際婚姻により国籍が移動していた。
 また、国家領域の割譲にともなう得失もある(住民に国籍の選択権が与えられることも多い)。
 ex.下関条約、日韓併合条約に伴う日本国籍の付与、および敗戦後の一律喪失

△国籍の抵触
1)積極的抵触(重国籍):自然人が2つの国籍を持つ際に生じる。
  →国籍法抵触条約:重国籍の本国同士では外交的保護を行使し得ず(主権平等原則)、第三国はより密接な関係にある国家の外交的保護を認めるのみで良い(実効的国籍原則真正な結合関係に基づく国籍)。
  ex.メルジェ事件ノッテボーム事件など
 兵役に関しては、実効的国籍国のもののみが認められる(二重国籍のある種の場合における軍事的義務に関する議定書)。

2)消極的抵触(無国籍):国籍を有さず、きわめて不安定な立場にある。その削減のため、無国籍者の地位に関する条約無国籍の削減に関する条約世界人権宣言国際人権規約(B規約)児童の権利に関する条約などが締結された。

☆法人の国籍
→その決定に関する一般的な規則はない。基準として、設立地、本拠所在地、多数株主の国籍国など。
 ・・・バルセロナ・トラクション事件:法人の国籍に関して実効的国籍原則は受け入れられておらず、設立地および本拠地所在地が本国となる。


☆外国人の地位
→他国民の受け入れの義務はないため、他国への入国にはその国の許可が必要。ただし、実際の国家慣行では、入国拒否自由に相当しない限り入国を認めるのが原則。
 日本においては、永住者・その配偶者・定住者以外は単純労働不可能。
→出国も同様に自由(刑の執行や国家への安全に関わらない限り)だが、退去強制や犯罪人引き渡しの場合には強制的に出国させられる。
 →ボフォロ事件:恣意的な追放は許容されず、個人に最も害のない方法で行われなければならない。ただし、追放の違法性の立証責任は主張側にある(ランキン対イラン事件判決)。
 ※外国人の人権宣言:人種その他を理由とする差別的な個別・集団追放を禁止。

△国内法上の地位
 →原則として他国の領域主権に服し、当該国家の国民と同等の義務を負う(兵役・義務教育を除く)。
 基本的人権や日常生活に必要な諸権利は認められる。国益や自国民の利益の保護のため、一定の場合に外国人の権利が制限され得ることは国際法上許容されてきた(マクリーン事件(国内)、ヨーロッパ人権条約など)。
 ■経済活動は、従来から二国間条約で互いに内国民待遇や最恵国待遇を認めてきた。

※国家責任と関連して・・・国際標準主義vs国内標準主義
 →外国人の身体・財産を保護するべき相当の注意を怠った国家に対して、国家は責任を負うが・・・
 その注意の程度:国際標準主義か国内標準主義
 1)国際標準主義:先進諸国を念頭においた、所謂「文明国」で与えられる程度の処遇が求められる。
 2)国内標準主義:各国が自国民に与えているのと同程度であれば良い
 →現在では、国際人権保障が発展したことにより、外国人の処遇に関する国際的基準ができたと言える。いずれにせよ、各国は最低限、自国民と同等の処遇を与えなければならない。

☆コンセッションの国有化
コンセッション:国家による外国の私人への自国の天然資源の開発や公共事業の委託。
国有化:域内私有財産を一般的・没個性的に強制的に国家機関に移転させることであり、主権的権利の行使として広く承認されてきた。ただし、補償が問題となり、無制限の権利ではない。
→外国人財産の収用3要件
 ①公益原則:公共目的であること
 ②無差別原則:外国人財産のみを差別的に対象としないこと
 ③補償原則:補償を行うこと
 ex.上部シレジアにおけるドイツ人権益に関する事件ブリティッシュ・ペトロリアム事件リアムコ事件では公益原則は否定された。

 ※補償三原則(ハル三原則):補償基準を示した。
  →十分(収用時の市場価格相当の補償額があること)、実効的(国際的に確実に通用する通貨で支払うこと)かつ迅速(収用後遅滞なく補償が行われること)な補償。
   これに対し、途上国はその国内法上の補償でよいと主張。
  ex.天然の富と資源に対する永久主権決議では、適当な補償が支払われれば十分であるとされ、国家の経済的権利義務憲章では、各国の国内法及び各国が関係あると判断する関連法規に照らして適当な補償があればよく、その紛争は国内法に基づき国内裁判所で行うとされた。
 ただし後者は主要先進国は反対:国際社会一般の意志とは言い難い。→トプコ対リビア事件仲裁判決
 実行上は、ハル三原則の主張は同意が得られにくいため、個別的に補償協定を一括して結ぶことが多い。

 ☆コンセッションの一方的破棄が国際法違反か否か:それを禁ずる安定化条項がある場合もある
  →コンセッションを国際法上の契約と位置づける(トプコ事件)か、私法上の契約と位置づける(アングロ・イラニアン石油会社事件)か。後者が一般的支持を得ている。安定化条項に法的効果を与えることには消極的見解が強い(アミノイル仲裁裁判)。
 
■投資保護条約:近年みられる、投資の保護そのものを目的とする条約。最恵国待遇や収用・国有化の補償条件を定める。 
→外交的保護の行使により国家間紛争に発展しうる危険性を鑑みて、投資紛争解決条約が締結され、投資紛争解決センターによる仲裁・調停制度が形成された。センターに付託された事件に関しては、外交的保護権を行使し得ない。



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赤文字:条約 橙文字:判例 青文字:学説、理論 紫文字:国内法 緑文字:国際会議等
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☆武力紛争法
→武力行使の是非とは別次元で、人道的観点から戦争の惨禍を防止するための規律。

対象①国際的武力紛争
→de facto warを含む全ての国際的武力紛争が対象。当事国に平等に適用される(戦争の惨禍を防止するため、違法性は問題とされないため:ex.ニカラグアに対する軍事的活動事件)。武力紛争法の存在は違法な武力行使を正当化するものではない(ジュネーブ条約第一追加議定書)。
 ※独立戦争は、かつては内戦として扱われていたが、戦後の民族自決の流れの中で国際的性質が重視されるようになり、現在では武力紛争法の当然の対象。

対象②内戦
一般的に国内問題とされるため、国際法規の規制が及ばない。
ジュネーブ条約共通三条は、国内紛争においても適用するべき最低限の規定を設けたが、完全な遵守は期待しがたかった → 第二追加議定書において、義務を拡大(一般市民の安全の強化、直接の敵対行為参加者でない者の人道的保護など)し、一方で適用される事態を若干狭めた。

※総加入条項:かつての戦時法条約は、戦争の全当事国が条約に加入している場合にのみ当該条約の効力を認めていた → この条項がなければ非締約国と締約国で使用できる武力方法に差がでるため。
 →紛争当事国の増大=条約適用可能性の減少となり、非戦闘員の保護を定める場合などは相応しくない制度 : ジュネーブ条約では排除。



☆武力紛争法→1)戦闘行為を規律する法律(ハーグ法)、2)戦闘犠牲者の保護を定める法律(ジュネーブ法)に分かれる。→ すべてのカテゴリーの武力紛争の当事者に対してつねに効力をもつ。

1)戦闘行為の規制
かつての戦時国際法も今日の武力紛争法も、軍事的必要性と人道的考慮のバランスをとるもの。相手国の戦力を弱めるために必ずしも必要でない方法は規制の対象となる。
ただし、戦時国際法が前者を重視した(原爆判決(日本)、セント・ペテルスブルク宣言前文など)のに対し、武力紛争法は後者のために存在する(マルテンス条項(人道的な人民の保護を規定)@ハーグ陸戦法規慣例条約)。
 △手段の規制:まずハーグ陸戦規則において、紛争当事国の兵器使用の権限に制限があることが述べられ(軍事的効果を超えた不必要な苦痛を与えるものを禁止:すでに戦闘能力を喪失した者の苦痛を徒に増大させることは、軍事上の必要性を超える)、また環境改変技術の敵対的使用禁止条約において、広範に長期的な苦痛をもたらすような環境改変技術の使用が禁止された。
 さらに、特定の軍事目標のみを対象とし得ない兵器の使用も非合法と主張される(一般的方式の規制)。
 具体的性格の規制として、セント・ペテルスベルク宣言毒ガス禁止宣言ダムダム弾禁止宣言自動触発海底水雷条約対人地雷禁止条約など。

 ※核兵器:その使用を直接に規制する条約はない。原爆判決では、不必要な苦痛を与えるものとして国際法違反と判示。
 ただし、対象を特定し得る戦術核兵器の違法性や、戦略核の政治性からこれを禁止する条約はできない。
 1961核兵器使用禁止決議:核兵器を無差別の苦痛と破壊をもたらし、その使用が直接に憲章に違反するものとした。また、核兵器の使用に関するICJ勧告的意見では、その使用は武力紛争法の原則とほとんど両立せず、一般的に武力紛争法違反であると判示(ただし、緊迫した自衛の際の違法性は一般的には定められない、とした)。

 ■戦闘方法の規制:軍事目標主義(非戦闘員への攻撃を禁止)。ハーグ陸戦規則においては、防守都市と無防守都市の区別をもうけ、後者への無差別攻撃を禁止 → WW2では、総力戦であるとの認識から守られず。
 →現在はより厳格な軍事目標と非軍事目標の区別が原則(基本的なインフラは、一般市民への被害が大きいため例え軍事目標であっても禁止される)。
  そのため、背信行為(文民を装う、降伏を装うなど:奇計とは区別される)は禁止される。

2)戦闘犠牲者の保護
ジュネーブ条約+2つの追加議定書:戦闘員と文民の区別を前提としつつ、後者への攻撃の禁止を強調する。

☆傷病者の保護は、第一回赤十字条約にさかのぼる→ジュネーブ傷病者条約へ。自国権力内の軍隊の傷病者は帰属や性別、人種などの区別無く等しく人道的に看護されなければならない。第一追加議定書で、文民も対象に含めた。

☆捕虜の規定は、ハーグ陸戦規則捕虜規定に始まる→ジュネーブ捕虜待遇条約へ。
・捕虜の対象:正規軍構成員、民兵、義勇兵、不正規兵のうち組織された指揮者が存在し、国際上を遵守し、公然と武器を携行する者。傭兵・他国軍に参加した自国民は対象外。
捕虜は無差別に人道的に処遇される。過度な労働や不健康を強いてはならない。
また、陸戦法規において、その違反に対する交戦当事者の賠償責任を規定している(ただし、日本の裁判上は、この責任は個人の請求権を導くものではないとして、元捕虜による請求を棄却)。

☆文民の保護は、ジュネーブ文民条約に始まる。原則として当事国領域及び占領地域内の敵国民(+第一追加議定書で無国籍者・難民)が対象であり、自国民・第三国民は対象外。
 人道的処遇や退去権を認め、強制移送や追放を禁止。


履行の確保!
1)当事国によるもの:戦時復仇。報復は、まず相手の武力行使との均衡性、相手への事前通告が必要とされ、またジュネーブ条約の対象者、さらに文化財や生活必需品等インフラへの復仇は一律に禁止される。
 また、交戦国による通常の戦争放棄への違反者への裁判権が認められてきたが、WW2後には、平和に対する罪および人道に対する罪の2種類が戦争犯罪として国際法廷の場に導入された。
 さらに、ジュネーブ条約は、人道上の重大な違反行為に対して、締約国の普遍的裁判権を認め、自国または他関係国への引き渡しにより違反者の処罰の確実性を確保した。

2)第三国によるもの:利益保護国制度。当事国が指定する特定の国家の協力と監視の下で、法の適用を確保。ただし実行は必ずしも有効に行われていない。
 ※国際事実調査委員会などを設置する規定(第一追加議定書)がある。

3)国際刑事裁判所:安保理によって、旧ユーゴやルワンダに対し、アドホックな刑事裁判所が設置されてきた(タジッチ事件で合法性が争われ、第7章の趣旨に添う行為であると判示された)。

 →1998ローマ規定により、常設の国際刑事裁判所が発足。
 対象は①ジェノサイド、②人道に対する罪、③戦争犯罪、④侵略罪
 公的資格に関係なく自然人を対象とする。
  →補完性の原則(当事国の国内裁判所が当該事件を扱わない場合にのみ補完的に管轄権を行使できる)に基づく。



中立制度
→かつて、中立国には中立法規が適用されていた。
 中立国の義務①交戦国が戦時法に則り発生させた不利益を被ることを黙認する(黙認義務)
     義務②交戦国への支援を行わない(避止義務)
     義務③交戦国による自国領域の軍事的利用を防ぐ(防止義務)
 交戦国の義務:上記以外の中立国の行動の自由を妨害しない
 ex.アラバマ号事件:南北戦争におけるイギリスの中立義務違反

→武力行使の違法化にともない、全交戦国と等距離を保つことを前提とする中立制度が動揺(とくに不戦条約以降)。
 ブダペスト決議:条約違反国に対しては中立義務の遵守を拒否できる。
国連憲章:制度としての中立はほとんど意味をなさなくなる。
 →国連が強制行動を取る際には、中立関係は成立し得ない。
 →それ意外の場合には一致した行動はないが、憲章の精神から、第三国は当該紛争に干与しないことが求められると言える。



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☆自衛権
かつては広く自国の重大な利益への侵害への対抗措置として依拠された(緊急性、均衡性が当時から必要とされた:カロライン号攻撃に際してウェブスター米国務長官)。
戦争違法化の際にも、自衛権に基づく武力行使は否定されなかった:自己保存権と区別され、違法な武力攻撃への対抗手段へと変化。

国連憲章:安保理によって必要な措置が取られるまでの間、自衛権に基づく武力行使が認められる。
条件①武力攻撃が発生したとき:国家の重大な権利への危険を要件とする従来の概念をより制限。
 →国家主権の一部である自衛権を擁護する立場から、伝統的自衛権の擁護論や、先制的自衛権を認める意見もある。しかし、不戦条約以来、違法な武力行使への対抗措置として自衛権が捉えられてきた以上、憲章の自衛権が伝統的自衛権そのものであるとは考えがたい。また、先制的自衛権は濫用につながりやすい危険性が指摘される。

 ※武力攻撃の対象:基本的には国家自身だが、マヤグェス号事件においてアメリカは在外自国民の生命・財産・自国の経済権益も含むと主張。
 →しかし、武力攻撃の対象は国家自身への攻撃と考えられるべきであり、在外自国民の保護にあたっては当該領域国家主権への侵害との均衡性が問題となる。

 ※テロ・不正規兵:国家の関与があり、正規軍による攻撃に相当する重大性があることを条件に、武力行使に含まれるとされる(ニカラグアに対する軍事的活動事件)。

→自衛権の行使は直ちに安保理に報告され、安保理が適当な措置を取るまで継続可能(ex.フォークランド紛争)。
 また、憲章上に明文規定はないが、ICJは違法行為への自衛の均衡性緊急性が必要であると判事。


集団的自衛権
国連憲章で規定。
第二次大戦直後からの地域的共同防衛制度の創立(米州など)を受け、またそうした地域機関への安保理の監督および安保理の拒否権導入に伴い(=効果的な行動が不可能になる可能性がでてくるのに伴い)、憲章に盛り込まれた。 →典型例:北大西洋条約機構ワルシャワ条約機構など
その性質には諸説あり、
 1)自衛権である以上、当該国にとっても自衛権の行使が認められる場合にのみ集団的自衛権に基づく自衛権を行使できる。
 2)当該共同防衛組織の一定の連帯関係に基づき、連帯関係にある他国への武力行使が自国の安全を害する場合に発動できる。
 3)武力攻撃を受ける国を援助するものであり、援助提供国の実体的権利の侵害の存否にかかわらず、国際の平和と安全のために発動可能。
 →ICJはいずれの立場にも立たずに(ニカラグアに対する軍事的活動事件)、必要性・均衡性と、被害国の武力攻撃を受けている表明、被害国からの援助要請を要件とした。


☆軍縮!
軍縮(軍備の削減)、軍備管理(軍拡の防止)に際し、総会はその原則の審議・勧告権限をもち、安保理がその具体的方式の確立のための計画を作成する責任を負う。
友好関係原則宣言でも軍縮の一般条約締結のための誠実交渉が規定された(努力規定に留まる)。
 国連の実行は報われなかったが、1978第1回国連軍縮特別総会開催、国連軍縮委員会復活など。
 国連外では、ジュネーブ10カ国軍縮委員会設置→61カ国まで拡大

@ヨーロッパ:欧州通常戦力条約・・・戦車や戦闘機などの保有上限数を定め、検証措置が設けられた。
また、対人地雷禁止条約(対人地雷の使用・開発・生産を禁止)、国連軍備登録制度(通常兵器の移転を事務局に登録する)などが締結、設立された。

核兵器の軍縮
1963:部分的核実験禁止条約・・・地下核実験は一部禁止にとどまり、仏中は不参加。
1974:地下核実験制限条約・・・150トン未満のもの及び平和目的の核爆発は規制外。
1976:地下核爆発条約・・・一定規模以上の核爆発をすべて禁止
1996:包括的核実験禁止条約・・・すべての核爆発を禁止(未臨界は対象外)。
     →監視ネットワークや査察制度がある。未発効。
 ▲核兵器の不拡散
 →核兵器の不拡散に関する条約:1968。核兵器保持国の軍縮の誠実交渉義務(交渉を通じて具体的な成果をあげる義務)および不保持国の受領・製造・取得の禁止を規定(平和利用は可能)。また、非核兵器国は査察等の保障措置を受けなければならない。
 ※非核地帯
  ex.トラテロルコ条約(ラテンアメリカ)、ラロトンガ条約(南太平洋)、バンコク条約(東南アジア)、ペリンダバ条約(アフリカ)など。
   →各地域を非核地帯に設定し、域内各国および当該地域に領域を持つ核兵器国に、域内おける核兵器の受領・製造・貯蔵・取得・配備を禁止し、また核兵器国に当該地域への核兵器使用を禁止。
  →南極条約宇宙条約等で軍事利用が禁止され、核兵器の配備もできず、査察措置もある。

 △戦略核兵器の制限
  →主に米ソの直接交渉でなされてきた。1972ABM条約、SALT1(ICBMの基地の新造禁止)、SALT2(戦略攻撃兵器制限条約:戦略攻撃兵器の総数制限)交渉を経て、INF全廃条約(中距離ミサイルの全廃)、START条約(核弾頭を6000発まで削減)、START2条約(戦略核弾頭数1/3まで削減)、戦略攻撃戦力削減条約(戦略核弾頭を1/3実戦配備から外す)など。

生物兵器・化学兵器
 →細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約(1972)、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(1993)によって、開発や貯蔵が禁止され、後者に関してはチャレンジ査察制度が設けられている。


履行確保→第三者機関によるもの(ex.NPT)、独自機関によるもの(ex.CTBT)、相互主義によるものなど(ex.南極条約)。



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国際法各論のじかんだお^^だい21かい!
長いんで適宜切り分けることにしました^^

【凡例】--------------------------------------------------------
赤文字:条約 橙文字:判例 青文字:学説、理論 紫文字:国内法 緑文字:国際会議等
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☆武力行使!
かつては正当性のある武力行使は合法だった(正戦論)→国際社会には客観的判定機関がない
→18,19c:戦時・平時を分け、平時に関しては武力行使の禁止を定める一方、戦時においては戦闘手段の規制を除き、戦争の権利は規制が及ばない領域とされた
 →20c:徐々に戦争違法化の流れ(第二ハーグ条約ブライアン条約など)

国際連盟:締約国は戦争に訴えない義務、紛争の連盟への付託(戦争モラトリアム)を定めた。一定の場合の戦争を禁止したものの、戦争の全面的禁止には至らず、その他の武力行使は禁止されなかった(イタリアによるギリシャへの武力復仇など)。

不戦条約:国家の政策手段としての戦争の放棄を規定。侵略目的の戦争すべてを禁止。平和的手段への依拠も規定したが、実際上平和的紛争解決の制度が未発達であり、また戦争以外の武力行使の可否は定かでなかったため、解釈の余地が大きかった → 事実上の戦争は容認されるとの見解(チャコ事件、満州事変等)。

国際連合:平和的紛争解決義務と、武力による威嚇・武力行使を禁止。一切の武力行使を禁じるという見解と、制限的に他国の政治的独立を害さない程度のぶりょく行使は含まないとの見解があるが、前者が妥当:憲章7章の強制行動か、憲章の認める自衛権に基づくもの意外は禁止される。
 →慣習法として確立友好関係原則宣言)、侵略戦争は国家による国際犯罪を構成するといえる。


☆安全保障体制
→かつて:勢力均衡・・・軍拡をもたらす性格がある
→現在:集団安全保障(対立国家も取り込んだ集団を形成し、武力攻撃に対しては他の国が共同で反撃する)。国際連盟で試みられたが、戦争状態の認定の規定が無く、また武力反撃の義務を設定できず実効性に乏しかった(経済制裁のみ:イタリアに対する経済制裁)。

@国連:制裁発動における安全保障理事会の集権的な権限を設定 → 武力行使の認定、平和の回復のための措置の決定を安保理が行う。決定には全加盟国が拘束され、強制行動には兵力の使用も含まれる。
 ※ただし、現行上特別協定に基づく兵力使用は行われていない。また冷戦時には安保理が機能しない事例が多く存在した。

☆安保理の認定する事態
1)平和に対する脅威:特定の定義はない。
 →安保理の実行上、冷戦期は中東戦争やアパルトヘイト等、人権や自決権の問題に認定され、また冷戦後はソマリア、ユーゴなど、人権侵害や人道的考慮、テロなどが対象になっている。
2)平和の破壊:一方当事国を非難することも多い。実行上、朝鮮戦争やフォークランド紛争、クウェート侵攻等で発動された。
3)侵略行為:安保理による認定例はない。侵略の定義に関する決議により、「他国の主権・領土保全・政治的独立に対する武力行使、または国連憲章と両立しないその他の武力行使」であると定義された。一方で、安保理はこれ以外の行動も侵略行為と認め得る。

☆安保理の取る行動
1)暫定措置:停戦要請、兵力撤退要請など。関係国の権利を害するものでなく、事態の悪化を防止するものであるが、関係国が従わないときはそのことに妥当な考慮を払う → 単なる勧告よりは強い拘束力を持つ。
2)非軍事的措置:経済的な禁輸措置や資金移転の禁止など。ex.南ローデシア問題における石油禁輸、アパルトヘイトに対する武器等の禁輸、クウェート侵攻に対するイラクへの禁輸措置など。
また、国際刑事裁判所の設置もこれに含まれる(根拠→憲章41条もしくは7章全体から導かれる)。
3)軍事的措置:第七章では国連軍による措置が予定されているが、特別協定による兵力供出に基づくものは未だに形成例がない。
 ※朝鮮国連軍:安保理がアメリカの統一司令部の下での加盟各国の兵力提供を勧告、国連旗の使用を許可。しかし決定ではなく勧告によること、指令が国連でなくアメリカによることから、憲章上の国連軍とは異なる。
 ※そのほか、非軍事的措置の効力確保のために、一定の軍事的措置をとることを許容することもある(南ローデシア問題)。

多国籍軍:国連加盟国に”あらゆる必要な手段”を認める事例。クウェート侵攻で採られ、実際に多国籍軍が出動した。ただし、国連旗の使用も統一指揮権もない。
近年では、人道的援助を目的とするものも対象に含まれるように(ボスニア・ヘルツェゴビナ、ソマリア、ルワンダ、ザイールなど)。
このような憲章上にない軍事措置を違法とする意見もあるが、国連軍が機能しない状態における一定の平和維持の役割を加盟国に任務として与えることは許容されないものではないと言える。

総会の取る行動
→安保理に次ぐ平和維持任務をもつ。平和のための結集決議において、安保理が機能しない場合に、代わりに総会が加盟国に集団的措置を勧告できるとする(2/3以上の多数決)。
安保理の権限との整合性に関して、国連経費事件で安保理によらなければならない行動は強制行動のみを指し、安保理の平和への主要な責任は、その他の機関の平和への責任を排除するものではないと判示した。

PKO
→スエズ動乱に際して総会決議により設置された国連緊急軍が由来。
停戦の確保、事態悪化の防止、警察活動を主な任務とするものであり、紛争解決能力を持つものではない(伝統的PKO)。したがって展開には当事国(紛争当事国、兵力提供国)の同意が必要。基本的には自衛のための武力のみ行使できる小規模な部隊であることが多い。
 →憲章上の根拠はない。国連経費事件勧告的意見では、PKOは各国の同意による行動であり、国連憲章の目的を達成するのに適当なものと考えられるものとされた。

 △近年:停戦監視のほか、公正な選挙の実施監督(@ナミビア、カンボジア等)など、紛争停止後の平和構築作業にも範囲を広げている。
 また、7章に基づくもの:国連ソマリア活動、国連保護軍など・・・当初は各国の同意に基づくものであったが、事態悪化に伴って、平和、人道のためのあらゆる必要な措置の許可が下された(平和強制部隊:ガリ事務総長の報告中の概念)。
  →強制行動とPKOの差異を曖昧にするという危険性が指摘される

※日本は長らく経済支援や文民派遣にとどめてきたが、PKO協力法の成立以降、普遍性かつ当事国の同意のある任務について自衛隊の派遣が可能となっている。


地域機関の取る行動
→安保理の許可を条件として、地域的機関に地域的紛争解決のための強制行動を容認する。
強制行動の範囲について、アメリカは経済制裁はその範疇にないと主張、憲章上禁止されていない行動であるため、概ね了承された(ただし安保理は当該主張に留意した)。
また、アメリカは同様に、軍事措置であっても勧告である場合は安保理の許可を必要としないと主張、さらにPKOとしての派遣など、実際上安保理による統制はあまり機能していない。
 ※敵国条項:旧枢軸国への強制行動は安保理の許可を要しないという条項。死文化の主張や、国家主権平等原則に反するという主張により削除の要請がある。




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2かい連続で消されたのでもう続きからでいいや

 ②対抗措置:他国の違法行為への復仇(相手国が違法行為を行い、それに対して被害国が停止や賠償を求めている場合に認められる:ガブチコボ・ナジュマロス事件)。相手の違法行為と比例する規模・性質・効果のものでなくてはならない(ex.ナウリラ事件)。
 ※武力による対抗措置は禁止(友好関係原則宣言)。
  条約の終了や非軍事的な国連の措置などもあり、またILC条文案では、対世的義務への違反校に対しては、全国家がその停止や被害国への賠償を要求できる。
   ★武力不行使、基本的人権保護、復仇の禁止、強行規範の各義務違反は対抗措置でも阻却されない。

 ③不可抗力:国家の規制の及ばない、または予見し得ない外的状況によって、国際義務の履行が不可能となる場合。意図的でない義務違反。ex.自然現象による港湾の破壊で、外国船舶の入港を認めた義務を履行し得ない、など。

 ④遭難:国家行為を行う個人が、自身あるいは他者の生命の保護のために国際法違反義務行動をとるしかない場合。不可抗力と異なり、行為の選択の余地がある。レインボー・ウォーリヤ号事件では、生命だけでなく人間の本質的な諸権利の保護のためにも援用できるとされた。

 ⑤緊急状態:国家が自国の存在その他の重大な利益の保護のためあえて国際義務に違反する場合。代替方法がなく、相手国を著しく害するものであない限り有効。ex.トリー・キャニオン号事件

 
主観的な要件(故意・過失)
→主観的要件の要素は必要とされるか否か、という問題。一般には客観責任主義が妥当する。
 ○国家機関による侵害行為
 →立法機関による国際法違反の立法は、国民に選出された(平均人の感覚による)議員の慎重な意思決定手続を経る以上、過失主義は妥当せず、客観責任による。
 ただし、権限内の公務中にある公務員個人の行動に関しては過失が問題となり得る。権限外のものは客観主義(権限外行動の国家行動への帰属)。

 ○私人による侵害行為
 →領域主権のなかには外国人の生命・財産を保護する相当の注意義務があり、その侵害を防止しなかったときに国家責任が生じる。
 直接救済を担当する司法・行政機関の過失が問題となるか否か。
 →司法救済の違法:裁判拒否(受理しない、手続の不正、判決の不正)はいずれも客観的事実であり、仮に主観的責任があるとすればそれは法を制定する立法側に求められるはずである。
 →行政機関も同様に、公務員個人の心理は問題とされず、行政機関の行為の客観性が問題(ノイズ事件)。

近年では、基本的には国際義務違反の成立には客観主義で十分であり、特に例外的に公務員の公務中の行為に関して過失が問われる場合がある、という考え。

 ※国内救済措置に関して
 →必要とされるレベルは、一定の国際的基準を満たすものか、あるいは自国民と同程度であればよいのかという問題 : 国際標準主義vs国内標準主義
 学説では、居住地域を自ら選択できる以上、その地で与えられる当該住民への保護と同程度の保護が与えられればよいとされる。


☆国際請求:違反国に対して被害国が請求を行い、加害国は国家責任の解除義務を負う。
△国家責任の発生において、必ずしも実害を伴わない侵害行為があることを鑑み、実質的な損害の発生は要件とされない。ただし、分野によっては実害の発生を要件とする場合もある(環境汚染など)。
 また、外国人財産の接収法などは、公布のみでは侵害とはならず、実際に法が適用され(実害が発生し)て初めて国家責任となる。

国際請求の要件:自国の国際法上の権益・利益が侵害された事実が立証されれば提起可能。
ここで保護されるのは保護法益であり、単なる利益とは異なる。被害国は、法益に対する被害と新外国の行為の相当因果関係も立証しなければならない。
ex.バルセロナ・トラクション事件
△国際社会一般の利益の侵害→実害発生を伴うような法益侵害があって初めて、請求を提起できる(核実験事件)。
 自国の法益侵害を立証できてはじめて、侵害国を提訴できる(法益侵害の個別化)。

外交的保護:外国にいる自国民が被った損害について、本国は加害国に適当な救済を与えるよう国際請求を提出できる。
 →ただし、ここで保持されるのは国家の権利であって、個人の権利ではない(個人の請求の国家請求への埋没:パレスタイン特許事件)。
この発動には、
1)国籍継続(私人が権利侵害から救済措置の実施まで継続してその本国の国籍を保有していること:真正な結合関係があり、中断があってはならない。大国への国籍変更による過度な請求を防ぐため・ノッテボーム事件)の原則と、
2)国内救済完了(私人が侵害国の領域内で利用可能なあらゆる救済手段を尽くしてなお、救済が得られない場合でなければならない:インターハンデル事件)。請求国は一応の完了を論ずればよい。その反証は違反国の義務である。
 この原則は、公務中の個人または自発的でない理由により当該国に入った者には適用されない。また、違反国内で司法制度上私人に適当な救済が与えられないことが明白である場合にも適用されない。

 ※カルボー条項:ラテンアメリカ諸国の主張した契約中の条項で、私人の救済措置は国内手段のみに限り、本国の外交的保護を認めないというもの。
 外交的保護は国家の権利であり、契約において放棄することはできないため、支持されない説である。ただし、その効力を認めた例もある(北米xx会社事件)が、その中でも国際法違反に対する本国の外交的保護権は認められていた。
 →契約事項についてはカルボー条項の有効性を認める学説もある。


国家責任の解除義務:加害国の負う義務
→違法行為にはその損害の賠償義務が伴う(ホルジョウ事件)。
方法①原状回復:違法行為がなければ存在したであろう状態を回復させること。
その違法行為の前後に存在するあらゆる相違を除去する(プレア・ビヘア事件在テヘラン米国大使館員等人質事件)。
なお、損害の種類によっては原状回復が困難である場合があり、条約により手段として除外されることがある。
 ※原状回復が不可能な場合:人命の喪失や義務履行のための立法の不採用など。また、原状回復が無意味な場合や被害国が望まない場合もあり、いずれにせよ、合理的になされる限り、責任解除の方法の選択権は被害国にある。

方法②金銭賠償:損害を金銭額に換算し、その金額を支払う賠償方法(狭義の賠償)。他の賠償手段を補充することも多い。対象物の価値は賠償を命じる判決の時点のもの(ホルジョウ事件)。
 →対象には間接損害も含まれる。
 △請求国の国家機関が被った損害は、その実際の損失に関連づけられるものが対象となり(コルフ海峡事件)、自国民の損害に関しては算定の基礎は確立されていない(ホルジョウ事件)。

 ※懲罰的損害賠償は、重大な過失による場合に導入されるべきとの主張があるが、国際法上は認められない(損害賠償は損失補填の方法であり、懲罰的損害賠償は刑罰である)。

方法③サティスファクション:原状回復、金銭賠償以外の責任解除措置。陳謝や責任者の処罰、再発防止措置など。ILC条文案では違法行為の認容、遺憾の意の表明、正式の謝罪などとされる。
レインボー・ウォーリヤ号事件:ニュージーランドがフランスに陳謝を要求した(その際、精神的被害に対しサティスファクションだけでなく金銭賠償も要求)。
アイム・アローン号事件:精神的被害について金銭賠償を勧告。
 また、裁判所による違法認定の判決もそれ自体でサティスファクションとなる(コルフ海峡事件)。

方法④違法行為の停止:従来は原状回復の一部とされていたが、近年は停止を賠償と切り離し、賠償に先立って行われるべき義務(違反そのものの停止)。ただし、違法行為の停止が意味をなさない場合(人命喪失、条約の終了など)には請求の対象にならない。





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赤文字:条約 橙文字:判例 青文字:学説、理論 紫文字:国内法 緑文字:国際会議等
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☆条約の解釈方法
→①主観的解釈:条約締結時の当事者の実際の意思を重要視する
 ②客観的解釈:条文を通常の用語の意味に従って分析する
 ③目的論的解釈:起草者の意図から有る程度独立している条約独自の目的を重視する → できるだけ条約の実効性を確保する解釈方法であり、実効性の規則とよばれる。用語に害を及ぼさない範囲において、条項が適切な効果を持ち得るように解釈:国際反例で支持されてきた基本原則のひとつ(リビア・チャド領土紛争事件)。

第一次的な解釈権は当事国が持つため、複合的に用いられる解釈法の中でも、①および②の妥当性がより強いと考えられる。

条約法条約
 1)基本は用語の(自然な)通常の用法に従う。通常の意味を超える意味を持たせることを意図していたと主張する場合は、主張する者がその立証を行う。
 2)条約全体の文脈に即して解釈する。ただし、文脈により用語の通常の意味までも排除することはできない(平和条約の解釈に関する勧告的意見)。文脈には関連合意も含まれる。
 3)当時国間の事後の合意や国家実行、国際法の関連規則も解釈に含む(ex.ナミビア事件に関する勧告的意見:安保理における棄権が拒否権行使に当たらないという国家実行)。
 4)条約の締結準備作業や締結時の事情を補足的手段として考慮する。
 ※言語:多言語で確定された条文はいずれも等しい正文とされ、同一の意味を持つと推定される(シシリー電子工業会社事件)。正文以外の翻訳文は国際的に援用できない。
  異なる解釈が可能なおそれがある場合は、特段の合意がなければすべての正文の最大の調和が図られる意味を採用する(パレスタイン・コンセッション事件)。


条約改正
→原則的に締結と同じ手続による。全参加国の賛成を要さない多国間条約の改正においては、改正反対国と賛成国の間では改正前のものが適用される(改正反対国は改正に拘束されない:国連憲章は例外)。
 改正後の条約に加盟する国は、改正に反対した加盟国との間には自動的に改正前条約が適用されるため、その排除のためには特段の意図の表明が必要。
近年では、具体的な基準を議定書により柔軟に変更していく枠組み条約もある。

条約の終了
■合意によるもの:①当事国の合意による終了(条約の存在自体の消滅)、②運用停止(条約上の義務履行は免除されるが、条約は存続しその再開を妨げる行動は慎む)
 ※廃絶:長期間事実上適用されない条約については、一方的もしくは黙示の合意により終了できるとする主張。条約法条約上認められない。

■合意によらないもの:
①重大な違反・・・当事国の重大な違反(条約の否定、目的実現に不可欠な規定の違反)を理由に条約を終了させる。ex.レインボー・ウォーリヤ号事件
多国間条約においては、違反国を実質的に除名するか、条約そのものを終了できる。ただし、基本的人権にかかわるものは対象外。ex.ナミビア事件に関する勧告的意見
②後発的履行不能・・・条約締結後発生した事情により条約に不可欠な対象が破壊された場合(ex.ガブチコボ・ナジュマロス事件)。自国の義務違反が原因の場合は援用不可。外交関係断絶(手段の消滅)は含まれない。
③事情の根本的変化・・・締結時の事情に予見し得ない変化が生じた場合。濫用のおそれがあるため制限(同意の不可欠の事情の変化、条約の義務の範囲の根本的変化の場合にOK。自国の義務違反の結果による場合は×)がある。実際には厳格に審査され、例外的にしか適用されない(ガブチコボ・ナジュマロス事件)。
④強行規範の成立・・・条約に反する新たな強行規範が成立した場合には、条約は(新強行規範成立時から:遡及しない)効力を失い、終了する。





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