『陰謀論』は、結論から言ってしまえば、事実に基づいたフィクションである。
まったくデタラメというわけではないが、事実そのものではない。
日本の歴史を勉強し直してみると、100年前と現在が非常によく似ていることに驚く。
明治からすでに日本はアメリカの勢力圏にあり、現在と同じような金融経済政策をとっていた。
大暴落やら戦争やら、いろんなことがあったが、けっきょく「何も変わっていない」…
よくよくみれば変わっているが、何も考えないで生きていれば、違いなんぞ全然わからない。
金融崩壊だの、ドル崩壊だの起こったところで、過去にはそれ以上のことがいくつも起こったわけで…
…にも拘らず、明治時代と変わらない現代があるのである…
「危機だ」「危機だ」と騒いでみても、具体的にそれが何を意味するかわからなければ備えようがない。
あやふやな噂話ではなく、確実な知識を持つようにすることが重要である。
基礎のしっかりした学問をやる…そのためには必要な専門書も読むべきであろう。
確実な知識があれば、あやふやな噂話に惑わされることはない。
また日々、こつこつと観察、観測して記録を取っていれば、やはり惑わされることはない。
金融危機なんてのは、早い話、借金をだれになすりつけるかというだけの話で、本来は大した問題ではない。
おカネが増えた、減ったと言っても、時価総額の話だから、これもバーチャルな話である。
時価総額というのは、投資家には重要な数値だが、そうでない者には、あまり関係がない。
家畜ライフを送っていながら、その自覚すらないような人たちには関係ない。
関係があったとしても、自動車事故なり、雷に当たったなりの自然災害と区別がつかないのだから。
金融危機が、信用収縮によって”カネ詰まり”を起こすと、そこで初めて実体経済に影響が出る。
カネの流れが停まれば、物流も止まる。経済が心筋梗塞みたいなことになる。
また、金融の緩和と引き締めは、これも物流を増やしたり減らしたりするから経済に影響が出る。
しかし、それだけのことだから、借金がいくら積みあがろうが、一般人にはあまり関係がない。
リーマンショック以降、金融システムは格段に強化されている。
じゃあ、安全になったかというと、強化された分、バブルができるからそうでもないが…
積みあがった借金の分だけ、対策も進んでいるので、やはり「何も変わってない」のである。
『陰謀論』で重要なことは…
世界の支配構造、権力構造が、どんな感じになっているかということと…
「金持ち父さん、貧乏父さん」等で明快に説明されるようになった…
「おカネの仕組み」「資本主義の仕組み」であって…
金融経済をしっかり理解し、
オーウェルの「1984年」の世界が現実なのだということをわきまえて、
危機の本質を見極めるのと同時に、身の振り方を考えることなのである。
ここで、テーマを「日本株の動向」に絞ってみるならば…
日本株がなぜきょう上がったのか、下がったのかということを知る場合は…
やはり、「陰謀論」ブログではなく、トレーダーの読んでいるようなものを読むべきである。
最近のアメンバー記事は、著作権に考慮してそうしているが、楽天証券にアクセスし、「マーケット情報」をクリックすれば、そこから読める。よって、アメンバー登録は、さほど必要ないのだ。
日本株は為替に連動するので、アメブロガーでもある石原順氏のレポートに注意しながら、毎日配信される窪田氏のレポートを読んでいれば、はるかに確実な知識が身につく。
危機に備えるのであれば、具体的で確実なことを知っておく必要がある。
「陰謀論」からは、そうした具体的で確実な知識は学べない。
そんなものを読む暇があるなら、発表される経済指標をダウンロードし、直接読む…
そして、エッセンスを記録して、時系列で一覧できるようにしておく…べきだろう…
日本株が動く前に、あるいは同時にドルが動き始め、原油が動き始め、そしてダウが動き始める…
それぞれがなぜそう動いているのかがわかれば、次の展開も予想できる。
トレーダーたちは、そうやって予想して売買をしているのである…
いつぞやロイターの記事に、原油の需給調整にはロシアの参加が必要だという分析記事が載っていた。
「それならば、ロシアが行動を起こせば原油は下げ止まるだろう」と予想できたが、その通りになった。
原油が下げ止まったことで、しばらくしてダウは上昇に転じた。
ドル安はその後も継続したので、日本株は引き続き軟調な地合いが続いた。
ドルの動向がわかれば、今後の日本株の動向もわかるわけだが、基本的なことがふたつある。
ドルが高くなると、中国やアメリカの企業は競争力を失って経済を維持できないということ。
次に、ドルが高くなると借金漬けの新興国はデフォルトする危険が増すということである。
中国は、元高を修正したり、財政出動して、株や為替を維持すると同時に需要を喚起するといったことをするために外貨準備金を取り崩してテコ入れしてると思われる。
つまり、中国にドル売りの動機があるのである…
一方、サウジアラビアは原油安で国庫収入が減り、国民に対する高度な福祉水準を維持できなくなる危険を冒しつつあり、日本株を換金売りせざるをえなくなった。
親日でこれまでがんがん日本株を買ってきただけに、売る株が山ほどある!
また、一方、借金漬けの新興国は景気回復のために自国通貨を安くしようとする。
ブラジルは、今年に入っても自動車販売数が前年比マイナスを続けている。経済の底打ちが確認されているわけではない。
…となれば、中国同様、こうしたブラジルなどの他の新興国も通貨安の方向に政策を取ってくる可能性があり、オーストラリアなどは、つい最近利下げに踏み切った。
新興国の通貨とドルは、いまのところ連動しているので、新興国の通貨が下がれば、ドルも引きづられて下がっていく可能性が高いと思われる状況なのだ。
こうしてみてくると、ドル安のトレンドは今後も続きそうであり、するとこれに連動する日本株は、いずれ下値を更新してくる…という展開が想定できるのである。
「陰謀論」なんぞ関係ない…
為替とコモディティーの動きをみていれば、日本株の動きもシナリオのひとつとして想定可能なのだ。
去年の11月、世銀やIMFが今年の経済の成長率予想を下方修正した。
すぐに為替が下落トレンドにかわり、日本株は12月初めまで追加緩和期待で上げ続けたが失速。
1月から世界同時株安となって、下落トレンド入りが確定してしまった!
経済の弱さが予想されていたにも関わらず、アメリカが利上げに踏み切ったことで下落トレンド入りが確定したのであろう。
利上げの影響を経済指標で確認するには3か月ほど必要なので1~3月が荒れるのは予想できないことでもなかった。
1月の数字が悪くなるのは”当たり前”で、2月3月で、どうなっていくかが重要だった。
それが中国の3月の数字がやたらよかったし、1月2月3月も、自動車販売数は米中ともに堅調だったのだった。それが4月の戻り相場を後押ししたのかもしれない。
原油安は、直接的には株価を押し下げるが、実体経済には減税と同じ効果がある。
堅調な消費が、株価をも下支えしたと言えるだろう。
さて、それでこれで落ち着くのかと思えば、またも今年の世界の成長率の見通しが1,7%から1,6%へ0、1%下方修正された。(来年分も0,1%下方修正)
去年のことを思えば、再び為替が下落トレンドを明確化させていくかもしれない。
そこへ原油安が再来すれば、1月2月と似たような状況になるかもしれないだろう。
…このように、マーケットを観察していれば、普通に描かれるシナリオでも…
「陰謀論」で語られると違和感を覚えてしまう。
借金漬けの新興国が、どうやって米英を征して次なる覇権国家になれるというのだろう?
レイ・ダリオの作った動画があるというから、それも見たらよい。
金融が緩和されると、経済に先立って株価が上がり、引き締められると経済がよいうちから下がり始めるということが、わかりやすく説明されている。
12月の利上げとともに株価が下向きになるのは、動画の教えたとおりだったと言えよう。
「陰謀論」では「借金が~!」と騒いで、やたらと恐怖を煽ってしまっている。
まあ、カモになってくれる人がいないと儲からないわけだから、トレーダーとしては歓迎なのだが…
”金融による支配”という現実の前に、金融に無知で人民は主権者たりえるか?
このまま”金融のない世界”を実現すれば、”金融支配のない平和な世の中”になるとでも思うのだろうか?
「陰謀論」というのは、たとえれば、青春ものの教師ドラマや、警察ドラマ、警察24時みたいな番組のようなもので、そこで作られるイメージは、現場感覚からは大きく隔たるものなのである。
「危機だ」「危機だ」と騒いでいても仕方がないので、トレーダーとなって確実な知識と技術を身につけた方がずっとよいのではないのかと考える次第…