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上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2024年1月7日(日)14:00~

会場:スターツおおたかの森ホール

指揮:佐藤雄一

演奏:ラ・プティット・ドラマティーク

曲目:

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」

メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調「イタリア」

メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調「スコットランド」

 

                

新年も近隣アマチュアオケの演奏会からとなった。

懐都合と時間的な問題から近所のアマオケの日曜マチネ訪問が続いているが、まあそれはそれで新しい発見があり楽しんでいる。

そして、気に入って追っかけているわけでもないのだが、この日も前回と同じ指揮者であり、最近気づいたのだが、彼は数年前に亡くなった私の学生の時の教授に雰囲気がよく似ていてそれ故に何となく親しみがある印象で、それで飽きずに彼の指揮を見に行っているのかなという気もする。

でこのマエストロはこのオケの音楽監督になっているようで、指揮者にとってこのオケは手兵のようなメンバーと推測され、2016設立の別オケの別編成の位置付けの様でメンバーの平均年齢は比較的若そうである。

そんな状況からメンバー表を見ると前回聴いたオケとも重なるメンバーも多くいる。

会場は前回同様のおおたかの森ホールで、駅から近いのは有難い。

今回初めて電子チケットのサービスを利用してみたが、やはり紙チケットが残った方がいいかもしれない。

さてこの日はオールメンデルスゾーンプログラム。

チューニングはオーボエに引き続きコンマス(コンサートミストレス)が音を引き継ぎストリングセクションに指示を出していた。

本来はオーボエのチューニング提示から切り替わってしまうので、オーボエの準備に対するリスペクトの面でどうなのかなと感じる面もある。

 

1曲目はフィンガルの洞窟序曲で実は私が生のプロオケで初めて聴いた曲である。

演奏が始まると、この指揮者は相変わらずじれったいくらいのスローテンポな入りだが音は綺麗に出ているなと感じた。

 まあアマ臭さが無いわけでないが、不快な音の乱れはなくこの曲に大事な透明感というか繊細さの表現という意味では、最近聴いたアマオケの中では一番丁寧によく出ていた気がする。

こんな中で終盤のクラリネットのソロの歌い上げが秀逸で、とても心地よかった。

 

続いて交響曲4番「イタリア」で、有名な曲だが作曲家自身の命名ではないらしく、あくまでも愛称であり、しかも音楽的にはイタリア的要素はほとんどなく、作曲家自身がイタリア旅行中に着想を得たのが由来であるようなのだ。

しかも第4番というのもスコアの出版順で作曲順としては違い、どうやら3番目にされた交響曲とのこと。

それ故にこの日の演奏順ということになり、しかもフィンガルの洞窟はこの曲と同時にロンドンのフィルハーモニック協会に提出されており、そういうった経緯を踏まえてのこの日のプログラムのようだ。

 

さて、演奏は少しだけスローなテンポ設定の入りだが、そこまでは気にならない。

もっと疾走するがごとくスピーディに推進力を見せてほしく感じる面もあるが、音の仕上がりを大事にして慎重に音を置く演奏になっていたようである。

金管は安定に苦労していようだが、オーボエのアクセントなどは悪くなく、綺麗に歌われていた。

また2ndヴァイオリンやヴィオラの中音域が安定しているので、オケ全体の音に安定感があった。

オケの常として1stヴァイオリンは主旋律を弾く分だけ善し悪しが目立ち、乱れもやや気になるが、それをカバーしていたのがチェロを含めた中域だったのである。

第2楽章の緩徐楽章にはいり一般的に聴く演奏のテンポになったため、ちゃんとした仕上がりに落ち着く。

ホルンや木管群も慌てた様子がなく、集中してしっかりとした音を鳴らしていた。

それにしても日本はアマオケの演奏会でも聴衆の質が良いので聴きやすい。

 

第3楽章はやはり通常よりゆったり目の節回しである。

元々速い楽章ではないが、ゆったりとしている分だけ、曲の美しさの表現に力が入った印象である。

第4楽章もやや慎重なテンポで入る。

流れが遅めで勢いはあまりないが、パーカッションが効いていた曲のパワーは感じる演奏であり迫力はあった。

 

後半は「スコットランド」

そもそもゆったり始まる曲ではあるが、さらに慎重に曲をスタートさせ多様な印象。

ゆったりとアクセルを踏み込んでいく感じもあるが、ゆったりさは変わらず、徐々に主題テーマが立ち上がってくる。

全体のバランスとして完璧なわけではないが、前半同様が中音域安定しているおかげで曲がふらついている印象はない。

各木管のフレーズも、丁寧に歌われていた。

 

そのままほとんど間を置かず第2楽章に入る。

スケルツォ的なヴィバーチェ楽章で、テンポも確かに上がったが、軽やかに進むというより、丁寧に一歩一歩進めたといった印象の楽章になった。

全体の音が少しゴチャついてしまった感はあるが、まずまず楽しめた演奏だった。

やはり続けて休みなく第3楽章に入り、アダージョ楽章となりゆったりと歌われ、やはり丁寧にフレーズを奏でている印象が伺える。

冒頭から感じていた音の綺麗さがここでも感じ取れ、ホルンも崩れずよく踏ん張った印象である。

続けて第4楽章へそのままなだれ込む。

低弦のリズムが刻み、前の楽章などに比べればテンポアップはしているが、この曲でよく聴かれる演奏のリズムよりは、やはりゆっくりで音合わせを優先して丁寧に運んでいる印象である。

故に推進力としては欠けるが、バランスはとっているので音楽としては崩れているわけでもない。

とは言え、曲を大きく描いているのというよりは、しっかりと足を踏み固めつつ進んでいる印象と言ったらよいだろうか?

こうやってしっかりとした足取りでフィナーレを迎える。

まあ華麗な世界を描いたという程の奥深さはなかったが力強さのある演奏になった気がする。