三ツ木琴枝・勝又真治指揮セラヴィ・フィルハーモニー管弦楽団 第22回定期演奏会 | 上海鑑賞日記(主にクラシック)

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日時:2024年6月29日(日)13:30~

会場:ティアラこうとう

指揮:三ツ木琴枝・勝又真治

演奏:セラヴィ・フィルハーモニー管弦楽団

曲目:

シューマン:交響曲第3番変ホ長調「ライン」作品97

ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90

 

 

感想:

 この日は用事が早く終わったので、事前にチラシを見つけていた無料のアマチュアオケの公演に伺ってきた。

 場所はティアラこうとう大ホール。

 このオケのホームページを覗くと2002年設立とそれなりの歴史を持っているようだが、団員募集説明に楽譜が読めなくてもOKとの記載があり、かなり初心者に近いメンバーが参加しているオケということが推測できる。

 入場してきたメンバー構成を見るとかなり若めで、白髪頭の方はほとんどいない。

 指揮者も前半と後半で別であり、ネットで調べても特筆すべき経歴は見つからないようなので、高い専門教育を受けた方ではないのかもしれない。

 そんなオケで、チューニングのオーボエから板についていないような印象は受けた。

 

 前半はシューマンの「ライン」。

 冒頭から第1ヴァイオリンの弱さと不安定さが気になる。

 ホルンやトロンボーンの音色はしっかり安定していたが、木管群は縦の合わせが微妙な印象で、指揮者が全体のまとめに苦労しているような印象だった。

 このような状態のため、金管に導かれている曲の表情になっていた。

 指揮者は頑張っており、フレーズのリズムはしっかりと基本線を抑えており全体がバランスを崩すようなことはなかった。

 第2楽章でも同様の傾向は続き、ホルン群やティンパニが強く、第1ヴァイオリンが主役にならないため、通常とは違った表情が見える演奏になる。

 第1ヴァイオリンは不安定さより音の弱さの方が影響は大きいようであり、メンバーを見ると女性が8割を占めていて、このあたりに要因がありそうである。

 第3楽章もやはり弦の弱さの影響で、メロディラインがぼやけてしまう。

 木管が支えるフレーズが多いので、そこは保たれるがやはり全体の表情がわかりにくい演奏となってしまう。

 そして第4楽章はホルンのアンサンブルが活き、メロディラインは浮き上がるがやはり第1ヴァイオリンの弱さがもどかしい。

 正直言って木管など他のパートにも粗がないわけではないが、オーケストラのベースとなる弦が弱いのはやはり苦しいのである。

 そして第5楽章のフィナーレ。(この曲は5楽章形式である。)

 華やかなメロディをホルンやトロンボーンなどが支え、それを指揮者がしっかり導く。

 弦の弱さは相変わらずだが、総合的な音数の多さや賑やかさがそれをカバーする。

 残念ながら、私の知っている「ライン」とはちょっと違うイメージになってしまったが、何とかフィナーレを迎えて、曲は閉じた。

 

 後半はブラームスの交響曲第3番で、指揮者が男性に替わる。

 メジャーな曲ではあるが、聴く機会はあまり多くないので、ライブはいつ以来かなと思いを巡らす。

 

 録音媒体などでは、気分が上がらない時に実は第3楽章あたりを好んで聴いていたりする曲である。

 さて、冒頭の管楽器はそれなりのスタートだったが、そこから弦が伸びて来ず、音が抜けたのかと思うほど弱い。

 クラリネットなどの木管はそれなりにメロディを奏でるが、その合間に不安定なヴァイオリンのメロディが入ってくるとやはり気になってしまう。

 続く第2楽章は、木管が主体のメロディが展開されたため、違和感なく曲がスタートする。

 ただホルンのバランスが強すぎるのか、クラリネットが少し埋もれ気味である。

 しかしやはりヴァイオリンが弱いので、全体としてバランスに違和感があってブラスバンドで演奏されているような響きにも聴こえてしまう。

 そして第3楽章。

 ヴァイオリンの音色はやや狂いがちだが、弱いながらもテンポが遅い分だけ乱れが少なく安定している。

 しかし弱さは相変わらずで、メロディの歌いも弱弱しい。

 オーボエの悲し気なメロディが秀逸だったのが救いだろうか。

 

 そして第4楽章、弦楽器群の音の不安定さは改善されないものの、全体としてのまとまり度合いはここへきて向上し、ようやく音楽として落ち着いて聴ける状態までになっていった気がする。

 そんな終わりよければ全て良しみたいな感じで終演となる。

 まあ冒頭に書いた通り、楽譜も読めないところからスタートしたメンバーがもし本当にいるのならここまでの完成は大したものだが、実際問題として音楽として楽しめたかと言えば、ちょっと苦しいなというのが正直な感想だ。

 今後の成長に期待したい。