ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団 | 上海鑑賞日記(主にクラシック)

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日時;2019年5月26日19時30分~

会場:上海東方芸術中心

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン

演奏:フィラデルフィア管弦楽団

曲目:

譚盾:声楽協奏曲「九色鹿」(ソプラノ:雷佳)

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ:張呉辰)

シベリウス:交響曲第2番二長調

感想;言わずと知れた伝統あるアメリカのオーケストラ。

このオケはサヴァリッシュさんの時代にベートーベンツィクルスで接したことがある。

またこの指揮者のネゼ=セガンさんは生で接するのははじめてだが、ロンドンかどこかのオケを指揮する姿をテレビで見ており、優秀そうな指揮者だというのは感じている。

 さて、この日の1曲目は中国人作曲家の譚盾(タンドゥン)さんの作品。

 中国人作曲家にあまり明るくない私だが、この譚盾さんは知っており、なかなか独特の曲を作られる方である。

 この日の曲はソプラノを加えた曲で、鹿狩りの様子を映し出したような作品で、オケのメンバー全員が何度も声を出すなど、ちょっと珍しいタイプの楽曲である。

 また中国的な響きもあり、現代曲の割には興味深い曲であり演奏となった。

 

 さて2曲目のラフマニノフだが、どうもこの中国人ピアニストはあまり優雅ではなく、弾き姿勢も表情も必死でオケに「食らいついています」という様子で、曲の持っている雰囲気を味わう以前に興ざめしてしまう。

 そしてクライマックスの第18主題のところでは、音は前に進んでいるのだが、この曲の持っている優美さや大きさが描き出せていなく、ただ必死に進んでいるといった印象でとても勿体ない演奏になってしまった。

 中国人の聴衆たちは大喜びだったようだが私には不満の残る演奏だった。

 ただ、このピアニストがアンコールで弾いた曲を聴く限りでは、良い世界も持っており、感性が低いわけでもないようだったので、経験の差が出てしまったというところであろうか。

 

 で、シベリウスのシンフォニーだが、このレベルの演奏で不満を持つのは非常に申し訳ないが、やや表面的な演奏になってしまい、曲を支える緊張感がやや不足しているかなという演奏だった。

 この交響曲の主題は、ジリジリとした緊張感が曲全体を支えるのだが、それがなく、よく言えばさわやかだが、物足りなくなってしまっていた。

 まあ私の素人的な見立てでは、チェロセクションが弱かったのかなという印象である。

指揮者からのチェロセクションへの煽りも少ないし、演奏者たちの動きというかうねりが、他の曲ほど見られず第4楽章のチェロからスタートする部分もあまり目立たなかった。

 フィラデルフィアサウンドと言われる弦楽群の響きは健在であったが、まあこのレベルの演奏で満足しないのは申し訳ないのだが、やはり物足りなかったのである。