日時:2018年10月28日
会場:上海交響楽団音楽庁
指揮: アラン・ギルバート
演奏:エルプフィルハーモニー管弦楽団
曲目:
ワグナー:歌劇「ローエングリン」第一幕前奏曲
マーラー:交響曲第10番
ブラームス:交響曲第4番ホ短調
感想:
ドイツ・ハンブルグに本拠を置く歴史あるオーケストラの公演。
従来、北ドイツ放送交響楽団の名前で活動しており、かつての名指揮者ギュンターヴァントさんとの数多くの名演が録音として残っている。
昨年2017年に本拠地を移転したのを機にホール名を冠して現在の名称になってしまったため現名称での印象はまだ薄いがドイツの音楽の伝統を担ってきたオーケストラである。
また今回指揮をするアランギルバートさんはアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれたダブルの血筋で、ニューヨークフィルの音楽監督などを経てこのオケの音楽監督に就任することが決まっている。
私自身、この指揮者で日本にいたときにN響あたりで聴いている可能性はあるのかも知れないが、定かな記憶はない。
ただYOUTUBEで見たNYフィルとのローマの祭は素晴らしく、この指揮者は買っている。
さて初日の1曲目はワーグナーの歌劇「ローエングリン」の第一幕への前奏曲である。
あの有名な第三幕のほうではなく第一幕である。
非常に静かに美しく鳴る曲で、弦の美しさが際立ち、ヨーロッパの自然の風景が目に浮かぶような曲想である。
ただ私個人としてそもそもワグナーの曲はどうも苦手で、壮大な心地よさはある曲だが気持ちにはしっくりこない。
また指揮者の指揮ぶりが、音の雰囲気に合わず忙しなく動くのでどうも気分がそがれる。
続いてマーラーの交響曲第10番のアダージョ。
1曲目に引き続きゆったりとしたテンポの曲である。
そう、今日のテーマはアダージョなのであり弦の響きということになる。
やはり聞こえてくる曲調に比べ、指揮者の激しすぎる振りぶりがどうも気になり、この曲の深部の深みを感じるまでに至らない。
そしてブラームスの交響曲第4番。
決して悪い演奏ではなかったが、もう少し枯れた境地の詫び寂び的な演奏を期待したのだが、やはりエネルギーをそのままぶつけるような私のブラ4像とは違った演奏になった。
本来なら見えるべき光と影のうち、影が明るさで打ち消され見えなくなったような状態で、心の嘆きといった音の表情はそこには見えなかったのである。
まあこれが指揮者が示す新しいブラームス像というなら、それは有りなのかも知れないが私にはちょっと違和感があった演奏だった。

