怒りと笑いと | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

パリの

ファンダシオン・ルイ・ヴィトンに

行って来た。




足を運ぶのは

二回目だけれど

中に入るのは

初めてだった。


今回は

建築の話でも

展覧会の話でもない。


帰り道での

出来事だ。


交差点の

歩行者用の信号が

何処にも見当たらなかった。


ベビーカーを押す

若いママの為に

一台の車が止まった。


すると

後続の車が

何台か

クラクションを鳴らした。

車用の信号は青だったのか?


止まるなよ!

動けよ!

との

不平不満だ。


すると若いママは

立ち止まり

血相を変え

身を乗り出して

先頭の車ではなく

後続の車に向かって

怒鳴り散らした。


フランス語だったので

判らなかったけれど

恐らく


「歩行者優先だろ!

しかも

子供がいるんだぞ!

何クラクション鳴らしてんだよ!

横断歩道渡るの僅か

数秒だろ!

そんなに急いで

何処に行くんだよ!」


みたいな事なんだろうと

推測した。


すると

横断歩道の反対側から

歩いて来た中年男性も

車の前で立ち止まり

先頭の車に向かって

満面の笑顔で


「メルシー・ボク!」


何度も繰り返した。


勿論、

後続車に対する当て付けだ。


正当で

迫力のある怒りと

シニカルで

インテリジェントな

笑い。


僕は

ビックリして

何も出来なかったけれど

彼らのアクションに

大いに影響を受けた。


不当な扱いに

抗議しようと。

でも

決して

ユーモアを

忘れないようにしようと。


そして、

目撃者は

触発される可能性がある事を

身をもって知った。


小雨が降っていたけれど

僕の心は

晴れ晴れとしていた。




別の国だと

ママは謝って

誰もサポートしない所か

関心すらないだろうな。