安藤忠雄 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

目の前にレジェンドがいた。

予想していたより小さくて

トレードマークの髪型は

すっかり白く薄くなり、

耳も隠れていなかった。

 

安藤忠雄氏。

 

それでも、鋭い眼光は健在で

室内を見渡す度に

その輝きが

そこに居合わせた人々を萎縮させる。

 

そんな威厳とは裏腹に

終始、彼はユーモアを振りまいた。

関西人気質と言ってしまえば

それまでだけど、

人を楽しませるサービス精神は

まるで子供のような純真さを感じさせた。

 

あと1日モントルーで延泊すれば

あのクインシー・ジョーンズの

誕生日パーティーで回すこともできたのに、

僕はこの日の為に帰国スケジュールを

変更することはなかった。

 

北山総研の北山晋さんのお誘いで

有志が大阪に集い、

安藤建築を見学してからの、

安藤事務所での講演会的面談・・・。

 

時差ボケで昼夜逆転している上に、

体温を越える大阪の街で

意識朦朧としていた黒ずくめの僕も、

ご本人の登場で一気に目が覚めた!

 

面白いもの見せましょか?

とガキ大将のような笑みで

安藤さんは自作コラージュのコピーを

僕達に披露してくれる。

クライアントを口説く際?に作る

クライアントが登場する

いたずらコラージュ??

 

安藤さんはまくしたてる。

日本にオモロい奴はおらん!

日本は会議が多過ぎる!

日本人は元気がない!

日本の近代は間違っていた!

 

決してネガティヴじゃない。

達観した遠い目と

優しい口元。

 

ないなりにやればいい。

 

それは学歴もなく、

内蔵を5つ摘出し、

それでも

偉業を成し遂げ、

今も力強く生きる

安藤さんからのエールだった。

 

日本人は

もっと外に出て行かなあかん!

人をキャッチせなあかん!

コミュニケーションせなあかん!

生きてゆくには戦略が必要!

 

ここでは具体的な説明は

敢えて書かないけれど、

どれもが熱く心に刺さる言葉だった。

 

結局、大事なんは夢と希望やろ。

 

大きく見開いた目で

僕達全員を見渡す。

 

金を持ってるやつに

いっぱい会って来た!

と言う安藤さんが

辿り着いた結論がそれだとは・・・。

 

面談の最後に、

33年前に父が家を建て替える際、

彼に頼むことを提案したのに、

剣もほろろに却下されてしまった僕は

今も個人住宅を頼めるのでしょうか?

と安藤さんに質問した。

 

建築費は高いよ、

と言われたけれど、

設計料のことに彼は触れなかった。

 

"パブリック感覚"という言葉が

頭をよぎった。

それは、今、

彼が私財を投げ打って取り組んでいる

中之島の図書館についての話の流れで、

彼自身が口にしたキーワードだった。

 

大阪城の持ち主である女性漫才師と

彼の大きな違いだそうだ。

 

「大阪の土地は

全部自分のもんやと思てるからなー。

ガハハハハ」

 

僕もコラージュを作ろうと思う。

 

(2019年7月13日の日記より)

 

 

(写真は事務所のHPより)