JAK JAZZ二日目 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

翌日のDJ SET。
前日のLIVEだけでも良かったのに、
LIVEの後ならまだしも、
翌日のDJって大丈夫なのかなって実は気になってたんです。

悪い予兆が
朝から・・・。

実は、ライブの後、
皆で打ち上げモードで呑みに繰り出し、
はしごして屋台村で締め。

ホテルに戻ったら
朝の6時。
シャワーを浴びて寝たのが、6時半。

なのに、
起床は9時半。
寝不足に・・・。

10時からサウンド・チェックだったんです。

ところがロビーでスタッフと待ち合わせだったのに
誰も迎えに来ない・・・。

なんと、僕が寝ていると思い込んでいたスタッフは
起こすと悪いって事でカフェで待機してたそうな・・・。

45分待って、
結局、フェスの関係者と思しき人が
会場に連れて行ってくれたものの、
会場でも、
えっ、起きられたの?と驚かれる始末。

セッティングが出来ていない・・・。

待つ事1時間。
結局、本番前にバンドからDJへの転換が
1時間あるから
その時でいい?って事に!!

なら、最初からそうしてよ・・・。

ホテルに戻ると今度は取材。
 
テレビ1本に雑誌が3誌、そして
ラジオが二局。

ベッドに戻ったのは、午後の3時だった。

3時間ほど仮眠を取り、
6時間から2時間のミーティーング。

今回のブッキング・エージェントでもある
デイヴィッドと今後の事について色々と。

8時からそのまま同じ場所で食事。
一度部屋に戻ってレコードとCDをピック・アップして
会場入りしたのが10時。

案の定、
ライヴが押していて
定刻にサウンド・チェックは始まっていない。

それにしても
結構な数のオーディエンスが集まっている。

そこは、
会場というよりも
スタジアムの2階部分を取り囲んでいる
屋外通路に作られた特設会場。

夜空も観えるし、
亜熱帯植物がいい具合に配置されていて
なかなか居心地はいい。
これで、まとわりつくような湿気がなければ・・・。

前のアーティストのライブが30分オーバーで
終わった。

ステージ脇にはけようとしているアーティストを
追いかけて引き止めている一部の熱心なファンを
のぞけば、あっと言う間に殆どの観客は
どこかに消えてしまった。
まるでフェスそのものが終わってしまったかのように。

「なあ、SWING-O、これどう見ても通路だよな」
僕は、隣に居たKJM LIVE SETのキーボード奏者に
同意を求めた。

確かに階段脇にせり出したテラス部分に
ステージが存在するのだが、
ライブの時にステージ前にじゃがんだり
座ったりして人の行き来を封鎖していた
聴衆が
民族の大移動を完了すると、
通路が本来の姿を取り戻していた。

「こういう時、どうするんですか?」
SWING-Oが苦笑いしながら、僕に尋ねる。

勿論、僕がDJを始めたら人が戻って来る事を祈るしかない。
すでに、開始時刻まで10分もなかったけれど。

アシスタントが、ある事に気付いた。
「ステージの奥に看板が吊るされてるんですけど、
DJ SHUYAになってますね」

「DJ SHUYA!!!新しいDJネームいいじゃないですか」
SWING-Oがえらく受けている。

11時15分。
ステージに上がって僕が観た光景は、
前日の舞台から眺めた観客の興奮とはほど遠いものだった。

通路をはさんで
スタジアムの屋根の下に並べられたラウンジ風のソファーに
観客がまばらに座っている。
その気怠い空気は、南国特有の不快からくる倦怠感に汚染されているかのようだった。
時間の速度までをも腐らせてしまうような鈍重な気配に支配された人々は
完全にダンスのモチベーションを放棄させられているに違いない・・・。

空振りは危険だ。
ダンサブルな曲でスタートし、
彼らがグルーヴに取り残されてしまわないように
敢えてモロ・ジャズでイントロを演出してみた。

コルトレーンの「NAIMA」。





























とみせかけて
ディレイとフィルターで
コルトレーンを蒸発させるように闇夜に解き放つと
4HEROのプロブラムされたジャズ・リズムで始まる
ダンサブルな方の「NAIMA」へ!!!



































あれ?
普通、これで踊り始めるんですが・・・。

視線を感じる。
ソファに腰掛けていた人々の
黒く、僕を哀れむような視線を・・・。

少しずつ人が集まり始めたものの
ブース前に誰一人侵入しようとはしなかった。

というのも、どこからともなくカメラマンが多数押し寄せ、
僕の目の前はいつの間にか撮影会状態に。

仕事だからいいっちゃいいんだけど、
そのポジショニングは、
ちっとないよなー。

等と心の中でボヤきながら、
深呼吸をして
吹き出す汗を手の甲で拭う。

ヤバい。
絶対ヤバいよ!
いやな予感が的中した。
これは、会場じゃない。
通路だ。

僕は、
ある意味開き直って
いつもの調子で
ブロークン・ビーツから
ソウルフルなハウスを経由し、
ディスコへと向かっていた。

でも、誰も、ついて来てないやん!!!

その時だ、
アシスタントがステージ脇からブースにやって来て
こう言った。

「SWING-Oさんが、VANESSAとTASITAを投入した方が
いいんじゃないかと・・・」

それはナイスな判断だった。
昨日既にライブを終え、
今日は完全にパーティー・モードだった二人が
ステージに上がれば、
この状況を打破できるかもしれない。

KARIN YOUNG「HOT SHOT」のパーカッション・ブレイクから
僕は、
ROOT SOULの「SPIRIT OF LOVE(restless soul remix)」に移行する。

彼女達が僕の元にやって来てくれた。
煽る、歌う、叫ぶ!!!
オーディエンスが続々と立ち上がり
踊り始める。
あちこちから人が集まって来た。

ア・リ・ガ・ト・ウ!!!!!!!
心の中で叫んだよ、SWING-OとVANESSAとTASITAに。

僕のDJ生命が救われた(苦笑)。
通路がようやくダンス・フロアーに生まれ変わる。

なんとか形になった。
決して満員ではなかったけど、
それは、ダンス・フロアーと呼べる状態に仕上がった。

ここからはほぼPA LIVE状態に。

ま、
これをDJプレイと呼んでいいのかどうかは
疑問が残るけれど・・・(笑)。

いつもなら、
僕のブログ、
ここら辺りでハッピー・エンドでしょ?

でも、
これでは終わらなかったんです(汗)。

つづく