タイレル社へ赴くデッカードの声を生成AIで聞き取り易くしたぜ! | 映画復元師シュウさんのブログ

タイレル社へ赴くデッカードの声を生成AIで聞き取り易くしたぜ!

地味~にヌルヌルと、「ブレードランナー究極試写版」のフルハイビジョンのレストアが進行中だ。

 

今回の最大の目玉も、生成AIを使って、デッカードのVO(ヴォイス・オーバー)をクリアにした部分だ。

まずは、完成したクリップをご覧あれ。

デッカードとガフがタイレル社に向かうシーンに、未公開シーンをふんだんに入れた長尺版だ。

いかがだろうか?

デッカードのVOは聞きやすくなっていると思う。

 

実はこのVOと未公開シーンは、下に紹介している未公開シーン集から採用した。

(この動画は、ブルーレイボックスなどに収録されている特典だから、誰でも入手可能だ。)

なお、タイレル社へ向かう該当箇所は、6分32秒から9分3秒だ。

見て頂くと分かるが、僕のクリップよりも、デッカードのVOでは、遥かに多くのことを話している。
背景には、ご丁寧にも吹き上がる火炎の効果音や、ヴァンゲリスの音楽も重ねられており、ある意味、これで一つの”別バージョン”となっている。

だが、これらのVOを本編に組み込もうとした際、本編と内容がまんま同じ部分が数多く存在した。
そこで編集では、重複しないものに絞って採用。

そして、そのVOに合わせて画も再構成し直した。

 

すると、もともとの未公開シーン集に入っていたスピナーの飛行音や吹き上がる火炎、ヴァンゲリスの曲が邪魔になって、再編集がしづらくなってきたのである。

 

以下にお見せするクリップは、そんな効果音やヴァンゲリスの音楽が違和感ない様に、上からさらなる効果音を入れたり、曲を無理やり重ねたりと、あらゆる力技で誤魔化して観られるようにしたもの。

まずは観て頂きたい。

いかがであろうか?
相当頑張ったから、違和感はそんなにないと感じる。

むしろムードたっぷりとも言える。

 

ただし、上から重ねたヴァンゲリスの曲や火炎の吹き上がる音によって、デッカードの音声が、若干聴こえづらく感じる。

日本語が分かる人なら、字幕で補えるから問題はないが、日本語が分からない人にとっては、不明瞭だと思うのだ。

そこで、今回のリマスター化に際しては、前回の警察署に向かうデッカードのクリップと同様に、生成AIの力によって、未公開シーンから、デッカードの音声そのものを抽出。

それをタイムラインに並べて、違和感のない範囲で、火炎の爆発音や、ヴァンゲリスのサントラを引き直した。
それが冒頭でも紹介したコレだ!

改めて、デッカードのVOがはっきりと聞こえると思う。
そして、重複の無い意味ある情報のみをしっかりと伝えられたと自負する。

 

色々苦労の末、作業をやっておるのです。