BLADE RUNNER ブレードランナー スケッチブック SKETCH BOOK 映画 設定資料 リドリースコット監督 シドミードSYD MEAD画集 グラフィック
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いま、ぶっこわれたHHDの中身を鋭意修復中だ。
クソバカな僕が、焦ってフォーマットしかけてしまい、削除してしまったデータの復旧はまだ続いている。
そこで、復旧した画像から少しだけネタをご紹介。
有名な話だけど、「ブレードランナー」に登場するレプリカント、レオンの銃についてだ。
これはコップ357マグナムという実際に存在する銃を使っている。
4発撃てる未来的なフォルムから、未来の拳銃として採用された。
資料としては、この銃を元にした、映画用のデザインも残っている。
「ブレードランナー・スケッチブック」によると、ステファン・デインによるスケッチで、バレルをぶった切り、グリップの形状も異なっていたとある。
本来は、デッカードのブラスターとしてデザインされていたが、デッカードの銃としては採用が見送られ、レオンの銃に落ち着いた。
※ちなみに、デッカードのブラスターはその後、シド・ミードも担当するが、これまた採用が見送られている。
(これらは、ファンメイドによる立体化だ。ないものは作ってしまえ、という姿勢は大好きだ)
デインのデザインがレオンの銃に決まると、リドリー・スコットより、レオンの銃としては、未来的な仕掛けが欲しいとのオーダーがあった。
そこでダグラス・トランブルは、「普段の発想と逆のこと」を提案したという。
この考え方は、トランブルが、「2001年宇宙の旅」の視覚効果担当の一人として参加していた時、スタンリー・キューブリックから学んだ考え方だという。
つまり今回の場合は、銃からは、レーザー光線の代わりに「影」が飛び出し、狙った対象が爆発する代わりに、その部分が内側につぶれていく、あたかもブラックホールに吸い込まれるようになる…というもの。
これなら、血が噴き出さず、スマートに「死」を描ける…そういうコンセプトだった。
実際、劇中でも、そのアイディアの名残が確認できる。
お分かりだろうか?
連続写真の2枚目で、デスクより「黒い影」が飛び出しているのだ。
しかしお分かりのように、本編では、ありきたりのパイロテクニックによる発火処理と煙で処理され、「ブラックホール」構想は消えてしまっている。
なぜなのか?
業界紙「シネフェックス」とメイキング本「フューチャーノアール・メイキング・オブ・ブレードランナー」では、異なった理由を示している。
「シネフェックス」では、特殊担当スタッフが思うように動いてくれず、結局は、トランブルたちと現場スタッフの間でアイディアがこぼれてしまい、従来通りのテクニックで処理されてしまった、というもの。
対するメイキング本では、効果を試したが、派手な効果が得られず地味すぎるため、それ以上にアイディアが発展せず、結局従来の方法に落ち着いた、というもの。
いずれにしろ、デインのデザインが採用されることはなく、コップ357マグナムそのままの形状で使われてしまった。
だから、レオンの銃はブラスターと考えるより、単に昔からある実際の銃をレオンが入手して使った…回りまわってそういう結論と相成るのだ。
レオンがもっと輝ける可能性があったのに、かわいそうな話である。