「スター・トレック」は色っぽくて、「スター・ウォーズ」は荒々しいというお話。 | 映画復元師シュウさんのブログ

「スター・トレック」は色っぽくて、「スター・ウォーズ」は荒々しいというお話。

先日、「スター・トレック/ディレクターズ・エディション」の映像にウットリしたが、やはり肝はレンズフレアに尽きる! 

そして、船にしろドックにしろ、至る所が点滅し輝いている。 

敢えて表すなら、有機的で色っぽいんだよね。 

面白いのは、逆に「スター・ウォーズ」は無機的で荒々しい点だ。

確かに、スタ―・デストロイヤーにだって、無数の光源が仕込まれているし、航行灯は点滅だってしている。
さながら、超巨大なビルディングの様相を呈している。
けれど、光源が主張することはない。

あくまでも、光源は建造物の”添え物”的な扱いで、そこが荒々しく感じる一番の要因な気がする。
逆に、光でごまかさず、ミニチュア自体の迫力で勝負していると言えなくもない。

 

敢えて言うなら、「エンタープライズ」は飾ってニヤニヤしたいけど、「スター・デストロイヤー」は持って遊びたくなる(デカいからしないけどね)という違いかな。 

「スター・トレック」1作目は、SFXの現場が大混乱だったというが、最終的には、「2001年宇宙の旅」や「未知との遭遇」などで手腕を発揮したダグラス・トランブルが、現場をまとめ上げていく。

 

「スター・トレック」の現場には、「スター・ウォーズ」のSFXを指揮したジョン・ダイクストラも参加していたが、完成した映画からは、ダイクストラよりも、トランブルの影響がにじみ出ているように思われる。

 

ちなみに「スター・トレック/カーンの逆襲」で、SFXの工房が、トランブルから「スター・ウォーズ」のSFXを担っていたILMに全面的に移行したら、この色っぽさが消えていた。
 

同じミニチュアでも、照明効果でこんなにも変わるのが興味深い。

「スター・トレック」1作目と2作目だと、予算の違いもあるから、単純に比較するのは気の毒な面もあるけど、1作目は、エンタープライズの表面にエッチング処理された銅板が使われ、光を当てるとキラキラと反射する効果もあった。 

 

これだけでも、船の艶っぽさに差が出ると思う。 

 

そこに、レンズフレアの効果も加わり、船がまるで生きているように感じられたのだ。 

 

このこだわりは、後に「ブレードランナー」のタイレル社の表面処理に引き継がれていくのである。

やはり、トランブルが「光の魔術師」と言われていた所以だ。

 

ちなみに、1作目と2作目の光の使い方について、海外のスター・トレックファンの方より、興味深い指摘を頂いた。

 

https://x.com/stevangucu/status/1755888964555182458?s=46&t=lobf-JlRn9iTd-_Px28DXQ

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If you think about it, the difference in quality between TMP and TWoK fits the narrative.

 

In TMP, the entire crew gets rejuvenated in the end, ready for a new start.

 

I TWoK Enterprise is older, and Kirk again has a mid age crisis, having doubts of his capabilities as a captain.

 

考えてみれば、TMP(1作目)とTWoK(2作目)のクオリティの差は、物語に相応しい。

 

TMP(1作目)では、映画の最後で、クルー全員が若返り、新たなスタートに備えている。

 

TWoK(2作目)では、エンタープライズは歳を取り、カークは再び中年の危機を迎え、船長としての自分の能力に疑問を抱いている。

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なるほどねー🤗

この考察はアリだわ!

 

確かに、1作目は、船体がピカピカして瑞々しい印象を受けるけど、2作目は、ツヤがないもんね。

 

作品のテーマに、奇しくもピッタリしたのは、充分頷ける話だな。

 

今度は、「カーンの逆襲」を観たくなっちゃったよ。