『会報 2018年11月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より
昨今、スポーツ界におけるパワハラ問題がニュースで取り上げられています。職場内においてもパワハラは以前から問題となっています。今回、職場でのパワハラを防止するため、パワハラに関する基礎的な知識を整理し、パワハラ防止対策を実行するための方向性について解説する特集がありましたので、要旨をまとめてみました。
今回は、防止のための取組みについてです。
8.防止のための取組み
厚生労働省では企業等がパワハラ防止に取り組むための枠組みとして、次のような「7つの取組み」を推奨しています。
①トップのメッセージ
②ルールを決める
③現状を把握する
④教育する
⑤周知する
⑥相談や解決の場を設置する
⑦再発防止のための取組み
これらすべてを完璧に実行することは難しいので、次のような取り組み方が参考いなります。
(1)管理職研修
組織の屋台骨を支えているのはミドルであり、ミドルのパワーが最も職場に影響を及ぼします。
(2)ルールの点検、委員会の設置
就業規則や労使協定の改定がすぐにできないようなら、まずは「パワハラ防止宣言」や「ガイドライン」の策定を優先します。
(3)相談窓口の設置
社内での相談もなく、いきなり外に噴出をするリスクがあります。21世紀職業財団では小規模な組織でも無理なく年間契約できる外部相談窓ロサービスを提供しています。
9.発生時の対応と発生の防止
ハラスメント問題は初動がもっとも大切です。迅速かつ適切に対応することでリスクの芽を摘むことができます。何よりも未然防止が最大の防御です。「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が2位以下に2倍以上の差をつけて第1位でした。風通しの良い職場ほどパワハラは起こりにくく、万一ボタンの掛け違いが起こったとしても職場のレジリエンス(自己回復能力)が機能する健全な職場として、多彩な力が活きる職場として価値を生み出していくことになります。
パワハラ防止のための7つの取組みは分かり易くてよいですね。パワハラばかりでなく、その他いろんな職場の問題に対しても取組みの原則として活用できそうです。