『会報 201811月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

昨今、スポーツ界におけるパワハラ問題がニュースで取り上げられています。職場内においてもパワハラは以前から問題となっています。今回、職場でのパワハラを防止するため、パワハラに関する基礎的な知識を整理し、パワハラ防止対策を実行するための方向性について解説する特集がありましたので、要旨をまとめてみました。

今回は、職場のパワハラについてです。

 

6.職場のパワハラ

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為を言います。そして、裁判例の分析を踏まえて「6つの行為類型」が示されました。

 

 1.具体的な攻撃

 2.精神的な攻撃

 3.人間関係からの切り離し

 4.過大な要求

 5.過小な要求

 6.個の侵害

 

最新の検討会報告では、先に示された概念をさらに

 

 ①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること

 ②業務の適正な範囲を超えて行われること

 ③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

 

3つの「要素」に整理し、この6類型に3つの要素すべてが当てはまる場合にパワハラとして認められる、という判断基準を示しました。

 

7.適正指導との境界線

この中で②の「業務の適正な範囲」についての判断が最も悩ましいという声が多くあります。例えば「業務の適正な範囲を超えるか否かの判断要素」は一つのヒントとなります。

 

 ・人格否定、名誉毀損となる発言の有無

 ・退職、解雇、懲戒処分を示唆する言動の有無

 ・本人の帰責性、業務上の必要性の有無

 ・本人の立場、能力、性格への配慮の有無

 ・指導の回数、時間、場所が常識的なものか否か

 ・他の者との公平性の有無

 

 

次回は、防止のための取組みについてまとめます。