『会報 201811月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

例年9月は新たに社労士会に入会する方が多数いる時期になります。そのような方に、社労士として仕事を受けるにはどのようなことに気をつけ、どのような営業をして仕事を見つけるか等、不安を解消するための連載が会報誌にて始まっています。わたしも初心を思い出すために記事の要旨をまとめてみました。

今回は、手続き業務におけるポイントについてです。

  

手続き業務について

社労士の業務には、労働社会保険諸法令に基づく申請書等関係書類の作成事務と、行政機関等に対して行う提出代行、および、事務代理(通称「1号業務」)、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(通称「2号業務」が定められています。12号業務は書類の作成、提出を伴うことから「手続き業務」と呼ばれています。この「手続き業務」は、事業所そのものにかかわるもの、事業所で働く従業員にかかわるものと分類できます。

手続き業務を行うにあたり一例として入社時の書類の提出前・中・後の時系列に整理してみます。

 

①提出前:お客様とのやり取り

 

・当該者情報の入手

 

電話、FAX、郵送、電子メールなど様々な方法があります。 一度のやり取りで必要な情報がすべて入手できるように、入社連絡票など定形書式を用意し、そこに記載されている項目をすべて記入していただけるようにしておくことにより、必要な情報が不足するといったことが少なくなります。

 

・入手した当該者情報を基に書類作成(もしくは情報入力)

 

入社連絡票を基に、間違いのないように定められた法令様式に記入しますが、郵送の場合は時間がかかってしまうということを考慮すると、電子メールでのやり取りが無難です。

 

・作成した書類への押印

 

作成した書類には、法人印加必要になります。

 

・提出の際に添付資料等が必要な場合はその添付資料の準備

 

必要とされる資料が予め分かっている場合は、当該者情報入手の際に合わせて依頼しておくと一度で済みます。

 

②提出中:役所とのやり取り

 

・持参、郵送、電子申請

 

 最近は電子申請での手続きが多くなっています。電子申請であれば公文書として電磁的データとして返ってきますので、その後の保管やお客様とのやり取りが行い易くなります。  

 

 

③提出後:お客様とのやり取り

 

・手続きが済んだ書類の内容確認

 

役所で作成した書類が誤っているということもありますので、内容をしっかりと確認する必要があります。旧漢字などを利用している場合などは特に注意が必要です。

 

・「社会保険料のお知らせ」などの作成

 

「社会保険料のお知らせ」などを作成し、お客様にお知らせすることが必要になる場合もあります。特に、健康保険料、厚生年金保険料は、徴収するタイミングがわかりにくいというケースが多々あります。

また、提出前の当該者の情報についても、入社する本人が作成するということも可能です。最近ではスマートフォンなどのアプリを利用して、入社する本人が情報を入力し、その情報がタイムリーに事業所担当者や私たちが入手するということも可能になっています。

 

 

今後、HRテクノロジーの発達により自動作成できる手続き書類は増加し、手続き業務にかかる時間やコストは少なくなってきます。しかしながら、自動作成できた手続き書類の内容が間違いないのか、自動作成されたその内容についてしっかりと理解することが大切です。