『会報 20184月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より


 

これまでのブログでも何回か取り上げましたが、無期転換ルールが20184月に、施行から5年を迎えます。それにより、有期契約労働者に無期転換申込権が発生します。企業側としては、特に中小企業において準備が十分でないまま無期転換の申込みが成される可能性があります。

無期転換後の労働契約について、どのような契約形態が考えられるか整理し、人事・賃金制度を設計する際のポイントを解説した記事が載っていましたので、要旨をまとめてみました。

今回も引き続き、人事制度の設計についてです。

 

3.人事制度の設計

(3)限定型正社員人事制度の検討のポイント

 

③コース変更

正社員と限定型正社員の転換制度を設けるかどうかを、会社の人材状況、事業の必要性、社員のニーズの3点から検討します。また、転換制度を設ける場合、

 

 ・双方向か片方向なのか

 ・転換は何回まで

 ・どの程度の頻度で

 

といったことも詰めて行きます。

 

④類型別検討事項

 ・勤務地限定型

 

 1)限定範囲

部署限定、事業所内限定、通勤可能圏内限定、一定エリア限定といったことを決めて行きます。

 

 2)期待役割

勤務地限定型社員ならではの価値として、地域の特性を熟知していることが挙げられます。それを活かした営業活動、製品開発などに積極的に関わってもらうような人事を検討すべきです。

 

 ・時間限定型

勤務日数を限定するパターンと勤務時間を限定するパターン、両者の組み合わせパターンがあります。

 

 ・職務限定型

 1)限定範囲

職務限定型正社員制度においては、職務の範囲を文字どおり職務とするのか、職種、職掌にまで広げるのかを設定します。

 

 2)専門性

限定型正社員制度は、個人の働き方と会社の人材活用の両方に軸足をおいた制度です。職務限定型の場合は、その人の専門性や得意分野で力を発揮してもらおうという意味合いが強くなります。

 

 

無期転換の記事を書く時、いつも考えるのは、この制度を受け身ではなく積極的に活用して、新たな人事・賃金制度によって社員を元気にするきっかけになるべきだということです。特に、無期転換の対象となる社員は、この環境や制度の変化に巧みに適応して、さらに改善や改革に繋がって行くことを望んでいると思います。