『会報 20181月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

今回は保育業界における労務管理の実務についてです。多くのメニューが用意されている雇用関係助成金を見ても、職場定着支援助成金の新メニューとして「保育労働者雇用管理制度助成コース」が創設される等、保育業界に対する雇用支援が注目されています。これはもちろん、昨今の保育施設や保育士の絶対数が足りず、保育希望者に対して十分な保育サービスが提供できていないという問題からです。

会報誌では、保育業界の労務管理について、社会的なニーズと特化された雇用関係助成金の新設に関する解説が特集されていましたので、要旨をまとめてみたいと思います。

今回は、労務管理のポイントについてです。

 

2.労務管理のポイント

保育を含む福祉や医療の現場においては、いわゆるサービス残業や休日出勤も止む無しという風潮があります。厚労省が保育の在りかたを定めた「保育所保育指針」に示されている理念から読み取れるには、保育という営みは極めて労働集約的であり、地域や家庭にとっての社会資源としての位置づけであるということです。このことは、子ども・保護者・地域住民の利害や倫理観・専門性の習得を優先しがちで、感情労働に結び付き易いということです。

一方、営業日時や配置職員数が先述の公定価格上定められている点が挙げられます。

 

 ・年間開所日数

  約300日。ただし、園によっては日祝、年末年始も開所している。

 

 ・1日の開所時間

11時間が標準。ただし、園によっては深夜帯を含む夜間に開所している。

 

 ・配置職員数

保育士:常時0歳児3人/ 12歳児6人/ 3歳児20人/ 4歳以上30人につき1名+利用定員や預かり時間、主任専任の状況によって加配13

調理師:利用定員に応じて13

嘱託医・嘱託歯科医:各1

その他:必要に応じて非常勤職員及び事務職員

 

その反面、予め定められた財源の下でしか職員を配置することができないということです。基準の緩和も進んでいますが、保育の質の議論との相克で効果は限定的になります。

 

 

次回は、課題解決のポイントについてまとめます。