『月刊社労士 2017年12月号』(発行:全国社会保険労務士会連合会)より
改正労働契約法では、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的に、2以上の有期労働契約が5年を超えて更新された場合における“無期限転換ルール”が定められています。その結果、有期雇用特別措置法が特例法として制定されました。有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が行なわれる場合に、無期転換ルールに関する特例を設けるものです。
今回、会誌に継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について解説した記事が載っていましたので要旨をまとめてみました。
1.有期雇用特別措置法の効果
定年後引き続いて雇用されている間は、2以上の有期労働契約の契約期間が5年を超えて継続していても該当する労働者に無期転換申込権は発生しないものと解されています。
2.対象者
(1)定年
一般には、期間の定めのない労働契約を結んでいる労働者が、一定の年齢に達した時に労働契約が終了する制度、と解されています。
(2)特殊関係事業主
高年法では、高年齢者の雇用を確保することも含むとされています。そして特例法では、定年に達した後、引き続いて雇用する事業主には高年法に定める特殊関係事業主を含むこととなっています。
・事業主を子法人等とする親法人等
・事業主の子法人等
・事業主を子法人等とする親法人等の子法人等
・事業主を子法人等とする親法人等の関連法人等
・事業主の関連法人等
3.認定を受けるための要件等
継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例を受けるためには、第二種計画の認定が必要とされます。
①雇用管理に関する措置の内容
・高年齢者雇用促進者の選任
・職業訓練の実施
・作業施設・方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備
・職務等の要素を重視する賃金制度の整備
・勤務時間制度の弾力化
②継続雇用制度の導入状況
高齢法で定める高年齢者雇用確保措置が行なわれていることを就業規則等で疎明することになります。
・高年齢者雇用確保措置を講じている
・65歳以上への定年の引き上げ
・継続雇用制度の導入
・希望者全員を対象
・労使協定により継続雇用の対象者を限定する基準を利用
高齢者に関する無期転換ルールの特例については、わたしもそろそろ自分事として考えておかないといけない年代になりました。社労士の試験勉強をこういう形で使うようになるというのも、何やら複雑な気持ちでもあります。