『月刊社労士 20175月号』(発行:社会保険労務士会連合会)より

 

睡眠は身体の健康と関係がありますが、うつ病などのメンタル不調とも深い関係を持っています。メンタル不調の恐れのある社員に問診する際、不安や憂うつ感などを直接聞くのははばかられる面もあり、質問しにくいものですが、睡眠がとれているかどうかは確認し易いと言えます。睡眠の知識があると、初期のメンタル不調の発見や予防に効果がありそうです。今回、睡眠マネジメントによるメンタル不調予防についての記事が特集されましたので、要旨をまとめながら学んで行こうと思います。

今回は、睡眠の「質」と「量」についてです。

 

1.「質」を高める

不眠や睡眠不足、夜型の生活は、うつ病につながります。逆に、質がよく十分な量の睡眠を規則正しく取ることが、うつ病予防に役立ちます。「質」のよい睡眠とは、寝つきがよく、途中で目が覚めず、起床時によく眠れたと感じられる状態のことです。

コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは覚醒効果があります。摂ってから4時間くらい身体に残りますので、夕方以降は避けるほうがよいそうです。お酒は寝つきをよくしますが、眠りを浅くし、疲れを取れにくくします。

PCやスマホの画面やLEDライトからはブルーライトが出ており、夜に浴びると眠りのホルモンを抑え、体内時計を狂わせ、寝つきを悪くします。

寝室の環境も大切で、不安を感じない程度に極力暗く静かにします。エアコンは温度を高めに設定し、睡眠の前半4時間に使用すると快適に眠れるそうです。

寝る前のリラクゼーション法も、睡眠の質を高めるよい方法です。一時的な不眠は正常なストレス反応なので、気にし過ぎないことも大事です。「明日、眠れればいいが...」と思うぐらいで丁度いいのだそうです。

 

2.「量」を確保する

いくら睡眠の「質」がよくても、「量」の不足を補うことはできません。一般的に必要な睡眠時間は、20代 : 77.5時間、40代 : 6.5時間、60代 : 6時間程度だそうです。平日の睡眠時間は6時間以上が理想で、眠気や自覚的ストレスが少なくなり、うつ病のリスクも抑えられます。

しかし、残業や長時間通勤等により、毎日は難しいのが現実です。次善の策として3日くらいを目安に収支を合わせるようにします。休日出勤が必要な時は、土日どちらか1日だけでも休んで十分睡眠を取れば、翌週に睡眠不足を持ち越さずに済みます。残業にも損益分岐点があり、起床後13時間までは作業能力を維持できますが、それ以降は時間が経つほど作業能力は低下して行きます。帰宅が遅くなり、睡眠時間が4時間以下になれば、翌日は一日中睡魔に襲われ仕事になりません。深夜残業はコストパフォーマンスの点からも極力避けるべきです。

 

 

平日の睡眠不足を土日や休日で取り返すことで必要な睡眠時間を確保する・・・これはわたしもよくやりました。昔は残業は当たり前で、罪悪感のようなものもありませんでしたので、仕事最優先でした。今から思うと必要でない残業も多々あったと思います。やはり本来の姿は、残業しない働き方をし、そうすれば睡眠も取れるということですね。