『会報 20175月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

確定拠出年金は、老後に経済的な要因で生活が困窮しないよう税制上の優遇措置が整備されたり、個人型については厚労省がイデコという愛称を付けてPRし始めるなど、改めて注目されて来ています。また、法改正により2017年から個人型確定拠出年金の対象は第1号から第3号に至るほぼ全ての公的年金被保険者に拡大されましたので、十分に理解しておく必要があります。今回、確定拠出年金の知っておきたいポイントが会誌に載っていましたので、要点をまとめてみました。

今回は、引き続き制度のポイントについてです。

 

3.制度のポイント

(2)退職金・福利厚生としての活用

中堅・中小企業においては、個人型DCを企業の福利厚生制度あるいは退職金。企業年金の代替制度として活用する事例も散見されており、「個人年金」と「企業年金」の二面性を有している制度とも言えます。最大のメリットは、その事務負担・事務コストの低さにあります。また、個人型DCの年金資産は、企業型DCや確定給付企業年金に移換することが可能であるため、企業が成長・拡大した際には企業年金を導入するまでの“つなぎ”の制度としても活用することができます。

(3)メリット・デメリット

<メリット>

・掛金は全額所得控除

・運用収益は非課税

・給付時も各種控除の適用あり

・自身の裁量で資産運用が可能

<デメリット>

・運用結果によっては元本を下回る可能性がある

・原則60歳まで中途引出し禁止

・所定の手数料がかかる

 

掛金の所得控除については、収入および限界税率の高い富裕層にとっては税制メリットが大きいものの、収入の低い層には必ずしも恩恵があるとは言えません。しかし、確定拠出年金は拠出時だけでなく運用時や給付時にも税制メリットがあり、これらのメリットは所得の多寡に関わらず享受することができます。

資産運用を行なったことがない層にとっては敷居が高い印象を与えがちです。加入者自らが運用方針を自由に決めることができるため、必ずしもリスクを取る運用を行なう必要はありません。

確定拠出年金のデメリットとして、60歳まで資産を引き出せないことが指摘されますが、老後の資産形成という目的に照らすと、途中で引き出せないのはメリットであるとも考えられます。

 

 

確定拠出年金はわたしもこの4月から運用を始めました。始まり方が若干唐突気味で、確定拠出という言葉から抵抗が出てしまった人もいるようでした。歳が歳なので、金額がそんなに大きくならないため、わたしは気軽に運用してみようかと思っているのですが、先ずはパソコン操作に慣れることが求められる制度ですね。最近は何でもそうですけどね。