『会報 20175月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

確定拠出年金は、老後に経済的な要因で生活が困窮しないよう税制上の優遇措置が整備されたり、個人型については厚労省がイデコという愛称を付けてPRし始めるなど、改めて注目されて来ています。また、法改正により2017年から個人型確定拠出年金の対象は第1号から第3号に至るほぼ全ての公的年金被保険者に拡大されましたので、十分に理解しておく必要があります。今回、確定拠出年金の知っておきたいポイントが会誌に載っていましたので、要点をまとめてみました。

今回は、制度のポイントについてです。

 

3.制度のポイント

(1)加入対象拡大の影響

これまで確定拠出年金の対象外だった公務員や国民年金の第3号被保険者(専業主婦等)のほか、企業年金を実施している企業の従業員(第2号被保険者)など、ほぼ全ての公的年金被保険者が対象となります。

①加入対象とならない者の存在

個人型DCへの加入は公的年金被保険者であることが前提であるため、保険料未納者は当然ながら加入できません。加入後に国民年金保険料の未納が判明した場合、当該未納月に係わる掛金から事務手数料を控除した金額が還付され、当該期間は個人型DCに加入しなかったものと取り扱われます。

②さまざまな加入者

一口に「経営者」と言っても、フリーランスの個人事業主なのか、それとも法人化して第2号被保険者となっているかによって、加入者区分や拠出限度額が異なります。「専業主婦(主夫)」も同様で、配偶者が第1号被保険者か第2号被保険者かによって拠出限度額が異なります。

企業年金制度を実施している企業であっても、加入対象外の者については、企業年金制度が無い場合の拠出限度額が適用されます。

③従業員の個人型DCへの加入申出

2号被保険者が個人型DCに加入申出する際は、個人型という名称とは裏腹に企業にも様々な事務が発生します。

加入時には、企業が国民年金基金連合会に対し、「事業所登録」を申請する必要があるか、従業員が個人型DCに加入申出して来る都度、当該従業員の加入資格に係わる「事業主証明」を行なう必要があります。加入後も、従業員の加入資格の変動に係わる「現況届」の年1回の提出が義務付けられるほか、掛金納付方法が事業主払込(給与天引き)の場合は「源泉徴収」等の事務が、個人払込(口座振替)の場合は「年末調整」等の事務がそれぞれ発生します。

 

 

次回も、引き続き制度のポイントについてまとめます。