『会報 20175月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

確定拠出年金は、老後に経済的な要因で生活が困窮しないよう税制上の優遇措置が整備されたり、個人型については厚労省がイデコという愛称を付けてPRし始めるなど、改めて注目されて来ています。また、法改正により2017年から個人型確定拠出年金の対象は第1号から第3号に至るほぼ全ての公的年金被保険者に拡大されましたので、十分に理解しておく必要があります。今回、確定拠出年金の知っておきたいポイントが会誌に載っていましたので、要点をまとめてみました。

今回は、引き続き制度の概要についてです。

 

2.制度の概要

(4)給付

確定拠出年金は、自助努力による老後資産形成を支援するという制度の性質上、原則として60歳まで中途引出しすることができません。老後に受け取る金額も事前に確定していません。

給付の種類には、「老齢給付金」、「障害給付金」、「死亡一時金」があります。老齢給付金の受け取り方法は、5年以上20年以内の有期年金が原則ですが、全部または一部を一時金として受け取ることもできます。

制度を脱退した者で一定の拠出期間あるいは資産額に満たない場合は、脱退一時金を受給できる場合があります。

 

(5)税制上の取扱い

確定拠出年金は、公的年金の補完という政策目的を有しているため、「拠出段階」、「運用段階」、「給付段階」という3つの局面で税制上の優遇措置が講じられています。

①拠出段階

拠出段階では、企業が拠出する掛金は全額損金(必要経費)に算入されるほか、加入者本人が拠出する掛金も全額所得控除の対象となるため、拠出金額にかかる所得税および住民税の負担が軽減されます。

②運用段階

運用段階では、個人別管理資産から生じる運用収益は全額非課税とされています。このため、積立期間が長期間に及ぶほど、複利効果が最大限に発揮されます。

③給付段階

給付段階では、年金で受け取る場合は雑所得として、一時金で受け取る場合は退職所得として、それぞれ所得税等が課税されます。ただし、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されるほか、一時金として受け取る場合も退職所得控除が適用されるため、その分、実際の税負担は軽減されます。

 

 

次回は、制度のポイントについてまとめます。