『会報 20174月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

社会保障・税の一体改革により、年金制度についても改正が行なわれています。平成28年には、年金受給資格期間を25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が成立しました。受給資格期間短縮に対象となる年金の種類やその影響を受ける留意点などをまとめ、受給資格期間に算入されるカラ期間の証明方法など、対応のポイントについて会報に特集されていましたので、要旨をまとめながら整理してみました。

今回は、カラ期間の証明についてです。

 

4.カラ期間の証明

主なカラ期間についての証明方法は次のとおりです。

(1)国民年金に任意加入できる期間のうち被保険者にならなかった期間

 ・被用者年金制度加入者の配偶者であった期間

 ・被用者年金制度の老齢給付受給権者・受給資格満了者及びその配偶者

 ・被用者年金制度の障害給付受給権者及びその配偶者

 ・被用者年金制度の遺族給付受給権者

 

 ⇒ 配偶者の年金手帳及び婚姻期間がわかる戸籍謄本、年金証書等

 

 ・学生「昭和364月から平成33月までの20歳以上60歳未満の期間」

 

 ⇒ 大学等が交付する在籍証明書

 

(2)日本国民であって日本国内に住所を有しなかった期間(海外在任期間)のうち、昭和364月以後の期間で20歳以上60歳未満の期間

 

 ⇒ 戸籍の附票、居住証明書、在留証明書、パスポート、出帰国証明等

 

(3)共済組合の組合員であった期間のうち、昭和363月以前の期間

 

 ⇒ 加入していた共済組合が発行する「年金加入期間確認通知書」

 

(4)昭和365月以降、20歳以上65歳未満である間に日本国籍を取得した次の期間

 ・日本国内に住所を有していた期間のうち、昭和364月から昭和5612月までの期間

 ・日本国内に住所を有しなかった期間のうち、昭和364月から日本国籍を取得した日の前日までの期間

 

 ⇒ 戸籍謄本、外国人登録原票証明書、在留資格証明書、永住許可書等

 

(5)国民年金の任意加入を行ない、保険料が未納となっている20歳以上60歳未満の期間

 

 ⇒ 日本年金機構に記録があるので、特になし。

 

(6)学生納付特例期間に保険料を納付しなかった期間

 

 ⇒ 日本年金機構に記録があるので、特になし。

 

 

年金受給資格期間短縮は、単に25年が10年に短くなって年金を受給し易くなる、というだけの知識でしか捉えていなかったのですが、カラ期間にも関係して来るので、これは相当に複雑になる可能性がありますね。これでも主なカラ期間についてのみですから、こういうところが年金制度を難しく分かりにくくしているところでもあります。