10月の終わりから11月の初めにかけて、厚生労働省が作成している、中小企業が自社の従業員の円滑な育休の取得及び育休後の職場復帰を支援するための「育休復帰支援プラン」のマニュアルを紹介しました。職場における子育て支援では、仕事と家庭の両立のために労働者ももちろんですが、事業主の取り組みが重要であることがわかりました。

事業主の取り組みを支援するため、厚労省は委託事業として、女性の活躍・両立支援総合サイトを立ち上げています。仕事と家庭の両立に役立つ情報が掲載されていたり、一般事業主の行動計画公表サイト、自社の取組状況を診断する両立診断サイトもあります。その中に、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)関係のパンフレットも掲示されており、今回はそのパンフレットルの要旨を紹介したいと思います。両立支援のひろばのホームページでは、以下のURLに公開されています。

 

 両立支援のひろば - ワークライフバランス憲章

 

 

1.仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章

我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面しています。誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければなりません。

そのような社会の実現に向けて、国民一人ひとりが積極的に取り組めるよう、ここに、仕事と生活の調和の必要性、目指すべき社会の姿を示し、新たな決意の下、官民一体となって取り組んでいくため、政労使の合意により本憲章を策定されました。

 

(1)仕事と生活の調和の必要性

 ①仕事と生活が両立しにくい現実

仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらす。同時に、家事・育児、近隣との付き合いなどの生活も暮らしには欠かすことはできないものであり、その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増します。しかし、現実の社会には、

 ・安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、

 ・仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、

 ・仕事と子育てや老親の介護との両立に悩む

など仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られます。

 

 ②共働き世帯の増加と変わらない働き方・役割分担意識

人々の生き方も変化しており、かつては夫が働き、妻が専業主婦として家庭や地域で役割を担うという姿が一般的でしたが、現在の働き方はこのような世帯の姿を前提としたものが多く残っています。

しかし、今日では、女性の社会参加等が進み、勤労者世帯の過半数が、共働き世帯になる等人々の生き方が多様化している一方で働き方や子育て支援などの社会的基盤は必ずしもこうした変化に対応したものとなってはいません。

 

 ③多様な働き方の模索

働く人々においても、様々な職業経験を通して積極的に自らの職業能力を向上させようとする人や、仕事と生活の双方を充実させようとする人、地域活動への参加等をより重視する人などもおり、多様な働き方が模索されています。

また、仕事と生活の調和に向けた取組を通じて、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現に取り組み、職業能力開発や人材育成、公正な処遇の確保など雇用の質の向上につなげることが求められています。

 

 ④多様な選択肢を可能とする仕事と生活の調和の必要性

我々に求められているのは、国民一人ひとりの仕事と生活を調和させたいという願いを実現するとともに、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとする取組です。

仕事と生活の調和の実現は、個人の時間の価値を高め、安心と希望を実現できる社会づくりに寄与するものであり、また、就業期から地域活動への参加など活動の場を広げることは、生涯を通じた人や地域とのつながりを得る機会となります。

 

 ⑤明日への投資

仕事と生活の調和の実現に向けた取組は、人口減少時代において、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるものです。企業にとって「コスト」としてではなく、「明日への投資」として積極的にとらえるべきです。

 

 

次回は仕事と生活の調和が実現した社会の姿についてまとめます。