『会報 201612月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

ITの世界はいつの時代でも変動が激しくて、3年ぐらいのスパンで新たな概念とカタカナや英文字34語のキーワードが次から次に出て来て、全てを理解することはもちろん、遅れながらもついて行くことさえ難しいような早さです。そのような中、近年注目され始めたのが、AI(人工知能)です。我々の子供の頃はSFの領域を超えませんでしたが、今や実現するのも時間の問題のようにも思えるほどの勢いです。このような状況を踏まえて、会報でもAI(人工知能)の記事が載っていましたので要旨をまとめてみました。

次回は、社労士業務の従来と今後の違いについてです。

 

4.従来の対応の仕方と今後

AIをツールとして利用する段階では、社労士の顧客に対するアプローチの方法も変化します。「外側型」とは、企業の窓口・担当者との連絡に限られる従来型です。一方、「内側型」とは企業の内部、職場内に干渉する将来の方法です。「内側型」(将来型)は、安全性の高いネット内で個人情報などを収受し、更に従業員から直接に質問や依頼事項、アンケートや不平不満等を受ける方法です。

次にこれからどのような変化の時代が到来して、どのように推移して行くかですが、第4次産業革命に向かっていることは間違いありません。これからは5年ごとのスパンで緻密にかつ大胆に将来に向かって計画して行くことになります。

次に、業務アイテムに関して将来起こり得る変化についてですが、社労士サービスの中で、消えて行くと思われるものと、新たに発生または継続する業務アイテムが予想されます。主なものとしては次のような項目があります。

・人間関係調整

人間関係は職場の人の付き合いとして重要なアイテムです。AIでは近い将来、定型的な悩み相談くらいをこなすようになります。社労士としては、職場の従業員間の摩擦や意思の疎通の悪さの原因をAIデータから判断し、良好な職場の人間関係構築と生産性向上のためのアドバイスやトレーニングを行ないます。

・生産性向上・パフォーマンス

個人や部署、企業全体の生産性向上の障害や原因に関するアドバイスを行なうことができる能力・スキルです。改善しない場合は、人事異動や部門の廃止等も視野に入れた提案をAIの資料を基に説明します。

・意思決定アドバイス

AIの結論や結果が果たして正しいのか、企業・労働者にとって利益になるのかなどの疑問に関して根拠を示し、アドバイスを行ないます。

・問題早期把握スキル

全体的具体的に問題点を早期に把握し、対策を提案し講じて行くスキルです。従業員のESチェックや意識調査の結果などが利用できます。

・交渉術スキル

様々な人間関係での交渉を解決に導く手法です。先方の真のニーズを知ることが重要で、話を聴き、情報を入手、立場を有利にする手法です。

・新しい働き方コンサル

社内業務のプロセスやジョブを改廃、または新設の助言や提案をするため、働き方のメリット・デメリットの分析を行ない、同時に教育することによりスキルアップの指導や研修を行ないます。

 

 

労使関係の円滑化と生産性の向上のため、市場のニーズを模索することで新サービスを創造することができれば、と寄稿された社労士の方は結ばれています。AI技術の目覚ましい進歩が注目される中、社労士としてもAIを活用した新たなサービスを先取りして検討することは重要ですね。