『会報 201612月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

ITの世界はいつの時代でも変動が激しくて、3年ぐらいのスパンで新たな概念とカタカナや英文字34語のキーワードが次から次に出て来て、全てを理解することはもちろん、遅れながらもついて行くことさえ難しいような早さです。そのような中、近年注目され始めたのが、AI(人工知能)です。我々の子供の頃はSFの領域を超えませんでしたが、今や実現するのも時間の問題のようにも思えるほどの勢いです。このような状況を踏まえて、会報でもAI(人工知能)の記事が載っていましたので要旨をまとめてみました。

 

1.AIとは何か

AI(人工知能)は、計算の条件や特徴を人間が定義し、それに従った結果を出すという従来のアプリケーションと異なり、機械自体が深層学習(ディープラーニング)するという機械学習が、人間が想定しないまたは人知を超える結果を出すというものです。AIの進歩と普及は今後益々加速し、2030年頃には汎用型AIによる第4次産業革命が到来すると言われています。

 

2.社労士業務での考慮点

今後個人のニーズは従来の大量少品種の時代から大量多品種の時代になると言われます。社労士としても従来の定型的、またはサービス提供側の都合によるサービスアイテムだけでなく、クライアント企業や従業員の多種のニーズに合致するサービスや方法を要求されます。

考察すべきポイントとしては、AIが社労士業務に与える影響を予想し、市場のニーズ(真のニーズ、隠れたニーズ、不要のニーズ)を模索することが挙げられます。

 

3.求められるスキル

AI時代の対応については、キーワードとして、①クオリティー、 ②労働生産性、 ③人間関係・コミュニケーション の3つが重要です。

①クオリティー

品質のことです。サービスの成果に関する信憑性、スピード性、理解性、的確性などのクライアントに共通するニーズをクリアすることが優先される課題です。

②労働生産性

営利非営利を問わず企業や団体では、マネジメントを行なうことが必要ですが、労働者に関しては労働時間当たりの生産量を求められます。つまり、労働時間に対する生産量を増やす方法をサービスの一つとして提供する必要があります。

③人間関係・コミュニケーション

働く従業員がいる限り、人間関係・コミュニケーションを円滑にすることで生産性のアップを図ることです。必要とされるスキルは、先ずは特化型AI(機能が限定・特化されたAI)により提案される複数の結果について、クライアントへ説明する力が必要となります。

AIは結果についてのみ提案しますので、社労士はどのようにその結果に至ったかの説明を求められます。顧客に理解をしてもらうための説明のスキルが要求されます。

 

 

次回は、社労士業務の従来と今後の違いについてまとめます。