『会報 2016年11月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より
キャリアアップ助成金はここ数年、整理統合や手続きの変更、助成額引上げなど、行政が最も力を入れている助成金の一つです。いくつか種類のある中でも、特に正社員化コースは東京都の上乗せ支給もあります。このキャリアアップ助成金の特徴と手続きを解説した記事が会誌に紹介されていましたので、要旨をまとめながら勉強してみました。
今回は、「処遇改善コース」についてです。
5.「処遇改善コース」
(1)賃金規定等改定
有期契約労働者等の基本給の賃金テーブル等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成されます。
<特徴>
賃金規定等の運用期間が緩和され、過去3カ月の賃金の実態からみて2%以上増額していることが確認できれば支給対象となりました。また、最低賃金との関係に係わる要件が緩和され、最低賃金額の発効日以降、賃金規定等の増額分に発効された最低賃金額までの増額分は含めないことに変更されました。
<留意事項>
・改定前に賃金テーブルの運用を3カ月以上実施している必要があります。
・改定した賃金テーブルで運用を6カ月以上実施している必要があります。
・対象労働者全員が昇給していなければなりません。
(2)共通処遇推進制度
①健康診断制度
有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成されます。
健康診断を実施した日の翌日から起算して2カ月以内に申請します。
②賃金テーブル共通化
正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金テーブル等を新たに作成し、適用した場合に助成されます。
当該賃金テーブル等の適用後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に申請します。
③短時間労働者の労働時間延長
週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を、30時間以上に延長した場合に助成されます。
延長後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請します。
キャリアアップ助成金と一言でいっても、種類がたくさんあって、それぞれに特徴がありますが、またその特徴に応じて申請方法が異なり、事前に十分調査しておかないと思ったとおりに申請が認められないというリスクもあります。今回の記事内容ではまだ情報が足りないところもあるので、どの助成金を申請するか決まった段階で、再度詳細を調べることが重要ですね。