『会報 2016年11月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より
企業組織には様々な雇用状況の社員がいます。また、個人や家庭環境なども加えれば、更に多様な社員が混在することになります。このような多様性を尊重し、活かす人事戦略がダイバーシティマネジメントです。仕事と育児・介護の両立支援のための労務管理としてダイバーシティマネジメントを理解する記事が先々月の会誌から連載されていますので、要旨をまとめてみました。
今回は、会社制度の活用についてです。
4.会社の制度活用
一定期間継続して休む介護休業は、家族が判断・選択をする場面の多い、介護の始まった当初から介護がある程度軌道に乗るまでに利用するのが有効です。
介護の体制ができた後は、数時間~数日休めば対応できる場合が多いので、介護休業を利用しなくても、細切れに休などの対応をしながら仕事を続けて行けます。
5.在宅勤務制度の必要性
在宅での仕事ができる日があれば、かなり介護が楽になります。先ず、勤務時間にかかる数時間がカットされるため、デイサービスの送迎時に対応できる可能性が高まります。また、在宅勤務では自己管理により、定時に仕事を終えることができ、老々介護で通常は父親の介護を母親が行なっている場合、在宅勤務の日には母親を介護から解放したり、負担を軽くしたりすることが可能になります。
一人の家族に介護負担が偏っている場合には、その家族を倒れさせないというのが、仕事を続けて行くうえで非常に大切になります。
寄稿された会員の方は、最後に社労士に求められる5項目を挙げています。
①情報収集や人間関係構築についての意識啓発
②意識啓発を目的とした研修
③制度やサービスについての知識の提供
④制度の適切な利用法の説明
⑤制度の導入や、運用についての工夫の提案
仕事と介護の両立、わたしも他人事ではないですが、在宅勤務は確かに効果があると思います。けれども先ずはネットワークを中心にした環境が必要でしょうし、また管理方法も事前に用意しておいて、管理面で一般労働者と差異が出て不平や不満が起きないようにするなど、丁寧な運用が求められますので、注意が必要です。