『月刊社労士 201610月号』(発行:社会保険労務士会連合会)より

 

労働力人口が減少して来ているわが国では、労働力の活用と向上が求められています。健康度の高い労働者による生産性の高い職場づくりを目的とした経営の一部としての活動にも視野の拡大が求められている訳です。このような状況を踏まえて、会報誌でもこれからのメンタルヘルスのあり方を考察する記事の特集が組まれています。またいつもの如く、要旨をまとめながら学んで行こうと思います。

今回は、組織の強みを伸ばしてワーク・エンゲイジメントを高める方法についてです。

 

1.組織資源の強化

事業所で行われているストレス対策は、個人に向けた対策と組織に向けた対策に分けられます。組織に向けた対策には、管理監督者研修と職場環境等の改善があります。

<管理監督者研修>

研修で取り上げられる知識とスキルが、精神的に不調となった部下への対応だけでなく、それ以外の従業員の活性化や健康職場の実現にも効果的であることを研修内で協調することが必要です。

マネジメント研修の企画と実施に際しては、産業保健とも連携しながら、メンタルヘルスの視点を盛り込むことが望まれます。

<職場環境改善>

この改善活動においては、メンタルヘルスを阻害するストレス要因を評価し、改善に結びつける活動が行われています。

従業員のワーク・エンゲイジメントを促す組織の資源もストレスチェックの検討項目に加え、仕事の資源の増強を図る活動も同時に行なうなど、ストレスチェック制度を戦略的に活用しながら組織の活性化を図ることが望まれます。

2.活性化対策を成功させる6つのポイント

①「活性化」という共通項目のもと、産業保健部門と経営・人事部門とが良好な関係を有している

健康でいきいきとした職場をつくるためには、健康と活力の両方に配慮する視点が重要です。

②一時的な対応ではなく、継続的な対策を行なうための体制が整っている

職場の活性化対策では、立てた計画を実行に移し、継続させなければ効果は得られません。

③トップダウンによる一方的な対策ではなく、参加型の対策が行われている

従業員の意識が変わり、行動が変わらない限り、組織は変わりません。

④スモールステップ方式により、実施可能な活動から積み上げていく対策を行なっている

これまでに効果的だった対策を強化する視点、他職場のよい事例を水平展開する視点も併せて持つことも大切です。

⑤組織や個人が持つ「強み」に注目し、強化する対策が行われている

取り組みへの動機づけも上がり、取り組みも長続きします。

⑥問題追及型ではなく、目標指向型の対策が行われている

問題追及型の対策にばかり注力していると、やがてその問題発生に関わった犯人探しが始まり、職場はギスギスしてしまいます。

 

 

活性化対策を成功させる6つのポイントはとても納得感のあるものばかりです。これまでにも何とはなく、薄々気が付いてはいたことではありますが、こうやって文字にするとはっきりするし、共通認識できるようになります。それに、この6つのポイントは活性化対策だけでなく、職場や社会で繰り返し行われているいろんな改善活動の全てに言えることではないでしょうか。今度、機会を見つけて使ってみたいです。