毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

 

本日は「俳句さく咲く」の放映でした。兼題は「蜻蛉」で、テーマは取り合わせで作ろう!でした。「蜻蛉」の兼題では過去に一度詠んでいます。夏の終わりから秋によく見かける昆虫で、そんなに珍しくないので、よく観察していないからでしょうか。俳句に詠もうとすると結構難しいです。辛いなぁ。

 

 

 地に着くは名折れとばかり蜻蛉翔ぶ

 (ちにつくは なおれとばかり とんぼとぶ)

 

 

前回もそうですが、蜻蛉と言うと保育園で教えられた ♪とんぼのメガネは水色メガネ♪ の歌が何度も頭の中で繰り返されてしまって、俳句を詠むことに集中できません。幼児の頃の記憶力は侮れませんね。この歌は子供用の歌詞なので、子どものトンボが飛んでいるようなイメージですが、実際の蜻蛉をよく観察すると、目が大きく顎は頑丈にできていて、小さな虫だとあっという間に捕まって頭からガジガジと齧られそうです。そもそも蜻蛉は肉食の昆虫です。それも幼虫のヤゴの頃からですから、実は相当に強暴な性格なのかも知れません。

そんなことを思いつつ、成虫になって秋空をバックに勇壮な姿で飛んでいる蜻蛉を見ると、体型も直線的で、強靭な力でずっと飛び続けて行くようにも見えます。蜻蛉は飛んでない時は棒の先や枝の先などに留まっていて、地面に着いているような姿は見たことがありません。力士に土が着いた時は勝負に負けた時、蜻蛉が地に着く時は、最後に死んでしまう時...そんなことを考えると、武士の意気地や潔さに繋がるところもあるようで、それで、“名折れ”というような武士的な言葉が浮かんで来て、詠んでみました。

 

 

今回は、何か蜻蛉の野性的な面ばかりを見過ぎた感がありますが、蜻蛉を見ると毎年、「あぁ、もう今年の夏も終わるのだなぁ」と寂しく感じてしまいます。盛夏を過ぎれば、時々ちょっと涼しかったり、日差しの強さが若干和らいだりする日もありますが、また次の日には残暑の日々に戻ります。蜻蛉はそれとは違って、わたしの中では秋の絶対的な象徴なのです。だからこそ、子どもの頃、夏休みが終わってしまうという名残惜しい気持ちを、空を力強く飛んでいる蜻蛉を眺めることで、何とか振り払っていたのでした。

 

 

 

 

 

 

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