先週、厚労省が公開している「多様な正社員」の円滑な導入・運用のための事例集を取り上げ、多様な正社員を活用した場合のメリットや雇用管理上の留意事項、活用のためのポイントについてまとめました。この事例集では、さらに多様な正社員の採用から退職に至る雇用管理をめぐる様々な課題への対応を検討し、労使等関係者が参照することができるようにするため、多様な正社員を導入している企業の事例を公表しています。これから5回にわたってその事例の要旨を紹介したいと思います。

原本を参照されたい方は、厚労省の以下のURLに公開されています。

 

 厚労省 - 多様な正社員の導入事例

 

3回目は、小売業の宅配サービス、グループホームの運営等の事業についてです。

 

職種ごとに労働条件を整理した上で、職種と勤務地が限定された専門職員(無期)を導入し、人材の定着率向上に寄与した事例です。

1.正社員

 ・正規社員

仕事内容は幅広く、配送、営業、事務、介護等において同社の基幹的な役割を担います。

 ・専門職員(無期)

職務限定・勤務地限定(異動範囲は通勤1時間圏内)です。職種は、「配送」「営業」「事務」「共済」の4職種があります。

 ・福祉専門職員(無期)

職務限定・勤務地限定(異動範囲は通勤1時間圏内)職務限定です。介護事業ではケアマネジャー、看護師、保育事業では保育士として勤務します。

2.非正規雇用の労働者

 ・専門職員(有期)

仕事内容は「専門職員(無期)」と同じです。フルタイム勤務で、契約期間は1年、上限勤続年数なしとなります。

 ・福祉専門職員(有期)

仕事内容は「福祉専門職員(無期)」と同じです。フルタイム勤務で、契約期間は1年、上限勤続年数なしとなります。

 ・定時職員(パート)

営業、事務、介護等、仕事内容は多岐に渡ります。パートタイム勤務(週35時間未満)で、契約期間は1年、上限勤続年数なしとなります。

3.多様な正社員の区分

(1)多様な正社員区分の導入

「嘱託職員」の労働条件を整理・統合し、「専門職員(無期)」を新設、また、労働条件を見直し・整理することで、人材の定着促進を目指しました。

(2)雇用管理

①労働条件

フルタイム勤務(配送:7.5時間/日、週37.5時間、営業・事務・共済:7時間/日、週35時間)、職種間の異動なし、転勤ありです。

②就業規則

専用の就業規則を作成し、専門職員(無期)の「採用・異動」「就労契約・就労条件」「解雇」「表彰・制裁」等に関する詳細を記載しています。

③給与

給与テーブルは正規職員とは異なり、給与水準は正規職員の8割程度です。給与は基本給と職務手当から成り、基本給額は職種ごとに異なります。

4.雇用区分の転換

(1)正社員区分からの転換

制度はありません。

(2)多様な正社員区分からの転換

専門職員(無期)→正規職員は、年に2回、正規職員への転換試験を実施し、条件を満たした者を正規職員に転換します。転換条件は「一定以上の出勤率」「人事評価の総合評価得点」「試験合格」です。

(3)非正規雇用の労働者区分からの転換

 ①正社員登用

定時職員(パート)から専門職員(有期)への登用を実施しています。専門職員(有期)に登用後、本人の希望と審査合格により専門職員(無期)への転換も可能です。登用条件は「一定以上の在籍期間」「勤務形態の変更」「試験合格」を定めています。

②無期転換への対応

専門職員(有期)の無期転換については、「過去1年間の出勤率が9割以上であること」という条件を外すことのみで対応可能です。

 

 

次回は、学術研究、専門・技術サービス業の建設コンサルタント業、地質調査業等の事業についてまとめます。

 

 

 

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