毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

今回の兼題は「雷」、または「稲妻」でした。自然現象としては違いはないように思えるのですが、「雷」は夏の季語で、「稲妻」は秋の季語です。「雷」は“いかづち”とも呼び、“いかしき神”を意味しているそうで、雷神が天上で激しく太鼓を打ち鳴らす姿を想像して、人は怖れ、そして崇め奉りました。そう考えると、激しい音と光を持った雷は夏の季語ですし、一方の「稲妻」は暗い空に走る閃光が稲を実らせるという信仰があって、そこから“稲妻”という言葉が生まれたと言われており、漢字からしても秋の季語であるのが自然です。

 

 稲妻やこうべを垂れる穂の寝息

 (いなづまや こうべをたれる ほのねいき)

 

「雷」はあの太鼓を叩いたような、地上のもの全てを怯えさせる大音響のイメージですが、「稲妻」はそれとは反対に、音は何も聞こえて来ず、ただ遠くの空を光らせる、静寂さえも思わせるような現象ではないでしょうか。そして、稲妻の走る地上には、秋になって実った稲穂がそろそろ収穫をしてもらえるよう、頭を垂らして待っています。稲妻は、そのような稲穂を最後にしっかりと実らせる働きをしているのかも知れません。

音もなく、ただ閃光だけが空から稲穂を照らし出します。稲穂はその静寂の中でゆっくりと睡眠をとって成長します。眠る子はよく育つ、と昔から言われていますからね。

 

 うちの実家ではもう稲作はやめてしまいました。作るのは手間が大変ですし、買ったほうが安いからです。でも、自分の手で時間をかけて育てた稲からお米を作って、毎日食べるご飯を炊けるとうのは一番の贅沢です。贅沢を味わうためには、やはりそれに見合う手間や苦労が必要ということなんですね。

 

 

 

 

 

 

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