先週、会誌の記事から、配偶者手当に関する考察について要旨をまとめてみました。女性の活躍を促進するという観点から、企業において配偶者手当をどのような制度内容とするかが、非常に重要であることが分かりました。配偶者手当に関しては、以前から厚労省でも取り組み続けており、検討された資料等がまとめられており、今回は3回にわたってその資料の要旨を紹介したいと思います。

厚労省のホームページでは、以下のURLに公開されています。

 

 厚労省 - 「配偶者手当」の在り方の検討に向けて(実務資料編)

 

今回は、賃金制度の見直しに当たって従業員の納得性を高めるための取組についてです。

 

3.従業員の納得性を高めるための取組

(1)従業員ニーズの把握等

①制度設計過程における従業員ニーズ等の情報収集

<会社側が直接行う収集>

・日頃から職場の実態について直接従業員に確認を行ったり、ヒアリング等を行ったりして職場の意見を収集するようにします。

・従業員への満足度等の調査における自由記述のコメントからニーズを把握します。

・制度変更の対象従業員を複数の少人数グループに分け、意見収集の機会を設けます。

<労働組合を通じた収集>

・労働組合との団体交渉や協議の場を通じて、労働組合が収集した組合員の声を収集します。

・個人的なパイプを含め労働組合から非公式に従業員の声を収集します。

②労使協議・労使交渉の過程における従業員の意見の把握、制度趣旨の説明

・制度設計段階からいくつかの案をもって労働組合へ提案します。初期の段階から制度の趣旨伝えることで、早い段階からコンセプトの共感に繋がります。

・段階を経てプロセスを踏むことで、従業員への納得性を高めることができ、経過措置の必要性についても見いだすことができます。

・団体交渉や協議の場を通して、会社側と労働側の意見をすり合わせ、従業員としても一方的な制度変更とならないようプロセスを大事にします。

 

(2)決定後の新制度についての丁寧な説明

①新制度の説明

・職場ごとに従業員への説明会を実施し、納得性を高めるために質疑応答を実施します。

・制度変更の対象者全員に対して人事担当者または上長より、資料を配付して丁寧に説明の後、質疑応答の時間を設けるとともに説明会後もメール等にて質問を受け付けます。

・周知資料を配付し、部下への丁寧な説明を目的として、人事担当者が職場ごとに管理職に対して説明を実施します。

②新制度の運用及び従業員の評価

・労働組合による職場集会等で集められた声から、課題があれば研修のコンテンツに反映させ制度を正しく理解し、適正に人事制度を運用するようにします。

・制度導入後も人事担当者が講師となり、階層別の教育を実施し、適正な運用に努めます。

・従業員意識調査の自由記述欄の内容や、評価者・被評価者への研修での被評価者の声を収集し、教育や施策等に活かします。

 

 

中小企業における賃金制度見直しの状況について、東京商工会議所専門相談窓口の専門相談員からのヒアリング結果も載っており、具体的なイメージが浮かぶ資料となっていますので、一度目を通すと参考になると思います。

 

 

 

 ペタしてねどくしゃになってね!