先週、会誌の記事から、配偶者手当に関する考察について要旨をまとめてみました。女性の活躍を促進するという観点から、企業において配偶者手当をどのような制度内容とするかが、非常に重要であることが分かりました。配偶者手当に関しては、以前から厚労省でも取り組み続けており、検討された資料等がまとめられており、今回は3回にわたってその資料の要旨を紹介したいと思います。

厚労省のホームページでは、以下のURLに公開されています。

 

 厚労省 - 「配偶者手当」の在り方の検討に向けて(実務資料編)

 

 今回は関連する知識として、労働条件の決定方法についてです。

 

2.労働条件の決定方法

賃金などの労働条件を決定する方法としては、労働契約、就業規則、労働協約の3つの仕

組みがあります。

(1)労働契約

労働契約とは、労働者が使用されて労働し使用者がこれに対し賃金を支払う、という契約であり、労働者と使用者の合意により成立・変更されます。ただし、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分については、就業規則の定める基準により規律されます。

(2)就業規則

就業規則とは、使用者が労働者を雇用する事業場において、当該事業場の秩序を維持し、業務運営を効率的に進めるため、統一的・画一的に定める職場の規律のことをいい、この中で、賃金や就業時間などの労働条件が定められています。常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者に対し、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務づけられており、この作成・変更に当たっては、事業場における過半数労働組合か、それがない場合には過半数代表者の意見を聴かなければなりません。

(3)労働協約

労働協約とは、労働条件その他の事項に関する労働組合と使用者との合意です。労働協約としての効力を発生させるためには、労働条件等について合意した事項を書面化し、双方が署名又は記名押印することが必要です。書面化・記名押印などがしてあれば、名称が「覚書」「協定」等であっても、あるいは一項目に関する合意であっても労働協約としての効力が生じます。

労働協約の基準に違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分はその基準の定めによることになります。また、就業規則は、労働協約に反してはなりません。

労働協約に定める労働条件の基準の適用は、原則として当該労働協約を締結する労働組合の組合員に限られ、それ以外の労働者は、当該協約が労働組合法にいう一般的拘束力の発生要件を満たす場合にその適用を受けます。

 

 

次回は、賃金制度の見直しに当たって従業員の納得性を高めるための取組についてまとめます。

 

 

 ペタしてね読者登録してね