『月刊社労士 20168月号』(発行:社会保険労務士会連合会)より

 

労働力人口が減少して来ているわが国では、労働力の活用と向上が求められています。健康度の高い労働者による生産性の高い職場づくりを目的とした経営の一部としての活動にも視野の拡大が求められている訳です。このような状況を踏まえて今回、会報誌でこれからのメンタルヘルスのあり方を考察する記事の特集が始まりました。またいつもの如く、要旨をまとめながら学んで行こうと思います。

今回は、ワーク・エンゲイジメントについてです。

 

1.ワーク・エンゲイジメント

ワーク・エンゲイジメントとは

 ・熱意:仕事に誇りややりがいを感じている

 ・没頭:仕事に熱心に取り組んでいる

 ・活力:仕事から活力を得て生き生きとしている

3つが揃った状態であり、バーンアウト(燃え尽き)の対概念として位置づけられています。ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は心身の健康が良好で、生産性も高いことが分かっているそうです。

ワーク・エンゲイジメントを学術用語として定義したのはシャウフェリ教授という方で、教授は次のように考えて、バーンアウトとは反対の状態であるワーク・エンゲイジメントに注目し研究するようになりました。

バーンアウトしていないことは幸せであることの一部ではありますが、それが全てではありません。本当の幸せに繋げるためには、バーンアウトの低減とともに仕事で生き生きとした状態を高める必要があるのではないか。

2.ワーカホリズム

ワーク・エンゲイジメントに注目したメンタルヘルス対策を検討する際、関係する他の概念と区別する必要があり、その一つにワーカホリズムがあります。ワーカホリックな人は“強制的に”働くのに対して、エンゲイジメントの高い人は“楽しんで”働きます。

両者の違いは仕事に対する動機づけ(モチベーション)の違いによっても説明されます。ワーカホリックな人は完璧主義で、周りからの期待以上の成果を常に出そうと思っているため、仕事のことが頭から離れません。罪悪感や不安を避けるために仕事をせざるを得ないと考え、リラックスするために仕事に多くの時間とエネルギーを費やしているとも言えます。

3.ワーク・エンゲイジメントの効能

これまでの研究で、ワーク・エンゲイジメントと健康、仕事・組織に対する態度、パフォーマンスなどとの関連が検討されています。

 ①健康に関しては、ワーク・エンゲイジメントが高い人は心身の健康が良好で睡眠の質が高い。

 ②仕事・組織に対する態度は、職務満足度や組織への愛着が高く、離転職の意思や疾病休業の頻度が低い。

 ③パフォーマンスでは、自己啓発学習への動機づけや創造性が高く、役割行動や役割以外の行動を積極的に行い、部下への適切なリーダーシップ行動が多い。

 

このように、ワーク・エンゲイジメントが高い人は心身ともに健康で、仕事や組織に積極的に関わり、良好なパフォーマンスを有していると言えます。

 

 

前回の記事でワーク・エンゲイジメントという言葉を初めて知りました。今回はその内容について徐々に分かって来ました。次回はワーク・エンゲイジメントを高める方法について解説される予定ですので、楽しみにして待ちたいと思います。

 

 

 

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